「食事がめんどくさい」ときに食べるといいものは? 栄養学のプロに素朴な疑問を聞いてみたら

「食事がめんどくさい」ときに食べるといいものは? 栄養学のプロに素朴な疑問を聞いてみたら

体調不良でもないのにいつも食べるのがめんどくさいと感じる人がいるようです。ダイエットや節約目的でもなく、食事自体が面倒と感じる場合、どうすべきでしょうか?


■食べるのがめんどくさい…「食事が面倒」な状態に対処法はあるのか
食欲が抑えられず悩んでいる人には信じられないかもしれませんが、世の中には「食べるのがめんどくさい」と感じる人もいます。夏バテや体調不良などでもなく、ダイエット目的でもなく、また、作るのが面倒、お金を節約したいといった理由があるわけでもなく、とにかく食べる行為、食事自体が面倒だと感じている人です。

食事が面倒になりすぎると、極端な例では「1粒飲むだけで、食事をしなくても生きていけるサプリメントがあるならほしい」と考えてしまう人もいるようです。

こういった人たちは「食事に興味がない人」と見られることも多いですが、食べることにトラウマがあったり、食事を楽しみではなく毎日繰り返される作業としてとらえたりしている場合もあります。

また、「食事よりももっと興味を引くことがある人」であることもあります。食事以上にやりたいことがあり、自分の時間を有意義に過ごしたいと考えている場合、そちらを優先したくなる気持ちも分かります。

「寝食を忘れて」まで没頭できることがあることは、とても素敵なことです。しかし食べないことで心身に悪影響が出てしまうこともあります。今回は、食べないリスクと、食べるのが面倒な気持ちとどうつきあうのがよいのかを考えてみましょう。


■食べたくない原因が病気のことも…まずは健康状態の確認を
食べるのが面倒な原因として、実は病気が隠れていることもあります。

「仕事が忙しすぎて食べるのが面倒なので、食事時間は削っている」という生活が当たり前になっている話はよく聞きますが、多忙が理由で食事が面倒になっている場合、過労により心身が疲弊していて、実は「うつ」を発症している可能性もあります。うつ状態で食欲がなくなってしまうことは珍しくありません。

他にも、本人は面倒で食べていないだけのつもりが、実際には体を壊しているケースもあります。

慢性的に食べるのがめんどくさいと食が細かった人が、実はがんだとわかった例もありますから、もし他に自覚症状がなくても、食欲がない状態が2週間以上も慢性的に続いているような場合は、健康診断などで申告する他、念のために受診を考えることも大切です。


■生きる以上ゼロにはできない食事…まずは自分に無理なく食べる工夫を
食べることだけが生きることではありませんが、命をつないでいくために栄養を摂ることは必要なことです。面倒、忙しい、興味がない……どのような理由であれ、食事が摂れなくなっているということは、本人が思っている以上に普通の状態ではありません。

食欲や食事の量は個人差がありますから、もともと食が細かったり、食べるのが遅く一度に食べられなかったりする人もいるでしょう。もし、食の細さや食べる速さを悪く言うような人が近くにいて、食事時間が煩わしくなっているような場合は、そういう人たちと一緒に食事をしなくても構いません。

食事が楽しめるのが一番ではありますが、食べることが「作業」にしか感じられずどうしてもめんどくさいのであれば、割り切って、機械的な食事でもよいのです。簡単なものを食べましょう。

栄養バランスや見た目にこだわると面倒さは増してしまいますので、考えずに食べられるどんぶりものや、「ワンプレート」に盛り付けられた料理を選ぶのもよいかもしれません。それすらも食べるのが面倒ならば、バナナ、おにぎり、栄養補助食品などでもよいです。

栄養士として3食全部その生活や、サプリメントなど単一のものに頼る食生活はさすがに推奨することができませんが、1日1食以内であれば、他の作業をしながら片手で食べられるようなもので構いません。バランス云々といった話はありますが、何も食べないよりはマシと言えます。

いずれにしても、生きていくためには「食べること」を止めるわけにはいきません。いきなり「食べること」を楽しめるようになることは難しいかもしれませんが、洋服を選ぶような気分で、自分の負担にならず、自分にあった食べ方をうまく探してみるのがよいのではないでしょうか。

■参考
・厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 摂食障害
・京都府精神保健福祉総合センター 心の健康のためのサービスガイド

▼平井 千里プロフィールメタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。
(文:平井 千里(管理栄養士))

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