85年続く名店を娘が継承! 鐘ヶ淵の名酒場『はりや』が今も変わらず愛されるワケ

85年続く名店を娘が継承! 鐘ヶ淵の名酒場『はりや』が今も変わらず愛されるワケ

食楽web

 地元の人間に旧くから親しまれ続けてきた街の大衆酒場。しかし、長引く不況や後継者不足など、さまざまな要因で、時代の流れとともに暖簾を下ろす店も少なくないようです。

 そんな中、東京には一度は幕を閉じながらも、常連客の熱い想いと店主たちの強い意思から、見事に復活を遂げた名物酒場がいくつもあります。今回はそんなお店をご紹介します。

懐かしくて新しい、新生『はりや』の魅力

店内のカウンターは旧店舗時代のものを再生利用。どこか懐かしさと温かさが感じられる

店内のカウンターは旧店舗時代のものを再生利用。どこか懐かしさと温かさが感じられる

 カウンターと小上がりのみの小体な店は、近隣の工場職員や住民から長く親しまれてきました。昭和6年、墨田区鐘ヶ淵に開店した『はりや』は親子二代にわたって営んできた老舗酒場でしたが、2016年12月、道路拡張のため取り壊しとなり閉店に。85年続いたあの面影は今はありません。

「若い世代と旧い世代の融合が好き」と笑顔の三代目荘司美幸さん

「若い世代と旧い世代の融合が好き」と笑顔の三代目荘司美幸さん

「ドラマティックなことはないんですよ。ただ、やめるのは勿体ないなって」と娘の荘司美幸さんが引き継ぎ、2018年1月に『はりや』は復活しました。場所は旧店舗裏にある自宅兼アパートをリノベーション。解体の時に残しておいたカウンターや古材、縄のれんなど、“歴史”を感じさせる素材を活用した店内には懐かしさと新しさが同居します。

ゲソ天440円。細かく切ったゲソとネギが入ったお好み焼き風の逸品。先代から受け継いだ名物料理

ゲソ天440円。細かく切ったゲソとネギが入ったお好み焼き風の逸品。先代から受け継いだ名物料理

 壁に貼られた手ぬぐいに描かれている名物料理「ゲソ天」や「キャベツ炒め」などは先代から味を引き継ぎましたが、美幸さんは再開にあたって「煮卵サラダ」や「牛もつ旨辛炒め」など、新メニューも拡充。どれもが酒の進む肴ばかりで、しかも、安いとくるから毎夜酔客が集うのもうなづけます。

煮卵サラダ400円。くずした煮卵とキュウリ、レタス。自家製ドレッシングでさっぱりと

煮卵サラダ400円。くずした煮卵とキュウリ、レタス。自家製ドレッシングでさっぱりと

 店内には、昔を知る常連に混じって若い女性一人客の姿もあり、言わば多世代交流の場のようです。新旧の魅力が見事に融合するこの“場所”を作った美幸さんが紡いでいく新生『はりや』の酒場物語は、まだ始まったばかりです。

(文◎粂真美子 盛岡アトム 撮影◎原 務)

●SHOP INFO

店名:はりや

住:東京都墨田区墨田2-9-11
TEL:03-6657-5359
営:11:30〜15:00(14:30LO)、17:30〜23:30(フード23:00LO) ※土曜は夜のみ
休:日・祝

※当記事は『食楽』2019年秋号の記事を再構成したものです

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