「うっかりドーピング」の危険は身近に? ドーピングがアスリート以外も禁止されている3つの理由

「うっかりドーピング」の危険は身近に? ドーピングがアスリート以外も禁止されている3つの理由

ドーピング行為に注意が必要なのはトップアスリートだけではありません。体づくりや運動後の疲労回復のために、市販の栄養剤やサプリメントに頼っている人は要注意。「うっかりドーピング」の危険性もあります。


■ドーピングとは? スポーツの世界のアンチ・ドーピング活動
「ドーピング」とは、「スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為」と定義されています(「日本アンチ・ドーピング機構」)。

必要以上に競技力を高める薬や方法をとるドーピングを禁止することは、スポーツの世界でのフェアプレーを守るためにも大切なことです。

「ドーピングの禁止」は、正式種目に参加するトップアスリートにだけ求められるものと思っている人が多いかもしれませんが、実はスポーツを行う人すべてにドーピング行為を行わないことが求められており、これを「アンチ・ドーピング活動」といいます。

ドーピングが禁止されている理由と、うっかりドーピング行為になってしまうケースと注意点について、わかりやすく解説します。


■ドーピングが禁止されている3つの主な理由
ドーピングをしてはいけない理由として、以下の3点が挙げられます。

1. フェアなスポーツ精神に反し、スポーツの価値を損ねる
2. 選手の健康を害する
3. 社会的に悪影響をもたらす

薬やさまざまな方法を使って不自然に競技力を上げている選手がいると、公正な競技結果は生まれません。これはアマチュアの大会や学生を対象にした試合などでも同様です。ドーピング行為が起こると、勝負を決するスポーツの価値そのものを損ねることになってしまいます。

さらにはドーピングによって使用した人自身の健康を損なうリスクがあること、また薬などへの抵抗感が減ることによって、将来的に麻薬や覚醒剤に対する抵抗感も減るのではないかといったことも問題として挙げられています。

そしてこれは故意的かどうかに関わらないという点も理解しておきましょう。知らずにうっかり摂取してしまったもので、ドーピングととらえられてしまうことがあるのです。


■うっかりドーピングの危険も!? 医薬品・食品の成分表示の違いに注意
医薬品は法律で成分表示を明記することが義務づけられている一方、市販の栄養剤やサプリメントは医薬品ではなく食品に分類されるため、主な成分表示のみの明記となっています。すべての成分が表示されていないため、ドーピング違反にあたる成分が含まれている可能性もあります。

例えば多くの栄養剤に含まれているカフェインは、使用禁止物質ではないものの、薬物監視リストとして現在も注意喚起されている成分の一つです。過度に摂取すると不眠や頭痛、下痢、不安感やイライラ等、さまざまな副作用をもたらすことが考えられます。


■栄養剤やサプリは必要性を見極めて! 大切なのは基本の食生活
特に成長期にある子どもたちは、スポーツに励む場合でも、安易に栄養剤などをとることはなるべく避けるようにし、バランスの良い食事を心がけることで疲労回復をはかるようにしましょう。ドーピング検査の有無に限らず、必要な栄養素は食事からとることが基本です。

また、現在とっている栄養剤やサプリメントの補助食品があれば、それが自分にとって本当に必要なものかを見直すことも大切です。

ドーピングはスポーツの不公平さをもたらし、競技をする人だけでなく、観戦する人、応援する人など多くの人を裏切る行為でもあります。体にも、社会的にも悪影響を及ぼすことを考えると、ドーピングにつながるような行動を避け、運動やスポーツの価値を高められるように一人ひとりが心がけていきましょう。

参考:アンチ・ドーピングとは(JADA 公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構)

▼西村 典子プロフィール20年以上に渡り、スポーツ現場でのトレーナー活動に従事する日本体育協会公認アスレティックトレーナー。NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。選手へのトレーナー活動だけでなく、幅広い年齢層を対象としたストレッチ講習会やトレーニング指導経験も豊富。スポーツ傷害予防や応急処置などの教育啓蒙活動も行い、毎日の健康づくりに役立つ運動に関する情報発信を精力的に行っている。
(文:西村 典子(アスレティックトレーナー))

関連記事(外部サイト)