亡くなられてもう10年―森光子さんを偲んで

長く日本テレビに在籍していた私は、テレビの仕事を通していろいろな方に出会いました。なかでも、今年亡くなられてから10年になる森光子さんのことは、ときどき思い出します。

今日は、森光子さんのことを偲びながら、想いを新たにしたいと思います。

森光子さんというと、舞台の「放浪記」が有名です。この舞台は、原作林芙美子、脚本・演出菊田一夫で1961年に初演され、森光子さんは最初から主演し、2009年の2017回まで続けました。私も何回か拝見した森さんの代表作で、86歳まで続けた有名な「でんぐり返し」も印象に残っています。森さん自身が持たれている「魔術」のようなもので、観客の心をしっかり取り込んでいました。芸事(げいごと)に対する執着と情熱、その「芸」の素晴らしさに圧倒されるばかりでした。

■コント本番の森さん、予想もつかないギャグを連発

仕事でご一緒したのは、バラエティー番組「THE夜もヒッパレ」のゲストとして、ジャニーズ事務所のTOKIOと出演していただいたのが最初です。これは、今は亡きメリー喜多川さんのご紹介で実現しました。

次は1996年のSMAP・TOKIO・Kinki Kidsの特番で、コント場面に登場した森さんはセーラー服におさげ髪というスタイル。控え室からスタジオまで私がご案内する時に、たまたま会ったタレントの山田邦子が「渡辺さん、何をやってるんですか」と驚いていました。その後エレベーターに乗ると、一緒に乗り合わせたまだ知名度の低い若いタレントに、ご自分から丁寧な挨拶をされたのです。相手も随分驚いた様子でしたが、私も、人間としてあるべき姿を自然に教えられた気がしました。いざコントの本番では、予想もつかないギャグを連発、周到に準備されてきたのだと頭の下がる思いでした。

舞台、歌を中心としたバラエティー番組、コントという3つの違うシチュエーション全てで、森光子さんという偉大な女性の「輝き」を見せていただいたとの思いを強くしました。

このコラムでも、以前に書きましたが、1997年の秋には、妻と一緒にメリー喜多川さんから招待され、ジャニーズ事務所の東山紀之さんの舞台を見て、夜は、森さんと、メリーさんと東山さんとでお食事をしたことも忘れられない思い出です。

舞台やTVカメラを離れた所での森さんも、飾らない明るい人柄で、大変魅力的でした。森光子さんらしい、ステキな思い出です。

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