1歳女児の「米国で心臓移植」へ5億円超募金呼びかけ 日本の臓器提供、なぜ進まない?(スッキリ)

1歳の女児の心臓移植を米国でやりたいと、両親らが14日(2022年11月)、厚労省前で募金を始めた。背景には、国内での臓器提供が少ないため、保険がきかない外国に行かざるを得ない現状がある。日本人の臓器提供について15日の「スッキリ」が考えた。

佐藤葵ちゃん(1)は生まれつき心臓に欠陥を抱え、両親は海外での移植手術を希望している。ただ、円安の影響もあって、費用は5億円以上に膨らんでいるという。母親の清香さん(38)が14日、厚労省で会見した。「ただ、娘を、葵を助けたい。助けてほしい、それだけです」。

■円安の影響も

葵ちゃんは、心臓の左心室と右心室の壁「心室中隔」に穴があいている「心室中隔欠損症」だ。4回の手術にもかかわらず、心臓のポンプ機能が低下し、必要な血液を送り出せない重度の心不全状態が続いている。「抱き上げると手の中にすっぽり収まる身体に、補助人工心臓とペースメーカーをつけて、生きています」。

両親は当初、国内での心臓移植手術を望んだが、国立循環器研究センター病院・移植医療部の塚本泰正部長は「時間の問題がある」。長くて3年4年待機する人もおり、補助人工心臓をつけた患者は、脳梗塞や脳出血などの合併症のリスクを抱えながらの待機となる。

心臓移植手術は、脳死状態となったドナーから提供を受ける。日本では、心臓移植を待つ10歳未満の子ども43人が待機中だ。父親の昭一郎さん(41)は「心臓移植に進むのか、そのまま看取るのかという選択肢を迫られる状態になりました」。

ただし、米国で移植に必要な費用は5億3000万円。塚本医師は、「国内の移植手術はすべて保険で賄われるが、ずっと安いと思う」。内訳は、医療費の前払い金だけで3億7000万円、渡航費が8000万円、現地滞在費が900万円など。去年は3億5000万円ほどだったが、円安などの影響を受けた。「あおちゃんを救う会」は昨日から3カ月を目標に募金を開始。このほか「拡張型心筋症」と診断された五十嵐好乃ちゃん(10)も募金を求めている。

日本の臓器提供は、脳死状態となった場合に、心臓や肺、肝臓、腎臓、すい像、小腸、眼球を提供できる。その際、本人の書面(ドナーカードなど)による意思表示と家族の承諾が必要だ。人口100万人あたりの世界の臓器提供者数は、米国41.88人、英国20.12人、スペイン40.2人だが、日本は0.62人だ。

この違いについて、塚本医師は、「日本は臓器提供の決断に時間がかかるが、海外では、臓器だけでも役立ってほしいと考える気持ちが少し強い」。日本で臓器提供者が増えるためには、「医師が家族に、臓器提供をしますか?と聞くことを制度化する」ことを提案する。世界では「脳死は死である」と考えるが、日本の場合は少なからぬ人が「心臓が動いていれば死んでいない」と感じている影響もあるようだ。MCの加藤浩次「脳死という考え方の違いは議論されてきているんですが、進んでいる感じは、日本を見ていて思えない」。

(栄)

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