バイク川崎バイク「このスピードで単独が完売したのは初めて」
2023年08月30日 07時00分WANI BOOKS NewsCrunch

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芸名の略文字を用いた掛詞からの「BKB! ヒィーア!」、バイクにちなんだショートフレーズから「バイクだけにブンブン!」と締めるなど、ユーモアあふれるインパクトの強い漫談で知られるピン芸人・バイク川崎バイク。
今年も8月19日に毎年恒例となっている単独ライブを開催した。今年は芸歴20年目。芸風のインパクトのみならず「8月19日のノイズ」としての楽曲制作ほか、最近ではショートショート小説集『電話をしてるふり』が話題になるなど、マルチな活動が目を引く存在でもある。
芸歴20年目を迎えた現在の心境、長めのコントなども披露している単独ライブについてなどを語ってもらった。
※本記事は『+act.(プラスアクト)2023年9月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。
■コロナ禍以降、初めてお客さんと「ブンブン!」
――8月19日、バイクの日の単独ライブは恒例となっていますよね。
バイク川崎バイク(以下、BKB) バイクの日だけでいうと2015年くらいからかな。8年くらいやってますけど、単独だけだと2012年からやってきたんで11年とかですかね。単独はとにかく準備することが多いので、今はVTRや毎年作っているオープニングの歌のことをやっていたり……ネタはまだ全然できてないですけど、全体的な構想を準備している段階で(注:取材は7月上旬に敢行)。ネタ以外は(ほかのスタッフに)任せてる芸人もいるとは思うんですけど、僕は性格的にできることは全部やりたいんですよね。
――どれくらい前から準備に取り掛かるんですか?
BKB 3~4か月くらい前に、作家さんと“今年もやっていきますか”みたいな最初の顔合わせをして、単独のタイトルを出してテーマを決めてポスターを作っていく感じですかね。3か月前はまだ余裕こいてるんで焦ってはないんですけど……いや、ほんまは焦っといたほうがいいって毎年思います。
ネタのセリフも、単独の10日前くらいに全部(頭に)入ってるっていう状態が一番いいと思うんですけど、いただいているお仕事と並行してやっていかないといけないので、なかなかそうはいかなくて。ほかのお仕事ももちろんありがたいんで贅沢な悩みなんですけど、ピン芸人って一人やから、サボるも進むも自分次第なんでやるしかないですね。
――ネタについてはいかがですか? BKB漫談はもちろん、長尺のコントを毎年やられている印象があります。
BKB ひとりコントはずっとやってますね。『R-1』(の出場資格)がなくなって、ガチガチな賞レースで必要なタイトなボケネタを作らなくてよくなったこともあって、7~8分、長くて10分くらいのコントができるようになったのはうれしいです。
もともと物語性のあるコントは好きですし、特に小説を書き出してから(コントの)ストーリーも見られてるんかもと勝手に意識し出して、起承転結もちゃんとしたいなとか思い出したのかもしれないです。とはいえ、お笑いを入れながらそうするのは難しいですけどね。もっと言うと、ピンのコントってフリの時間が必要なんですよ。二人の会話やったらパパっと触れられるけど、一人やと説明が増えてしまうこともあって、(ネタが)長くなるパターンもあります。
――先ほど『R-1』への出場資格がなくなって、コントの作り方も変わったとのことですが。
BKB それまでは、ドンとウケるファーストボケを30秒くらいでやるっていう作り方をしてた気がします。そういうネタも作りたいんですけど、今は浮かんでない。脳みそがタイトなコントじゃなくなったのかもしれないです。
ラスト『R-1』のことは今も憶えてますよ。期せずしてラストやったんですけど、2回戦で負けちゃって。しかも6~7分のコントを無理やり2分にして中途半端な状態で挑んだので、やっぱり無理やったかと思ったっていう。あれはイヤな思い出です(笑)。
『R-1』で使えそうなネタを……みたいなことを思わなくなったのはよかったのかもしれない。好きなタイプのいいコントにしようと思うと、7分くらいは必要なので。まぁ、僕の場合はですけど。
――コントが好きだというのもあるんですか?
BKB そうですね。NSCの頃からバナナマンさんとかを見ていたので、どこかに憧れはあります。男性ブランコとか、さらば(青春の光)とか東京03さんとかがコントライブをやってるのを見ても、かっこいいなと思いますし。
ただ、ひとりコント単独ライブを毎年してる人って少なくて、なので毎年やってるバカリズムさんの単独は見て参考にさせてもらってます。参考にはさせてもらいつつ、でも俺、BKBやしなって思ったりもして(笑)。まぁ、ギャップを楽しんでもらえたらいいですよね。
――BKB漫談は今年の単独でも披露されますよね?
BKB もちろん。オープニングアクトに近いですけどね。昨年は宙吊りしたんですよ。ルミネなんですっごい低い宙吊りですけど、吊られるにしてはちゃんと怖くて。けど、低いのがおもろくて、お客さんも盛り上がってくれました。今年はコロナ以降、初めてお客さんとブンブンもやれますね。ずっとサイレントとかハミングでやってもらってたんですけど、3年ぶりに「全力でブンブンって言ってくださいね!」って言えるのも楽しみです。
■勘違いの20周年でもチケットはすぐに完売
――今年は20周年ですか。最初、そのように謳っていたような気が。
BKB 世間からしたらどっちでもいいと思うんですけど、じつは今年20年目で来年が20周年ですね。普通は20周年で何かやりますよね? けどまぁ、20年目も節目と言えば節目なんで、このまま進めてますけど、最初、タイトルにつけてた“アニバーサリーイヤーズ”みたいなやつは取りました(笑)。勘違いの20周年でした。
――そのまま準備を進めているということは、今までとは少し違った単独になりそうだということですかね。
BKB 20年目なので例年のシンプルな単独より、少し豪華な作りにしたいなとは思ってます。全部は言えないですけど、劇場のチケットは完売してるのでオンラインで見ていただければ。劇場のチケットは2日で売り切れたんですよ。……読めないですよね。
――読めないとは?
BKB 今年、大ブレイクしたわけでもないのになって。手前味噌ですけど、ルミネの単独は10年連続で完売してるんですよ。でも、いつもは“ライブが近づいてきましたよ”みたいな告知をしながら、3日前くらいにあと5席です、とか告知してたんですけど、今年は一般発売の夜には残り少なくなってて、翌日には完売。このスピードで売れたのは初めてだったんで、なんかあったっけ?ってなりました。
――思い当たる節はあるんですか。
BKB 積み重ねしかないですかね。小説を書いたとか散髪のYouTubeを始めたとか。テレビも頻繁に出てる人に比べたら出てないですけど、出てない人に比べたら出てるっていう。毎年、絶妙な感じで出させてもらっているので、そういう種まきが実ったのかもしれないです。もちろん20年目と謳っている影響もあると思います。
――同じことを20年続けるってすごいことですよね。
BKB たしかにね。食えてなかったらとんでもないしんどさだったんでしょうけど、最近は一応安定してるので。イチローさんが小さなことの積み重ねがいつかとんでもない結果を生むみたいなことを言ってて。僕はとんでもない結果は生んでないんですけど(笑)。
吉本の身近なピン芸人には、佐久間一行さん、あべこうじさん、もう中学生さん、とにかく明るい安村さん、おいでやす小田さんと、そうそうたる方がいますけど、積み重ねて頑張ってきたお陰で、その隣におれるくらいにはなれたんかなと思います。
たむけんさん(たむらけんじ)が、20周年に『TKF大祭り』って淡路島に何万人も集めてライブをやってたんです。そのとき、20年目ってすげぇなぁと思ってたんですけど、いざ自分がそうなってみるとリアリティーはないですね。まぁ、今は芸人が増えてるぶん、20年目も通過地点みたいになってるから、感覚的に以前とは違うのかもしれないです。
〈タカモトアキ〉
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