新潟駅「新潟産コシヒカリと海鮮のうまいもん寿司」(1280円)〜駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.19「新潟三新軒」編(5))

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

HB-E300系気動車・快速「海里」、羽越本線・村上〜間島間

12月いっぱいまで開催中の「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン」。
この観光キャンペーンに合わせ、10月にデビューしたのが、観光列車「海里」です。
列車のコンセプトは、「新潟の食」「庄内の食」と「日本海の景観」。
新たにハイブリッド式の気動車・HB-E300系が導入され、週末を中心に、新潟〜酒田間を、1日1往復運行しています。

HB-E300系気動車・快速「海里」、羽越本線・勝木〜府屋間

「海里」は、途中の桑川・あつみ温泉(下り)、鶴岡(上り)などで、少し長めに停車。
笹川流れの景勝地では、ゆっくりと走る区間も設けられています。(冬は波の花鑑賞)
新潟〜酒田間はおよそ3時間で、下り列車の場合、鶴岡・酒田着は13時前後となります。
車内ではユニークな食事が提供されていますが、事前予約や旅行商品の申し込みが必要。
直前で指定が“取れちゃった”場合、食事は新潟駅などでの駅弁購入が必須です。

新潟三新軒・遠藤長繁社長

新潟駅の駅弁といえば、何といっても「新潟三新軒」!
シリーズ「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第19弾は、昭和31(1956)年創業、株式会社新潟三新軒の3代目、遠藤長繁社長にお話を伺っています。
いよいよ完結編となる今回は、社長就任から10年あまりで感じたこと、駅弁で大切なこと、これからの駅弁についてなど、たっぷりと語っていただきました。

新潟三新軒

●いまも「発見」がある駅弁作り!

―遠藤社長は、社長に就任されて10年あまりになりますね?

駅弁作りでは、10年経ったいまも、新たな「発見」があります。
ごはんのこと、完成度のこと…、「ああすればよかったなぁ」と思うこともしばしばです。
お客様からの声で、勉強になることが本当に多いです。
お褒めの言葉もいただきますが、厳しいお言葉をいただいたときは、しっかりと受け止めて、社員と共有して、その後の駅弁作りに活かしていくようにしています。

―お客様の声は、どのようにして届くんですか?

お客様からの「おたより」が多いです。
もちろん、最近は弊社ホームページからメールでいただくことが多くなりました。
最近では、「割箸の強度が弱いので、折れてしまった」といったお声をいただきました。
これをきっかけに割箸のリニューアルを行って、従来と比べ、長いサイズの箸にしました。
箸袋が変わったので、気づかれたお客様もいらっしゃるかもしれませんね。

新潟三新軒

●お客様とのコミュニケーションでブラッシュアップする「駅弁」!

―駅弁の中身についてのご意見もあるんですか?

「村上牛しぐれ」は、お客様から「せっかくそぼろが入っているのに、入っているかどうかわからない。そのよさが消えている」と頂戴したお声を反映して、盛り付けを変更しました。
以前の牛しぐれは、白飯の上にまずそぼろを載せ、全体に散らしてから、しぐれ煮を載せていましたが、いまはご飯の右上にそぼろだけをまとめて盛り付けて、より一層、「そぼろ」が目立つようにしています。

―その後、お客様からの反響はありましたか?

「牛しぐれ」についてのご意見を下さった方からは、後日、改めてメールがありました。
「私1人の意見ではないと思いますが…」と、前置きされた上で、感謝のお言葉をいただくことができました。
厳しいご意見でも、本当に有難いと思います。
おっしゃっていただかないことには、コチラではわからないことなので…。

新潟産コシヒカリと海鮮うまいもん寿司

●新作駅弁では、初めての「うに&かに」にチャレンジ!

―新作では、海鮮系の寿司駅弁を出されていますね?

今年(2019年)3月に出した「新潟産コシヒカリと海鮮のうまいもん寿司」(1280円)ですね。
元々、海鮮丼のような駅弁を作りたいと思っていましたが、開発には約1年かかりました。
コスト面も考慮し、最終的には、うにやいくら、鮭など7品目が載った駅弁となりました。
特にうにとかにを使った海鮮駅弁は、弊社では初めてのものです。
仕入れたものをそのまま使うのではなく、オリジナルの味付けを施すのに苦労しました。

―駅弁名も“てんこ盛り”ですよね?

新潟駅は、県庁所在地ということもあって、新潟県外からのお客様が多い駅です。
駅弁も、昔から商品名や包装に「新潟らしさ」を打ち出したものが、よく売れています。
新しい駅弁を出すときも、県外のお客様にわかりやすい名前を心がけています。
新作の「新潟産コシヒカリと海鮮のうまいもん寿司」も、“新潟県産コシヒカリ”というワードをどうしても入れたかったんです。

新潟産コシヒカリと海鮮うまいもん寿司

【おしながき】
・酢飯(新潟県産コシヒカリ使用) とろろ昆布
・にしん甘酢漬け
・味付けたらこ
・鮭ほぐし身
・蒸しうに
・ずわいがにむき身
・海老甘酢漬け
・いくら醤油漬け

新潟産コシヒカリと海鮮うまいもん寿司

11月末まで「駅弁味の陣2019」にも出陣中の「新潟産コシヒカリと海鮮うまいもん寿司」。
新潟県産コシヒカリの酢飯の上に、とろろ昆布が敷かれ、その上にうに・かに・いくら・えび・鮭・たらこ・にしんと、たっぷり7種の海鮮食材が彩り鮮やかに盛り付けられています。
特に味付けたらこは、長年、新潟三新軒で受け継がれてきたちょっぴり懐かしい味。
定番だけでよしとせず、新しい食材にチャレンジしている、その志も“買い”の駅弁です。

キハ47形気動車・普通列車、羽越本線・勝木〜府屋間

●冬の日本海を眺めて、新潟の駅弁旅を楽しもう!

―「新潟三新軒」が大切にしていること、これからの駅弁についても教えて下さい

お客様に喜んでいただける駅弁、そして安全であることが第一です。
その上でより一層、新潟らしい「幕の内」を作りたいと思っています。
最近、駅弁売場を観察していても、肉駅弁・魚駅弁は、正直、もう飽和状態なんです。
でも、幕の内には、新潟三新軒の特性や新潟らしさを出せる可能性があると考えています。
これからはやっぱり「幕の内」ですね!

―新潟三新軒の駅弁、どんな車窓をおかずにいただくと、美味しくいただけますか?

羽越本線や信越本線など、日本海が見られる路線ですね。
特に「新潟産コシヒカリと海鮮のうまいもん寿司」は、冬の日本海を眺めながらいただくと、一層、美味しくいただけると思います。
新潟には7社の駅弁屋さんがありますので、各社さんと切磋琢磨し、互いに協力し合って、今後も、より「新潟らしい」駅弁を作り出していきたいと思います。

(株式会社新潟三新軒・遠藤長繁社長インタビュー、おわり)

E7系新幹線電車「とき」、上越新幹線・高崎〜上毛高原間

新潟県産コシヒカリという絶対的なブランド米をベースに、新潟駅を拠点として、数々の駅弁を送り出している「新潟三新軒」。
伝統の味を守り、新しい食材にもチャレンジする一方で、お客様からの「おたより」にも耳を傾ける、まるでラジオ番組のようなコミュニケーションを重視する姿勢も印象に残りました。
この謙虚で丁寧な駅弁作りがあるから、60年以上の歴史が紡がれているのだと思います。
新米のシーズン、美味しいものを求めて、新潟へ鉄道旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

駅弁 望月崇史 ライター望月 駅弁膝栗毛

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