コンビを組んで25年。トータルテンボスとっての「人生最大の賭け」とは?

月曜日から金曜日まで毎日放映されている『競輪LIVE! チャリロトよしもと』(BSよしもと)で、金曜日を担当しているのがトータルテンボス。当てることが番組を盛り上げることになると、対策を練って1位を獲りにいく賭け方をしている二人だが、競輪から発展する形で「賭け」や「勝負」に広げ、人生を賭けて挑んだM-1や、結成25周年についても聞いてみた。

▲『競輪LIVE! チャリロトよしもと』(BSよしもと265ch)

■M-1後に感じた芸人は「終わりのない道」

――お二人にとって、人生最大の賭けとは?

藤田憲右(以下、藤田) M-1ですかね。

大村朋宏(以下、大村) M-1ですねえ。

――いや、あれは賭けというよりも、全力で打ち込んだんじゃないですか〔注:インタビュアーは彼らのファン〕。

藤田 まあ、これを頑張れば人生変わる、と信じて。全力で乗っかったというか。あとは芸人になるって養成所に入ったときも、賭けになるかもしれないっす。大学辞めて、本当にどうなるかなんてわかんない状態で。

▲トータルテンボス藤田憲右さん

――そのときは勝算はあったんですか?

藤田 勝算は……(大村を見ながら)あったよね? ある程度。

大村 根拠のない勝算でしたけどね。いけるっしょ! みたいな。

藤田 養成所に入っても、周りと比べてそんな劣っていないな、と思ってたよね。

大村 そうだね。そんなに悲観するようなレベルではなかった。これは歯が立たないなって感じはなかったし。

?藤田 俺は後輩の芸もよく見るんですけど、見ても「めちゃくちゃ面白くないやつも、いっぱいいるんだな」って感想で(笑)。

大村 そう。だから、それに比べたら全然いけてるなあという感じでした。

▲トータルテンボス大村朋宏さん

――じゃあ、デビューして芸歴を積み重ねながら、これは「終わりのない道」なんだということを知っていった、という感じなんですね。

藤田 「終わりのない道」と思ったのは、M-1終わってからですね。M-1に出れなくなったときに、今までM-1のために漫才やってたのに、なんか燃えつき症候群というか、「なんのために新ネタ作るの?」みたいに思っちゃって。

――そこからどうやって今みたいになっていったのですか? 今のトータルテンボスって、劇場番長というか、絶対ハズさないから、お二人が出てくると、演者もお客さんも安心する存在になってますけど。

藤田 実はそこが本質なんですよね。M-1も、そういう芸人になるために試されていたというか。「劇場を支える芸人、漫才師」っていうのが本来のことだったんですよね。で、その前にM-1っていう目標ができて、そこに力入れちゃったんで。

――M-1後は、もともとの在り方に戻る、という感じだったんですね。

藤田 そうです。ようやく「これなんだな」っていうのに戻りましたね。

大村 そうですね。僕もM-1後は、ちょっと燃え尽き症候群になったんですけど。そもそも、M-1のためにやってたわけじゃないしなあっていうことで、ツアーをまたやろうってことになって。でも「なんのためにやるんだよ? もうM-1ないじゃん」という自問自答もあって、でも「いやいや、それはお客さんを笑わせるためだろう」って。そんなリハビリを藤田はしてたんですよ。「本来の漫才ってM-1じゃないぜ」「もうM-1はないんだし」ってとこで。で、ようやく「これが本来の漫才だな」ってわかってきたから、今があるって感じですよね。

――そのギアが入ったきっかけって、何かあったんでしょうか?

藤田 徐々にじゃないですかね。ツアーやって、毎年お客様がついてきてくれてる状態って、当たり前のことではないじゃないですか。そういうのもわかってきたんでしょうね。これはすごいことだよなって。

――競輪でのラインの話じゃないですけど、漫才コンビもある意味ラインというか。

大村 そうですね、運命共同体ですもんね。コロナの時期もコンビ単位ではアクリル板なしですもん。当たり前にそういう扱いされてる時点で、「俺がなったら、こいつもなるし、こいつがなったら俺もなるんだな」って改めて思いました。

■四半世紀経っても若者枠であり続けるコンビ

――今年、結成25周年ですが、そういう感慨ってあるんですか?

藤田 いや、あんまりもう……(笑)

大村 でも、単純に四半世紀ってすげえな。

藤田 上の人たち、もっといますからね。キャリア40年とか(笑)。

大村 前に大木こだま・ひびき師匠が、25周年のイベントやってたのを「すげぇな、25周年かよ」って、おっさんを見る目で見てたんですけど、今、そこに自分たちがいるのかと(笑)。

▲競輪からM-1まで、いろいろ話してくれたトータルテンボスの二人

――今の若手は同じように思ってるかも(笑)。競輪だと師匠と弟子のエモい関係というのがありますけど、EXITみたいにトータルテンボスを見て憧れて、お笑い芸人になったって人もいますからね。売れてる人にリスペクトされてるのは、それはそれですごいことですから。

大村 うれしいですよね、単純に。うれしいんですけど、今入ってくる子たちはもう誰一人として憧れてないからね(笑)。世代じゃないんで。ホント、りんたろー。とかオリエンタルラジオあたりだけです。オリラジなんて「トータルテンボス見て芸人になった」みたいなこと言ってたのに、「武勇伝」やってましたからね。俺たちの要素、全然ないじゃん!(笑)。EXITはチャラさとかでまだわかるけど。

藤田 この前も誰だっけな。「すげー憧れてたんですよ」とか言ってたのに、ネタは全然違うんでずっこけたな。リズムっぽいネタやるやつ。とにかく俺たちの色、全くなかったですね(笑)。

大村 オリラジなんて、NSC在学中に『エンタの神様』出てたからね。ちょうどエンタのオーディション、俺たちとかぶって、「よかったら、ネタ見せを見学させてもらってもよろしいですか?」って言われて。

藤田 めちゃくちゃ恥ずかしいことなんですよ、ネタ見せを見られるなんてね。

大村 でも、そんなの断るのも恥ずかしいなと思って、オリラジに見られながら俺たちはネタ見せして。で、結果、オリラジが受かって俺たちが落ちた(笑)。

藤田 それなのに「勉強になりました」とか言われて。俺たちは落ちてんだよ(笑)。落ちるやつを勉強しちゃダメなんだよ(笑)

――そういうところがトータルテンボスの素敵なところなんですよね。芸歴的にはサンドウィッチマンさんとほぼ同期なのに、ベテラン感がない。

大村 実際、サンドさんのほうが年は上だけど、コンビ歴は下なんだよね。俺たちがM-1ラストイヤーのとき、彼らは優勝して、あと1年出られたらしいんで。

――サンドさんの場合は、自分たちのことを「おじさん認定」して、おじさんとして振る舞うのが早かったんですよ。でもトータルテンボスは、今も若者枠で活動してるんですよね。

大村 幼稚なんですよ(笑)。

――地元のツレ感がまだ残ってる。それがエモいんですよね。

大村 マジで感覚が大人じゃないんですよね(苦笑)。

――お互いにイタズラし合う感じとかも。

藤田 そうですよ。いい大人だったら、相方にイタズラなんかしないじゃないですか(笑)。

――それが奇跡なんですよね。 結成25年ですけども、その前から友達なわけですから、それ以上の年月を共に過ごしても、若者ノリで互いにそういうことができる素敵さ。

藤田 うん。相当おじさんですけどね(笑)。アラフィフだからね。『チャリロト』でも、競輪を通じてやっている僕らの面白おかしいやりとりを見てもらえたらと思いますね。番組ではやることが多いので、もうちょっと自由に喋れたらとは思ってるんですけど……ダラッとした雰囲気が僕は好きなんで、皆さんも賭けるついでに、そのダラダラした部分も見て楽しんでもらいたいなと。

大村 競輪に興味がある人ない人、いると思いますけど、まずはこの『チャリロト』を見て、特に競輪に興味ない人も見てくれるようになれば、一番いいんじゃないかなと思います。

「早い人が勝ち」だけじゃない! 人間関係や心理戦? トータルテンボスが語る競輪の魅力 | WANI BOOKS NewsCrunch(ニュースクランチ)( https://wanibooks-newscrunch.com/articles/-/3271 )

〈美馬 亜貴子〉

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