鎌倉殿の13人 「畠山重忠VS北条時政」の背景がよく分かる! 「惣検校職」を深掘り <歴史好きYouTuberの視点【第34回 理想の結婚】>

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の9月4日(2022年)放送回は「第34回 理想の結婚」でした。登録者数12万人を超える人気歴史解説動画「戦国BANASHI」を運営するミスター武士道が、「第34回」の解説動画で最も熱く語りたかった「ツボ」は?

動画内容を軸に再解説します。次回放送をより楽しむための準備・復習にもお役立てください。(ネタバレあり)

■一族内でその座をめぐり争いも

いや~乱世乱世。どうも歴史好きYouTuberのミスター武士道です。

鎌倉殿の13人第34回『理想の結婚』では、北条義時の3番目の妻、のえ(伊賀の方)が登場しましたね。「おなごはキノコが好き」という根拠なき自信を未だに持ち続けている義時でしたが、ついに運命の人に巡り合えた......と思いきや、のえの「キノコ好き」は単なる社交辞令だったようです(涙)。

今後の二人の関係からも目は離せませんが、今回は畠山重忠のセリフにあった『惣検校職(そうけんぎょうしき)』について解説したいと思います。

武蔵国の最有力御家人、比企能員を滅ぼしたことで、武蔵国で北条時政の介入が始まります。武蔵国の御家人である畠山重忠は、自身の役目である『惣検校職』を時政に返上するよう申し付けられたことで、時政への疑心暗鬼が生じていきます。

それでは、この『惣検校職』がどのような役職だったのかいうと、簡単に言えば武蔵国の「現場監督」です。

まず、武蔵国の名目上のトップは、『武蔵守(国司)』です。しかし、この国司は基本的には武蔵にはいません。国司の生活の基盤は京都にあり、京都からリモートで指示を出したりすることはあっても、現場に赴いて指揮を取ることはありません。そこで、実際に現地で指揮を執る現場監督が必要になります。それが『惣検校職』と考えられています。

しかも、この『惣検校職』は武蔵国の秩父氏(畠山氏や河越氏、江戸氏など)の棟梁(リーダー)に代々受け継がれてきた役職であったと言われています。

さらにこの秩父氏というのは一枚岩ではなく、同じ秩父氏の畠山一族と河越一族は『惣検校職』=『秩父氏棟梁』の座を巡って争った過去がありました。

前任者の河越重頼は、秩父氏の棟梁として、また比企の親類として(妻が比企尼の娘)、さらに源義経の舅として鎌倉幕府で有力な御家人となっていましたが、義経の反逆によって連座し、失脚してしまいました。

そして、『惣検校職』の座を畠山重忠に譲る形となったようです。

畠山重忠にとっては念願の『惣検校職』任官だったと言えるでしょう。

(ちなみに、時政が重忠へ『惣検校職』の返上を申し付けたという記録はなく、この展開はドラマオリジナルのものです)

ここまで『惣検校職』とは何か説明をしましたが、なんと近年の研究では、『惣検校職は代々秩父氏の棟梁が受け継いだ役職』というのは真っ赤なウソだったのではないか......という説も唱えられています。

この説は非常に興味深い話ですので、いずれYouTubeで取り上げて動画にしようと思っています。気になる方はぜひ、チャンネル登録をお願いいたします!

さて、今回の記事はここまで。ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非動画をご覧ください。それではまた来週もお会いしましょう。さらばじゃ!

【追記:参考文献など】今回の参考文献は、『シリーズ・中世関東武士の研究 畠山重忠』(清水亮編著、戎光祥出版)など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。

<第34回解説動画は、(J-CAST)テレビウォッチのオリジナル記事下動画や、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」からお楽しみください>


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++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2022年夏には登録者数が12万人を突破した。

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