チョコレートがアート作品に! カカオ生産者とチョコレートの未来につながる「カカオ・トレース」って知ってる?

チョコレートがアート作品に! カカオ生産者とチョコレートの未来につながる「カカオ・トレース」って知ってる?

食楽web

 チョコレートといえば食べるものですが、「目で見て楽しむチョコレート」があるのをご存知ですか? ベルコラーデ所属のショコラティエ、ステファン・ルルー氏が手掛ける「ブルーショコラ」は、チョコレートを使って作られたアート作品で、9月10日に日本でエキシビションが開催されました。

 素晴らしいアート作品としてのチョコレートですが、実は「カカオ・トレース」認証マークが付いたチョコレートで作られています。作品とともに、まだ耳馴染みのないカカオ・トレースについてご紹介しましょう。

食品における「禁断の色」で自然を表現

 今回のエキシビションでは、ステファン・ルルー氏が日本に到着して6日間で作り上げた作品11点と過去に作られた作品10点の写真が展示されました。ルルー氏はフランスのダンケルク在住で、海や自然に溢れた地域に暮らしているそう。そんな暮らしのなかからインスピレーションを受け、空気、水、風、海などの自然をチョコレートを使ったアート作品で表現しています。

ショコラティエのステファン・ルルー氏。ルルー氏自ら各作品を解説してくれた

ショコラティエのステファン・ルルー氏。ルルー氏自ら各作品を解説してくれた

 最初に見て驚いたのがこの鮮やかな花。これは「SUCCULENTE(多肉植物)」という作品で、実際の植物と見紛うほどの生命力が感じられます。

鮮やかなグラデーションが美しい。ほぼ手作業で作られているそうだ

鮮やかなグラデーションが美しい。ほぼ手作業で作られているそうだ

 海の中で優雅に泳ぐエイの群れを表す「RAIE(エイ)」も、もちろんチョコレートでできています。海沿いの町に暮らすルルー氏らしい作品ともいえますね。

近くで見てもチョコレートだとは思えない美しさがある。ブルーのグラデーションの表現力の高さにも驚かされる

近くで見てもチョコレートだとは思えない美しさがある。ブルーのグラデーションの表現力の高さにも驚かされる

 形のない波を本物のように表現した「HOKUSAI(ホクサイ)」は、葛飾北斎の浮世絵にインスピレーションを受けたそう。

作品自体はブルーではないが、波が表現されていることはひと目でわかる。まさに職人技が集結された作品だ

作品自体はブルーではないが、波が表現されていることはひと目でわかる。まさに職人技が集結された作品だ

 ほかにも、しずくを表現した「GOUTTES(しずく)」や10数時間かけて完成した「TOURBILLON(渦)」など、彫刻のような作品が会場内には多数展示されていました。

ダンケルクのあるノルマンディー地方は雨がよく降る。しずくをたくさん作ることで動きを表現した

ダンケルクのあるノルマンディー地方は雨がよく降る。しずくをたくさん作ることで動きを表現した

「TOURBILLON(渦)」は10数時間かけて1回の作業で完成。うねりが無限大を表しているそう

「TOURBILLON(渦)」は10数時間かけて1回の作業で完成。うねりが無限大を表しているそう

チョコレートの未来を守る認証マーク

 今回のブルーショコラは、すべてチョコレートでできているのは最初にもお伝えしたとおりです。チョコレートの原料であるカカオは、アフリカやアジア、中南米の一部の国でしか栽培できません。その多くが家族経営の小規模農園で個々に栽培されており、生産者の生活は貧しく、最低限の生活を余儀なくされているのだそう。

すべての作品は「ノワール・セレクシオンCT」を含むベルコラーデのチョコレートで制作された

すべての作品は「ノワール・セレクシオンCT」を含むベルコラーデのチョコレートで制作された

 そんな現実を変えるために「カカオ・トレース」というサステナブル・プログラムが誕生しました。このプログラムはカカオ生産者を支援し、農園経営の長期安定に貢献するという取り組みです。現在、コートジボワールに約2000人、ベトナムに約3000人、フィリピンに約2300人、パプア・ニューギニアに約1600人のカカオ・トレース生産者がいるそうです。

世界最大のカカオ生産国はコートジボワールで、シェアの4割を占める。カカオ・トレースに参加したことで、子どもが学校に通えるようになったという声がある

世界最大のカカオ生産国はコートジボワールで、シェアの4割を占める。カカオ・トレースに参加したことで、子どもが学校に通えるようになったという声がある

 具体的には3つの支援をしています。まずはおいしいカカオにするため、発酵マスターによるカカオ豆の発酵および乾燥工程の一元管理です。これまでは発酵状態の良くないカカオ豆を出荷することで安く買い叩かれていたという現実があり、ピュラトス社のポストハーベストセンターで一元管理することで、カカオ豆の品質を高めています。

 続いては、栽培技術支援です。栽培手法をトレーニングし、生産性を向上、つまり収穫量を増加させることで、生産者の収入増加を目指しています。

 3つ目の支援は、「カカオ・トレース」認証製品を1kg購入すると、10セントドルがカカオ生産者やそのコミュニティに還元される仕組みです。このボーナスを教育への投資やインフラ整備に充てることで、カカオ生産者の収入増加や生活水準の向上につながっています。

「カカオ・トレース」認証製品には必ず認証マークが付いている。認証されたチョコレートを100%使用したお菓子にもカカオ・トレース認証マークが付けられる

「カカオ・トレース」認証製品には必ず認証マークが付いている。認証されたチョコレートを100%使用したお菓子にもカカオ・トレース認証マークが付けられる

 このままではカカオの生産者が減り、チョコレートの需要に見合う良質なカカオ豆の供給が難しくなると言われています。これから先もおいしいチョコレートを食べるために、カカオ・トレースの存在を頭の片隅に置いておくといいかもしれませんね。

(取材・文◎今西絢美)

●DATA

カカオ・トレース

http://cacaotrace.com/ja

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