金萬福が日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON

 好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第76回は、金萬福さん。今回は「上福樓(サンフーロウ)」に伺いました!!

 クレーンに吊るされて麺を茹でたり、キャベツの千切りをしたり。体を張った数々の“調理姿”をご記憶の方も多かろう。バラエティ番組「浅草橋ヤング洋品店」をはじめ、幾多のテレビやラジオでひっぱりだこだった香港出身のコメディアン、ではなく料理人の金萬福さん(66)は、いま宇都宮東武ホテルグランデの中国料理「竹園」の総料理長を務めている。

「33歳のときに日本に来てから、ずっと東京。だから、少し東京から離れたところでやろうと思って、宇都宮に来たの。3年ぐらいのつもりだったけど、今年で14年ね(笑)。はじめは友達がゼロで、夜もすぐ真っ暗になる。淋しくてね。毎日東京に帰りたいと思ってたよ。いまは、こっちのほうがのんびりできるし、仕事以外で東京に行きたいとは思わないな」

 曰く、休憩時間や仕事終わりには、市街地の飲食店に出掛けるので、今ではいっぱしの“地元通”。そんな金さんのお眼鏡にかなった中華料理店が、「上福樓」である。

「ここの小籠包は本当にうまいね。金華ハムのスープがたっぷり入っててね。金華ハム、高いんだよ。1キロ、9千円ぐらいじゃないかな」

 金さん、ご自分では点心を作らないのですか?

「皮がすごく薄くて、包むの難しいんですよ。すぐ破れちゃう。苦手だね。専門家じゃないと上手にできないね」

 さすが、達人を知るのは達人である。小籠包はもちろん、海老ギョーザや蒸しギョーザなど、点心をこれでもかと食べることに。

 小籠包は、まず皮を破ってアツアツの汁をすする。その汁の濃厚なこと。プレーンのほかに、“蟹味噌入り”と“海老入り”があり、3種の味をたのしめるのもうれしい。金さんもうひとつのお気に入り、海老ギョーザを頬張るや、

「プリプリ〜!」

 そう、バラエティ番組さながらに叫ぶほどの逸品である。もちもちしたデンプンの皮との相性が素晴らしい。

 ちなみに、金萬福という名前は本名。字の意味は日本語とほぼ同じで、ご本人もお気に入りだとか。あやかりたいもんです。

「週刊新潮」2021年2月11日号 掲載

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