やみつきになる人懐っこい味わい! 鎌倉で大人気の麻婆豆腐食堂が奥渋に

フードエッセイスト・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『かかん 富ヶ谷店』の麻婆豆腐定食です。

鮮やかなブルーのタイルに、ウェス・アンダーソン映画のワンシーンのようなボックス席。何屋さんなんだろう、と思ったそばから目に入ってくる「BEST MAPOTOFU IN TOWN」の文字。そう、そこは麻婆豆腐の店。鎌倉で大人気の麻婆豆腐食堂『かかん』が富ヶ谷に現れたのだ。「パリにあるモダンなチャイニーズレストランをイメージしたんです」と、独自の世界観を語るのはオーナーの小嶋章太さん。お店に足を踏み入れるだけで伝わるオリジナリティと胸躍る感覚は、そのまま料理にも貫かれている。

アルミトレイに乗ってやってきたのはお昼の麻婆豆腐定食。辛そう。痺れそう。と、本気な佇まいに若干ひるむが、食べてみると想像以上に穏やか。むしろ特製の合わせ醤が織りなす味わいは奥行きの先に甘みさえ感じる。四川麻婆とも日本ナイズドされた麻婆とも違う、かかんの麻婆豆腐。この人懐っこい個性的な味わいがどうにもやみつきになるのだ。しかも卓上には花椒と青山椒がスタンバイ。香りも痺れも足したい方はご自由に、という懐広いスタンスにまたグッと距離を詰められる。なんだよ、かかん。他とは違った自分を持ってるって感じなのに、フレンドリーですごいイイ奴。とか思っていたら夜はアラカルトでゆっくり飲めたりするらしい。えー、またまた気が利いちゃって。こんな店と友達になりたい。

麻婆豆腐に小鉢2種、スープに杏仁豆腐がセットになったランチの麻婆豆腐定食(¥1,280)。お肉はLOVEGのオーガニック大豆ミートに変更可能なのも嬉しい。そのほか魯肉飯や汁なし担々麺定食もオンメニュー。

かかん 富ヶ谷店 東京都渋谷区富ケ谷1‐17‐3 3A TERRACE BLD 1F TEL:03・6823・0764 11:30〜14:30LO、17:30〜20:00LO 火曜休 詳細はインスタグラム(@kakan_mapotofu)で。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。

※『anan』2022年6月22日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)

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