「妻の浮気」を知ってしまった…無断外泊、それでも夫が問い詰めることをやめた理由

「妻の浮気」を知ってしまった…無断外泊、それでも夫が問い詰めることをやめた理由

パートナーに浮気の疑いを持ったとき、女性は証拠集めに奔走することが多い。一方で男性は、どんな行動に出るのだろうか?

夫の浮気を疑うと、妻は証拠集めに奔走することが多い。素知らぬ顔で日常生活を続けていくのは、あまりにつらいものだ。真実を知りたいという気持ちもある。一方で、妻の浮気を疑った男性は、特に行動は起こさない。疑いを持つこともそんなに多くはないのかもしれない。

そして実際に発覚したとき、もう見て見ぬふりができなくなったときに、ようやく妻と向き合う。あるいはいきなり離婚宣言をする。そのどちらかになることが多いようだ。ただ、なかには妻の浮気がはっきりわかっているのに、何も言えないままという夫もいる。


■浮気がわかっても何も言い出せなかった
「妻の浮気がわかったのは1年前。共働きで働いていますが、急に残業が増えたり仕事でのつきあいが多くなったり。おかしいなとは思っていたけど、まさか浮気をしているとは思わなかった」

そう言うのはタダシさん(40歳)だ。2歳年下の妻と結婚して10年。8歳になるひとり息子がいる。妻の浮気がわかったのは息子が小学校に上がったばかりの夏休み、去年のことだ。

「共通の友人が、妻が繁華街のラブホに入っていくのを見たとメッセージを寄越したんです。いたずら好きのヤツだから冗談だと思ったら、こっそり写真を撮って送ってきた。

顔ははっきりしませんでしたが、洋服は確かに見覚えがあった。知らない男にべったり寄りかかりながら入っていくところでした」

その日、妻は息子を連れて実家に戻っているはずだった。妻の実家は自宅から2時間はかかる。ということは妻は息子を実家に置いて、再度、東京方面に戻ってきたのだろうか。

「そのとき僕は自宅にいたので、妻の実家に電話をしてみたんです。そうしたら義母が出て、『どうしても急な仕事ができたといって戻っていった』と。明日にはまた来ると言っていたけどといいながら、義母は『タダシさんには連絡がないの?』と不安そうでした。

だから、いや、ちょっと連絡が行き違ってしまったみたいでと言い訳をして切ったんです」

やはり浮気をしているのだろうか。それでもまだ彼は半信半疑だった。妻が浮気をするはずはないと信頼していたわけではない。ただ、認めるのが怖かったし、「認めるのがめんどうだった」と彼は言う。

「家族3人の日常生活はうまくいっていたし、金曜夜から週末の家事育児については僕の負担が増えていましたが、それも音を上げるほどではない。

平日は彼女のほうががんばっているから、五分五分。ああ、そういえば彼女の残業やつきあいは、ほぼ金曜日だったなとそこでようやく気づいたくらいです。それですむなら、大騒ぎしたくないというのが本音でした」

夫婦関係も途絶えているわけではない。ふたりで出かけることはあまりないが、家族3人ではよく外出もするし、息子のためにふたりで協力していることも多い。家族だからだ。それでいいじゃないかと彼は思った。


■ついに外泊?
ところが妻の行動は徐々にエスカレートしていった。昨年の暮れには、無断で外泊したこともある。

「このときは焦りました。深夜になっても連絡がつかない、息子も不安がっている。警察に相談しましたが、嫌な予感がしたので、途中で失踪届は出さないことにしました。案の定、妻は翌日早朝に帰宅しました」

まだ日も昇っていない時間だった。玄関をそうっと開けて入ってきた妻が、リビングの彼を見て飛び上がるほど驚いた。

どうして連絡ひとつ寄越さないんだと、珍しく彼は声を荒げた。妻は「ごめんなさい。酔ってしまって」としおらしく詫びた。どこか居心地が悪そうにしながら、寝室へ入っていったという。

ホッとしたこともあってタダシさんはそのままリビングのソファで寝てしまった。目が覚めると、妻は入浴したのだろう、少し濡れた髪のまま息子に食事を作っていた。

「後ろから見ると妻の体に力が入っているような気がしました。僕が起きたのを察して、気合いを入れたのかもしれません。振り向いてとびきりの笑顔を見せ、『あなたも食べる?』って。思わず、ふだん通りに『うん』と言ってしまった」

朝食をとりながら、妻はしきりに息子に話しかけていた。息子は「ママが帰ってこないからパパは警察に電話したんだよ」と暴露。

「いや、別に届は出してない。とにかく心配だったんだと言うと、妻の目が潤んで『ごめんなさい、本当にごめんね』と僕と息子に頭を下げた。寂しかったよな、と息子に言うしかありませんでした」

子どものいないところで、もっと詰問することもできた。だがその翌日、一家は息子の誕生日のお祝いをかねて遊園地に行くことになっていた。そんなときに諍いはしたくない、不穏な雰囲気にもしたくないとタダシさんは思っていた。

「結局、僕は人を追いつめていくのが好きじゃないんですよね。妻もそんな僕の性格をわかっている。その後、妻が外泊したことはありません。金曜の夜は相変わらず、いろいろ理由をつけて遅くなることが多いけど、その程度なら怒ることもないし……」

誰と一緒にいるのか気にならないはずはない。それでもタダシさんは、妻を問い詰めない。今のこの生活が続くなら、それでいいのかもしれないと思っているからだ。

「妻を愛しているのかいないのか、自分でもよくわからないけど、今の生活を大事に思っているのは確かです。家庭を壊したくはない。妻が僕や息子に冷たくなったり暴言を吐いたりするなら考えますが、何も変わってない気がするんです」

妻がラブホに入っていく写真を送ってきた友人にもその後会ったが、特に何も聞かれなかった。彼も何も言っていない。心の中で友人には感謝していると彼は言った。

「いつか、妻がその男と別れて戻ってくるのか、あるいは関係が発展していくのかはわかりません。でも僕の希望的観測では、ソフトランディングで関係が終わって何ごともなかったかのようになればいいなと思っています」

今の状態を壊したくない。それが理由で妻を問い詰めずにいる。それもまた、パートナーの浮気に接したときのひとつの選択肢なのかもしれない。

▼亀山 早苗プロフィールフリーライター。明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(恋愛ガイド))

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