旨い店はタクシー運転手に訊け! 『いちのや』の1000円海苔弁が激ウマだった

旨い店はタクシー運転手に訊け! 『いちのや』の1000円海苔弁が激ウマだった

食楽web

「旅先で旨いものを食いたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店に案内してもらいました。

 先日、東京・千代田区の靖国通りの九段坂上辺りを走っていたら、“海苔弁”と書かれた大きな暖簾を見かけました。店先には開店祝いの胡蝶蘭が飾られており、ひと目で新店だとわかります。

 店名は『いちのや 靖国通り本店』。気になってネットで検索してみると、先月の7月1日にオープンしたばかりの海苔弁のテイクアウト店。お弁当はまさに直球勝負で、「海苔弁」1種類のみ。中身の具材に相当なこだわりがあるようで、お値段はなんと1000円(税別)です。私が普段買う街のお弁当屋さんの「海苔弁」は300〜400円ほどですから、2〜3倍はします。普段なら絶対にお弁当に1000円を出すことはしませんが、そのこだわりを読んでみるうちに心が動かされたのです。

靖国神社の向かいにあります

靖国神社の向かいにあります

 例えば、ご飯のただし書きは、「新潟県産新之助 大粒で美しく噛むほどに優しい甘みとこくを感じる忘れられない余韻」といった感じ。ご飯で “忘れられない余韻”ってどんな感じなんだろうと、気になります。

 また、海苔は「瀬戸内海産浮き流し しっかりとした食感に海苔本来の包み込む旨味」。この“包み込む旨味”というイメージには、なんとなく餃子が浮かびますが、海苔ですよ。非常に心惹かれます。というわけで、 “1000円の海苔弁”のポテンシャルを感じてみたくて、買ってみることにしました。

1000円する高級「海苔弁」の味は?

海苔弁は1つ1000円(税別)。何個でも電話で予約をすることもできます。また、8個以上は宅配もしてくれるそうです

海苔弁は1つ1000円(税別)。何個でも電話で予約をすることもできます。また、8個以上は宅配もしてくれるそうです

 さっそく購入し、紙製のお弁当容器の蓋を開けてみると、目に飛び込んでくるのはこんがりと揚げられた魚フライ、大きな竹輪の磯辺揚げ、鶏肉の味噌焼き。さらに、きんぴらごぼうや野沢菜などで、容器内がぎっしりと埋め尽くされています。その下には全面を覆い尽くす大判の海苔、そして白米ともち麦のごはん。さらに容器の底にももう一枚、海苔が敷いてあります。つまり海苔と海苔でごはんをサンド。さすが1000円、海苔の使い方も贅沢この上ありません。

紙製のお弁当容器の蓋を開けてみると、おかずとご飯がギチギチに詰められています

紙製のお弁当容器の蓋を開けてみると、おかずとご飯がギチギチに詰められています

 まず、このお弁当で一番嬉しかったのは、正統派海苔弁のスタイルに忠実な点です。魚のフライ、竹輪の磯辺揚げ、きんぴらごぼうがあり、そしてそれらがご飯と海苔の上にのっている。

 また、高級な松花堂弁当などにありがちな、ご飯とおかず、漬物などの仕切りがないのもいいじゃありませんか。そういうのは盛り付けた時は美しいのでしょうが、持ち運んでいるうちに傾いて、具材が端に寄ってしまったり、仕切りを飛び越えてほかのおかずと混じっていたりしがち。見た瞬間にガッカリしますよね。

 その点、この高級海苔弁の容器には仕切りなどなく、ご飯の上におかずがぎゅうぎゅうに積み重なって、きっちり蓋をされているので、微動だにしないのです。

海苔の上の具材を持ち上げるのも楽しい

海苔の上の具材を持ち上げるのも楽しい

 さて、蓋の裏面にはホームページ同様、海苔弁のこだわりが1つ1つ書かれています。それを読みながら、鶏肉の味噌焼きをつまみ上げて「これは三重県松阪名物か」、竹輪の磯辺揚げをかじって「竹輪の青のりは四万十川のものなんだな」など、つぶやきながら食べ進んでいくのも楽しいです。

 中でも私が気に入ったのが、白身魚のフライ。身が厚くふっくらとしていて、揚げ具合も絶妙。しかも弁当にありがちなベタベタした油っこさが全くありません。この白身魚のフライには、付属のだし醤油をかけて食べると最高です。

ごはん1粒1粒がみずみずしくツヤツヤと光っていて、粒感がしっかりあります

ごはん1粒1粒がみずみずしくツヤツヤと光っていて、粒感がしっかりあります

 もちろん、海苔弁で最も肝心なのは“海苔とご飯”のクオリティです。

 まずはご飯。ほか弁ではないので冷めた状態なのにも関わらず、お米1粒1粒がみずみずしくツヤツヤと光っていて、粒感がしっかり。噛みしめると粘りと弾力があり、お米の甘みも分かります。もち麦をブレンドしてあるのでプチプチした食感も最高。

 そして海苔。普通の海苔弁は、海苔の隙間におかかを入れるなどして旨みを増幅することがよくありますが、この高級海苔弁は、あくまで海苔だけで直球勝負。海苔の香りと美味しさがしみじみと感じられます。

 ちなみに、この弁当には「卵」も入っています。「極上の半熟に秘伝のタレでひと晩漬け込んだ」と説明書きがあるのですが、フタを開けた段階ではその存在が視認できません。「卵、入れ忘れたのかな?」なんて思いつつ探してしまうはず。でも、きちんとあります。中央の海苔の下。ラーメンの味玉のような半熟卵なので、海苔で蓋をして、黄身が流れないように工夫してあるのです。なんという気遣い!

半熟卵は、海苔の下から登場します

半熟卵は、海苔の下から登場します

 1000円の「海苔弁」は、確かに1つ1つにこだわり通りの美味しさがあり、十二分に楽しみ尽くすことができました。そして男子でも満腹になれるボリュームです。なかなか気軽に外食するのもはばかられる昨今、スペシャルな海苔弁を手土産に親戚や友人を尋ねるのもいいかも。ぜひ食べてみてください。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

海苔弁いちのや 靖国通り本店 外観

店名:海苔弁いちのや 靖国通り本店

住:東京都千代田区九段南2-2-5
TEL:03-6261-1147
営:11:00〜18:00
休:無休
https://noriben-tokyo.com

●プロフィール

荒川治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。

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