ミュージカル・ドラマ・音楽と活躍する古川雄大。弱点はトークと自虐!?

ミュージカル『エリザベート』に出演中の古川雄大が、今年2月に開催されるミュージカルコンサート『古川雄大 The Greatest Concert vol.2 -A Musical Journey-』のためにインタビューに応じてくれた。

「“MAJESTIC CASTLE(雄大な城)”にお客様を招く」というコンセプトで開催したvol.1から一年。今回のvol.2は世界観を拡げ、“ミュージカルの歴史を辿る旅”をコンセプトに、2007年にミュージカル『テニスの王子様』で初舞台を踏んだ日本青年館ホールが会場となる。忙しい舞台の合間を縫って、構成を打ち合わせ、これまで歌ったことのない曲を稽古、筋トレも続け……と着々と準備を進めている様子。昨年はドラマ『恋と弾丸』(毎日放送)で主演を務めるなど絶好調、八面六臂の活躍ぶりだ。

歌えて、踊れて、高身長で抜群のルックス。まるで隙のないミュージカル界の新プリンス。だが、唯一の弱点がトークと自虐。笑いのツボはシュール風? 「自分でも謎の投稿が多いと思います(笑)」というインスタグラムについても言及する。

▲2022年11月より東京・帝国劇場でスタートし各地で公演を行ったミュージカル『エリザベート』も、福岡・博多座公演を残すのみとなった

■好評だったミュージカルコンサートの第二弾が決定!

――先日まで放送のドラマ『恋と弾丸』と舞台とのギャップがすごいですね。

古川 映像のいろいろな現場でさまざまな方に出会い、たくさん学ばせていただきながら、自分で「こういうふうにしてみようかな」とトライできるようになりつつあります。ありがたいことに主演もやらせていただけるようになり、現場の空気作りだったり、演じるだけではないプラスアルファの部分も頑張りたいと思うようになりました。日々、勉強です。

舞台は長いことやってきて卒業する役も出てきたりして、後輩もどんどん育ってきていて、ミュージカルも新しい変化の時期にあるような気がしています。そこに対応しつつ、もっともっと頑張りたい。ギャップはありますけど、そんなに苦しんではいません。むしろ、楽しんでやらせていただいています。

――さらに2月には第二弾となるミュージカルコンサートもあります。

古川 皆さんに発表させていただくより前に開催が決まっていたので、体感的には第一弾が終わってすぐ次の準備に取り掛かり始めて、“早っ”と思いました(笑)。そして“またやらせていただけるんだ!”という喜びもありつつ、内容を凝りたいと思ったので、準備の時間は足りるのか……という不安も少しはありましたが、打ち合わせを重ねて全体が見えてきて、今の段階では不安はどこかにいきました。期待しかありません。

――内容を凝りたいというのは?

古川 自分で言うのもなんですが、前回のコンサートが良かったんです(笑)。いろんな人が関わってくださり、それぞれの意見を取り入れて作った構成なので、かなり精度の高い、いいセットリストになって。一部は喋らず一気に見せるあっという間の40分。二部は空気が変わってポップな感じ。そのバランスが唯一無二なものになったと勝手に思っていたので、第二弾もそれに匹敵するものにしたいと思いました。

たくさんアイディアをもらって自分でも意見を出しながら、今回は「今までにやったことがない曲を集めよう」というのが大きな柱になり、そのうえでミュージカルの歴史を旅していこうと。前回が古川雄大の歴史なら、今回はそれをより膨らませて、壮大なミュージカルの歴史を追っていく。その二つの柱を立てました。

そのほかにも売りはもっとあるんですが(笑)、ちゃんとできたらかなり喜んでもらえると思う反面、やるのは正直大変です。ただ、前回もそう思いながらできたので、そこはなんとかなるだろうと、ちょっと楽観的でもあります。

▲2月からのミュージカルコンサートは好評だった第一弾に匹敵する内容にしようと取組中だ

■10日間、毎日飽きることのない濃密な内容のコンサートに

――ミュージカルの歴史を紐解くというのは、どの辺りからですか。

古川 今のところは、おおよそ100年ぐらい遡り、ミュージカルが生まれた歴史を年代順に追っていく形になっています。キャッチーな曲を選んだり、みんながどこかで聞いたことのある曲を混ぜながら、ミュージカルを知らなくても飽きないような構成を目指しています。

一部は僕が出演していないミュージカルばかりで、二部と合わせても経験のある作品は3割程度。だから大変なんです(笑)。曲順はいい流れでありながら、ちゃんと年代順という驚きがあると思います。難しく感じたのは、ブロードウェイの曲のなかにロンドンの曲が入ると、ちょっと色が変わる瞬間があるんですが、違和感のないように工夫をしています。

――前回とは違う内容になりそうですね。

古川 全然違うと思います。前回は僕のことを“好き”と言ってくださる方が楽しめる内容でした。でも、今回は僕のことを知らない方も楽しめる内容になると思います。ショーアップはしますが、お芝居の部分が増えて、そこではハンドマイクを使いません。より演じる部分が多くなり、かなり作り込むと思います。公演期間は10日しかないのにも関わらず、濃密な内容です。

――前回を踏まえて、楽しみにしていることは?

古川 これまでも、お芝居をしながら歌うことはありましたが、コンサートという形は前回が初めてだったんです。自分のライブでミュージカル曲を歌うことは何回かありましたが、それだって30分程度。2時間ミュージカルの曲だけを歌い、お芝居の表現とはまた違う感覚で歌う楽しさを知ったのが前回でした。今回は歌い込んでいない曲が多いので、どこまで楽しめるかわかりませんが……(笑)。

――では挑戦的なことは?

古川 じつはハンドマイクを使わないことも、初めての曲ばかりというところも挑戦です。(演出の桜木)涼介さんが思い描いているものに、僕がどれだけ対応できるのかも挑戦だと思います。ハードな曲が多いので不安もありますが、前回のセットリストをなんとかやり遂げられたのは、自分が一番驚きました。だから、今回も挑みたいなと。頑張った結果、また新しい出会いがあったらいいなと思っています。

――ダンスも楽しみです。

古川 できる限り踊りたいです。「無理だったら、“ストップ!”と言って」と涼介さんから言われていますが、僕がストップと言わないかぎり踊ることになりそうです。

――演出の桜木さんについて教えてください。

古川 涼介さんも僕と同様、小池(修一郎)先生の作品を多くやられているので、よくご一緒させていただいています。確かな構想がありながら、周りの意見を汲んでくれる寛大さもあります。先生のそばにいらして、先生のダメ出しを即座に全部受け止めて、一回で修正する高度な技術のある方なので、すごく信頼しています。

今は『エリザベート』でご一緒しているので、いろんな話をさせていただきました。僕のコンサートのイメージは、だいぶできあがっているようで頼もしいかぎりです。いつもお忙しいのに他の作品をやりながら、コンサートのことを考えてらっしゃると思うんですよね。とても愛を感じています。僕もそのエネルギーに負けないようにしないと、と思います。

■映像・舞台・コンサート、それぞれで違う顔を見せたい

――古川さんにとって、ミュージカルコンサートの位置付けは?

古川 ミュージカルに携わるようになってだいぶ経ちましたが、前回が初めての挑戦でした。アーティスト活動のライブをずっとやっていきたいという思いと同じぐらい、このミュージカルコンサートをずっとやっていきたいという思いでいます。

ミュージカルでさまざまな作品と出会って、いろんな役をやらせていただいていくように、それと並行してこのコンサートも頑張っていきたい。作品、役それぞれの魅力をこのコンサートで膨らませられるように、ミュージカル活動も頑張っていきたいです。

――映像、舞台、そしてコンサート、どんな思いをファンの方に届けたいですか。

古川 新しい面を見せていきたいという思いは、ミュージカルでも映像でもあります。役柄があるのでその役を全うしながら、全部違う顔に見えていてほしいです。舞台は再演、再再演が多くて、今公演中の『エリザベート』のトート役も以前演じていますが、たぶん、これまでと違うトートになっていると思います。

その点、コンサートは役と離れる瞬間があるので、一番お客さんファーストで考えられる場所なのかなと思います。セットリストの選定から打ち合わせに参加させていただいて、自分で作っている感覚もあります。

――前回のコンサートから引き継いでいるところはありますか。

古川 他とは違うものをテーマにしているところでしょうか。例えば、ライブのように歌を披露して、トークをする構成ではなく、前回は全く喋らないで40分歌って、作品の要素を感じてもらえるようにショーアップしました。今回も打ち合わせを進めているうちに次々と売り文句が出てきています。

――売り文句が次々と……。おさらいさせてください。

古川 まず、ミュージカルの歴史をたどります。しかも年代順。そして僕が舞台上で歌ったことがない曲をやります。僕のファンの方にとっては、それも売りではないでしょうか。あとは、けっこう踊ると思います。あれ!? もっとあるはずなんですけど……。売り文句、もうちょっと探しておきます(笑)。

▲コンサートは役から離れるので、一番お客様ファーストで考えられる場所だと思う

■毎日変わる豪華ゲストも見どころ。それぞれの魅力を解説

――コンサートのゲストは明日海りおさん、上原理生さん、大野拓朗さん、木下晴香さん、昆夏美さん、平野綾さん、三浦涼介さん、渡辺大輔さんと今回も豪華ですね。

古川 日毎にゲストが違うので、お客様の期待とゲストの方に合っているものを披露できたらと思っています。三浦(涼介)くんや(大野)拓朗くんとは過去に共演した作品から歌ってほしいと思うでしょうし、(上原)理生くんの回は、『1789 -バスティーユの恋人たち-』で楽屋がずっと一緒だったんですが、仲がいいことがあまり知られていないのでトークが楽しみです。一番、わちゃわちゃする回になるんじゃないかな。本当に素敵な方なので、終始、理生くんに甘えていると思います。

平野(綾)さんは、『レディ・ベス』で僕がフェリペをやったときに主役としてのパフォーマンスがすごくて、同い年ですけど刺激をいただいている一人です。『モーツァルト!』で僕が初めて帝国劇場で主演させていただいだときも支えてくれて、板の上で助けてもらったことがたくさんあるので、今回はお芝居を離れてコンサートの場でご一緒してみたいと思いました。昆(夏美)さんは、2作ぐらい共演しましたが一緒には歌えていないので、この機会にぜひ! という思いです。いつも『オン・マイ・オウン』を聞いて、素敵な声だなって思っています。

明日海(りお)さんは前回が初めてでしたが、ご一緒してみて“もっとコラボしたい”と思いました。渡辺大輔くんは一番仲がいい人です。『テニスの王子様』から15年の付き合いになるので、ここはもう間違いない! 木下(晴香)さんとは一緒にやれる曲がたくさんあるので、前回だけでは時間が足りなかったんです。もっとご一緒できたらという思いで今回もお声がけしました。

――前回、ゲストの方から学んだことなどはありましたか。

古川 本当に素晴らしい方々にご出演いただいて、発見ばかりでした。仲の良いメンズのゲストたちは尊敬もしていますが、ライバルでもあります。でも、それをとっぱらって、学ぼうというより楽しもうという意識のほうが強かったと思います。

あとはトークのときは基本的に焦っていて、間が怖くてずっと喋ってしまったので、次は“トークを頑張らないと!”と思っています。いろんな人とフラットに話すことはすごく難しいですが、もてなすホストとして、皆さんに同じように楽しんでもらいたいと思ってます。……って本気の反省を話してしまいました(笑)。

■お笑い好きの一面も。トークに活かしていきたい!?

――トーク、苦手ではないですよね?

古川 むしろ得意なほうだと思っていたんですけど……(笑)。でも一人で喋るのと違って、誰かと喋ることはコミュニケーションなので、今はスムーズな会話のキャッチボールができるようにトライしている最中で、大きな課題の一つです。今回もいろんな方と、毎回楽しい空気にしたいけど、その空気感を作るためにはどうしたらいいんだろうと考えながら。

でも、「そんなに笑いはなかったよね?」と思われても怖いので、大きな声で言い過ぎないようにしないとですね(笑)。ライブのMCとか、昔から変な癖で「笑わせないと……」と勝手に思った結果、変な空気にしてしまうんです。笑わせなくてもいい、違う楽しませ方やアプローチをしていけたらと思います。

――笑いが欲しいわけではないですよね。

古川 笑ってくれると、声で“あ、楽しんでくれているんだな”とダイレクトにわかりますよね。でも、楽しむとは笑いだけではないんです。そこにずっと気付かず、3分に1回は笑いがほしいみたいなMCをしていました(笑)。たいして面白い話はできなくても、自分のファンの方は笑ってくれる。だから、それに甘えたMCをしてきてしまったなと思っています。

――でもインスタの不思議な写真といい、そこがツボの方も多いと思います。

古川 たまに迷走しちゃうときがあるんです。そもそも変わっているんだと思います。自分でもインスタを振り返るとそう思います。急になにかに激突してみたり、「なんとかと俺」みたいなのを始めたり。シュール風な感じですよね。シュールじゃない、風なんです(笑)。

――お笑いは好きなんですか。

古川 お笑いは好きなんです。最近の賞レースは追えていないのですが、昔は友達がお笑い番組を全部録画してビデオを貸してくれたこともあって、よく見ていました。最近はInstagramのリールやYouTubeショートなど、短時間でオチまで見せてくれるようなものを求めて見ています(笑)。

――忙しいですから。

古川 いえいえ、時間はいっぱいあります。

――ドラマ『恋と弾丸』もすごい筋肉美を披露していましたが、体づくりも相当していますよね?

古川 『恋と弾丸』は少し痩せていた時期で、鍛えていた名残があったころです。今は舞台だけなので、また少し体を作っています。

――食事も制限しているんですか。

古川 制限はほぼしてないんですけど、筋トレ直後はタンパク質を多く摂るようにしています。トートはやっぱり大きい体のほうがいいかなと思いつつも、半分は自分のためにやっているようなものです。

▲Instagramにアップされる、ちょっと不思議な写真!? も魅力で好評だ

――質問が横道に逸れて、すみません。コンサート、楽しみにしています。

古川 僕を追いかけてくださっている方も、あまり知らない方も、一緒にミュージカルと触れ合い、こんな曲もあるんだと新鮮な気持ちになっていただけるショーになると思います。ミュージカルをある程度熟知してくださっている方には、きっと“なるほど”となるセットリストになるので、違う目線で楽しんでいただけると思います。

さまざまな曲を一つの作品として涼介さんがまとめ上げてくれるので、その世界を楽しんでいただきたいです。二部は更にライブ感あるものになるはずです。新しい世界に誘えるよう頑張りますので、期待していただけたらと思います。

――最後に映像作品についても、今後の希望、野望などがあったら、教えてください。

古川 『恋と弾丸』の役はヤクザですけど、綺麗な世界観のものをやらせていただく機会が多いので、もう少し生々しい“悪”みたいなものをやってみたいですし、体は動くほうだと思うので、アクションもやれたらいいなと思っています。『アウトレイジ』が好きで見ていましたし、わりと悪役顔だと思っているので(笑)。そういう役をやってみるのも面白いかな、と自分では思っています。

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〈髙山 亜紀〉

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