外資系OL×YouTuberの二刀流! OL毒女ちゃん動画のモットーは「人に媚びない」
2023年05月27日 17時00分WANI BOOKS NewsCrunch
YouTubeでの動画投稿を始めて1年で登録者数9万人を越えたOL毒女ちゃんは、外資の大手企業に勤務する傍らYouTuberとして活動している。平日はいわゆるバリキャリ女子の彼女が動画で見せる「飾らない等身大の素顔」が人気のチャンネルだ。そんなOL毒女ちゃんこと、東堂かおりさんにニュースクランチがインタビューで迫ります!
■就職活動で人生初の挫折を味わいました
――まず東堂さんの幼少期について聞かせてください。動画ではすごくハイテンションですが、幼い頃はどんな性格でしたか?
東堂かおり(以下、東堂) よろしくお願いします。動画ではあんな感じなんですけど、幼少期は大人しくて、人見知りが激しかったです。お遊戯会でも、お母さんがいないと舞台に上がれないような子でした。だから、親も変化に驚いています(笑)。
小中学生になって、習い事を始めたんです。例えばタップダンスとか。披露会みたいなもので舞台に上がるという経験が何回かあったんです。そういったことを経て、少しずつ人見知りしなくなっていきました。
――動画を拝見していると、ワードセンスが抜群だなと感じました。学生の頃から口数は多いタイプでしたか?
東堂 本当ですか!? 自分ではあまり意識していなかったですけど……でも、うれしいです! 学生時代はそんなことなかったので、磨かれたとしたら社会人になってからですね。営業職というのも大きいのかもしれません。
――営業先でさまざまな人と出会い、良いところを取り入れていかれたんですね。現在は外資系OLとして働きながらYouTubeで動画投稿をされていますが、幼い頃の夢はなんでしたか?
東堂 ちょっと恥ずかしいんですけど……「お金持ちの旦那さんを捕まえるお嫁さん」でしたね(笑)。
――ずいぶんと現実的な夢だったんですね(笑)。
東堂 はい(笑)。ずっとそうだった気がします。職業的なことはあまり考えたことがなくて、男性に大事にされるお嫁さんです。
――大学卒業後、1カ月間無職だったとお聞きしました。どういった経緯でその状況になってしまったんですか?
東堂 やりたいことなかったからですね。大学を卒業して、自分が何者かもわからなかったんですけど、プライドは高くて……(苦笑)。
父が大手メーカー勤務だったんです。母からは“大手メーカーは福利厚生がいい”ということをずっと聞かされていて。そして、それ(福利厚生がいい)が当たり前の家庭で育ったんですね。なので正直、漠然とではありますが“おそらく、私は大手の会社に入るんだろう”と思っていました。
――そう思っていたけど、タイミングなどが合わず就職先が見つからなかった…?
東堂 そうですね、自分が行きたいと思っていた会社には受からずでした。いま思うと、人生で最初の挫折が就職活動でしたね。それまでは、うまくいかなかった、ダメだったことって、あんまりなくて。
基本的に、勉強はちゃんとやればある程度はできて、習い事のバレエも1人で踊るポジションをいただけたり、ピアノもしっかり弾けているという評価をいただいて。それまでの人生は結構うまくいってたと思うんです。
それが、大学生になって「就職活動」という自分でしか道を開くことができない場所に立ったときに、全部ダメになって……。「あれ、なんで私は大手企業にいけないんだろう?」という感覚に陥っていました。

▲人生初の挫折は就職活動だった
――そうだったんですね。動画では「根性」という言葉をよく耳にします。この根性というのは、就活での挫折だったり、親御さんからの教えで身についたものですか?
東堂 習い事が大きいかもしれないです。小学生からたくさんの習い事をやらせてもらって。友達と遊ぶ時間がないくらい忙しい人生を送っていたんです。
そこから高校生になるタイミングで「バレエ」と「ピアノ」の2つに絞ったんです。さっきもお話した通り、ありがたいことにバレエは1人で踊るポジションをもらえたりしたんですけど、始めた当初はすごく苦手だったんです。
でも、苦手でも「やめる」という選択肢はなかったんです。「義務」としてバレエをやっていたので。小学生だったから、やめる以外のことを考えることもなかったんです。
あとは、中高は部活動でダンス部に入部しまして。ダンスといってもクラシックバレエに近いダンスだったんですけど。そこの上下関係がすごく厳しかったんです。先輩からの理不尽な𠮟りとか……。いま振り返るとなんですけど、そういったことが自分の人生の基盤になっていますね。
■動画投稿のきっかけは同世代YouTuber
――続いて、YouTube活動についてお伺いします。自分で動画を投稿する前に見ていたYouTuberさんはいますか?
東堂 いろいろな方を見ていたんです。それこそHIKAKINさん、はじめしゃちょーさん、ヒカルさん、今は活動休止してしまいましたけど、ヴァンゆんさんとか……。大御所の方はほとんど見ていましたね。
――動画を制作するにあたって参考にした方はいるんですか?
東堂 うーん……参考にした方はいないですね。とりあえず、自分のやりたいものを投稿したい!って感じで始めたので。
ただ、きっかけはあります。ヒカルさんの動画を見ていたときに「8月、本気でYouTubeやります!」といった趣旨の投稿を目にしたんです。その後、9月1日に投稿された動画をみたら「すごくいい夏でした!」ということをおっしゃられていまして。「8月、YouTubeで毎日投稿を本気でやり切って、いい夏を過ごせた」と。
会社勤務の人って、基本的に8月に夏休みがあるじゃないですか。私もちょうど仕事が落ち着く時期でもあったんです。なので、お休みの日はボーっとしながら過ごしたんです。でも、9月1日のヒカルさんの動画を見て“私の夏ってなんだったんだろう……”って。
同世代のこの人はこんなにもファンがいて、何かに全力で取り組まれた1か月があった。はたまた仕事だけして、何も爪痕を残すこともなく、課せられたことだけを淡々とこなして、休みの日は何もしなかった自分……。いい夏だったかと聞かれたら「よくわからない」としか言えない日々だった。この違いはなんだろう? というところから、「私も熱く生きたい!」「何かに一生懸命になってみたい!」と思ったのが動画投稿のきっかけです。
――動画投稿のきっかけはヒカルさんだったんですね。どういうジャンルの動画を投稿していこうと考えていましたか?
東堂 正直、考えなかったです。私がコンテンツ化できるものって、そんなにないと思うんです。人よりも尖ったスキルがあるかと言われたら、ないですし。だったら、等身大の自分の日常を出したいなと思いました。どうせ、誰もみないと思っていましたし(笑)。
――記念すべき1本目の動画ですが、現在では59万回再生されています。当時の反響はどうでしたか?
東堂 それが、動画をUPした直後は全く数字が伸びなくて。1日に5~6回見られているかなーというくらいでした。今も動画に出演してくれる日向翼( @hyuga_tsubasa7 )っていう友達と自分、あとはたまたま誰かが見てくれるんだろうなって状態で。やっぱりYouTubeって難しいんだなぁ……と感じた瞬間でした。でも、それでもいいと思っていました。自己満足で始めたことだったので!
――最初はそんな状況だったんですね。それが今では登録者数10万人が目前に迫っています。自己満足で始めたとはいえ、多くの方が「OL毒女ちゃん」の動画を見ています。心境はいかがでしょうか?
東堂 まさかこんなに多くの方に見ていただけるとは……! 本当に感謝しかないです。自分のことながら「なんでこの人、こんなに動画みられているの?」と思っているくらいなので(笑)。
――OLとして働きながら、動画投稿もする二刀流で活動をされていますが、動画を作るのキツいなぁって思ったことはないんですか?
東堂 それは全くないですね。「自分が撮りたいタイミングで、撮りたいものを撮る」っていうのが「OL毒女ちゃん」というチャンネルを立ち上げるときに自分と決めたルールなんです。
「自分の本業を疎かにして動画を投稿する」ということだけは、絶対にないようにって。たまたまたくさんの方に見てもらえて、チャンスをもらっているだけ。「今この瞬間しかない」っていうことだけは、ずっと自分の胸に刻んで活動しています。この気持ちだけは揺るがないように1年間活動してきました。
――そうやって信念をもって続けてきた動画が人気になり、先日開催されたオフ会には400人も集まったそうですね。ファンの方と同じ時間を過ごして、いかがでしたか?
東堂 すごく新鮮な気持ちでした。動画のコメント欄などで「ファンです!」と言ってくださる方は見ていたのですが、実際にファンの方と触れ合う機会は今までなかったので。来てくれるのかなとドキドキだったんですけど、たくさんの方が足を運んでくださって、本当にうれしかったです。
――男女比ってどれくらいだったんですか?
東堂 男女比を出せないくらい圧倒的に女性が多かったです。私の動画を見てくださっている方って、24~35歳が一番多くて、次に34~45歳なんです。会場に来てくださったのも見た感じそれくらいの年齢の方が多かったですかね。
――やはり同世代に近い人たちに支持されているんですね。ちなみにチャンネル名の「OL毒女ちゃん」ってどうやって決まったんですか?
東堂 最初は「OL毒女ちゃん」じゃなかったんですよ。飼っている犬の名前にちなんだチャンネル名で長めのをつけた気がするんですけど……思い出せない(苦笑)。でも“長いな”って自分でも思って、もっと短いのにしようと。
まず、自分はOL。そしてOLの中でも私はなんだ? と考えたときに独身でもあるし、友達がいない独りぼっちだし、毒も吐くし……って自分を分解していったんです。共通している言葉が「どく」だなと思いまして。
「独」と「毒」どっちが強いかな? 自分に合っているほうはどっちかなって考えたら、圧倒的に「毒」だなと。それでOLの毒を吐く女ということで「OL毒女ちゃん」が誕生しました。
――誰かに「毒を吐くよね」って言われたわけではないんですね(笑)。でも、結果的に変えて成功でしたね。
東堂 はい。全部自己分析をした結果です(笑)。私らしさも出て、気に入っています。
■自分で自分の機嫌をとれる人生を歩みたい
――以前に取材を受けられた記事で「自分が発信できているのは、芯を保てているから」ということが書かれておりました。この「芯」は現在の会社に入ってできたものですか?
東堂 磨かれた部分はあると思います。今の会社に入って5年経つんですけど、この5年で大きく成長できているかなと。それまではお話したように就活で挫折したり、転職を繰り返したりと情けない人生でした。
そういう(情けない)人生を歩んでいたらと、友達と会うときに必要以上に自分を大きく見せてしまったり、ウソをついてしまったりしていたんです。自分でも情けないと思っていましたが、そうでもしないとプライドを保てませんでした。
でも、そんな自分がもうイヤだなって考えたときに、自分で自分の機嫌をとれるくらい稼いで、自分の欲しい物は買えて、生活に不自由ない人生を歩みたいなと思ったんです。この考えを持って今の会社に入ったので、それがより一層磨かれたという感覚はあります。

▲「自分で自分の機嫌をとれる人生を歩みたい」と語ってくれた
――5回の転職を経て、現在の会社に入られたとお聞きしました。1回の転職活動でもエネルギーを相当使うと思います。5回というのは、常にひとつ上のステージを目指したいという向上心からなのでしょうか?
東堂 うーん、それまでに入った会社が過酷すぎる労働環境だったというのもありますね。ストレス耐性は高くないので、些細なことでストレスを溜めてしまいがちなんです。そのストレスも自分が解決できることだったらいいのですが、圧倒的に他者からの理不尽な要求だったり、自分が売ろうとしているものは本当に社会のためになるのだろうかなど考えてしまって。
もちろん考えることを放棄して売ってもいいんですけど、私にはどうしてもそれができなかった。うまく生きる、折り合いをつけることが苦手なんです。そういう自分でどうにもならないことに力を使うなら、大変だけど転職活動をして環境を変えることにエネルギーを持っていったほうがいいなと思ったんです。
――転職を経てたどりついた現在の職場はストレスが少なくなりましたか?
東堂 そうですね。圧倒的に少なくなりました。本当に私の偏見なのですが、お給料ってその会社を表すと思っているんです。少ない会社は心が荒んで、人間関係も悪くなると思うんです。人間関係が悪くなると、責任の押し付け合い、言い合いなどがあり職場の空気感もよくないんじゃないかなと。もちろん、そうでない会社もあるのはわかってはいるので、本当に鬼のような偏見ですが(笑)。
そういう環境を経験してきたからこそ、お給料がよくて人から必要とされている会社はクリーンで、ある程度有名で、悪いことしていなくて……という感じでポジティブな印象につながっていく。だからそっちの世界に行きたいと思ったんです。
実際に今の会社は人間関係もいいです。距離の取り方がうまいんですよね。人を咎めたりはしないし、押し付け合いもないですし。ひと言でいうと、みんな大人ですね。
――職を変える、YouTubeを始めるなど、いくつかターニングポイントがあったと思います。そのポイントで交友関係は変わっていきましたか?
東堂 変わっていくというよりも、もともと友達が多くないんですね。数少ない友人たちも学生から社会人、転職など環境が変わるごとにどんどん関係性がなくなってしまいました。今は先ほど名前が出た日向くらいです。
友人は欲しいんですよ。でも、自分の性格的に難しいのかなとも思っています。さっき言った毒を吐くじゃないんですけど、思ったことはズバズバ言ってしまう性格なんです。高校は女子高だったんですけど、怖い人認定をされていました(苦笑)。
だからと言って、いじめられる対象ではなかったので、距離を置かれている感じでした。「あー、かおりさんねぇ……」みたいな(笑)。なので、学生生活も「楽しかった!キラキラしていた!」という感じではなかったですね。
■誰でもスターになれるチケットを持っている
――動画で視聴者の質問に噓偽りなく、ズバッと答えているのが印象的です。回答をするうえで大切にしていることは?
東堂 「人に媚びない」ですね。質問の文面にもありがたいことに「かおりさん、ファンです!」と書いてくださる方たちもいるんです。私を好いてくれているわけですから、もちろんうれしいんです。そういう方には歩み寄った回答をしたくもなります。
でも、言っていることが「あれ? おかしいんじゃない?」と思ったら、ビシッと言います。毒女と名乗っていますが、攻撃性がありすぎるワードは言わないように注意しています。それは違った問題にもなってきますし。一番は「事実を伝える」ということに重きを置いています。
――本当にその人のことを思うからこそ、厳しい言葉も必要ということですね。
東堂 そうですね。キツイと思われるかもしれないのですが、少しでも質問してきてくれた方の役に立てていたらうれしいです。
――YouTubeを始められて1年ちょっとでたくさんの方が見るチャンネルとなりました。今後の展望など聞かせてください。
東堂 動画投稿を始めたこの1年、怒涛の日々でした。この1年を経て、次に自分にできることは何か? というのは考えています。
今の時代、誰でもスターになれるチケットを持っています。スマホひとつでSNSや動画投稿はできるので。そんな世界で「OL毒女ちゃん」という存在は必要かな? と考えてしまうことも正直あります。いつまでできるかな? そもそもYouTubeがいつまであるかな? とか。
まだ具体的には考えていませんが、どこかのタイミングで“終わりにしよう”という決断はしないといけないのかなぁ……とぼんやり思っています。
YouTubeという枠から出て、美容部員をやっていたときに培った美容の知識とか、それに付随する商材を作り上げるとか、なにかひとつ形に残して終わりたいという気持ちもあります。
動画投稿で人から必要とされる喜びというのを知ることができたので、お返しというのも変かもしれませんが、人の役に立つ有形商材が作れたらと。それが称賛されたりしたら、すごくうれしいですね。それを達するまでは、YouTubeで人前に立つ、見てもらうということを続けてはいきたいと思っています。

▲動画投稿で人から必要とされる喜びというのを知ることができました
■プロフィール
OL毒女ちゃん(東堂かおり)
全ての写真をみる(https://wanibooks-newscrunch.com/articles/photo/4272)
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