夫は69歳年金受給者、私は58歳無職です。夫と年齢差がある私は年金を繰上げ受給したほうがいい?
2023年01月29日 18時30分All About

年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金のもらい方についての相談です。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。
今回は、年金のもらい方についての相談です。
■Q:夫と年齢差があり、夫婦そろって老齢年金をもらえる期間が短いので、私は繰上げ受給したほうがいいでしょうか?
「主人69歳年金受給者、私は58歳無職です。主人の年金には、加給年金が加算されています。私には、働いていた期間があり、65歳からの年金受給予定額は月約12万円です。主人と年齢差があります。
もしものときは、遺族年金の受給になりますが、私の老齢年金は繰上げ受給したほうが、よいでしょうか? 繰上げるなら何歳から受給するのがよろしいでしょうか。私たちは、男性の平均寿命を考えると、夫婦ともに年金受給できる年数が5年ほどしかないのです」(くろりんさん)
■A:繰上げ受給の損得は、妻の寿命によって異なります。家計の状況も考慮し、繰上げするかを判断しましょう
相談者は老齢年金の繰上げ受給を検討しているということですね。もし夫婦で同時期に年金を受け取る期間を長くしたいのなら、妻が60歳で繰上げ受給するのがいいでしょう。相談者の場合は、老齢年金を繰上げ受給しても、相談者が65歳になるまでは夫は加給年金を受給できます。
ただし、繰上げ受給をしても、思い通りに年金がもらえないこともあります。
仮に、妻が60歳で老齢基礎年金・老齢厚生年金を繰上げ受給(月0.4%・5年で24%減額)して、半年後に夫が亡くなってしまった場合を想定してみます。
妻が65歳になる前に遺族厚生年金を受給するようになった場合、繰上げ受給している老齢基礎年金か遺族厚生年金かどちらかを選択することになります。遺族厚生年金は、夫の年金記録が反映されるため、老齢基礎年金よりも遺族厚生年金を選んだほうが、年金額が多くなる場合が多いでしょう。ところが、遺族厚生年金を選択した場合は、老齢基礎年金は65歳まで支給停止となってしまうのです。
さらに妻は65歳以降、自分の老齢基礎年金と、老齢厚生年金・遺族厚生年金(自分の老齢厚生年金との差額分)を受給できるのですが、老齢基礎年金は60歳で繰上げした場合の24%減額が一生涯、続いてしまいます。
人の寿命は予測できないため、年金は繰上げ受給をすると得か損かというのはわからないのです。
仮に妻が88歳(女性の平均寿命・厚生労働省『令和3年簡易生命表の概況』より)まで生きた場合、年金を60歳で繰上げ受給すると、65歳から受給開始するよりも総受給額は少なくなってしまいます。一方で70歳で亡くなった場合は、年金を60歳で繰上げ受給したほうが、65歳から受け取りを開始するよりも総受給額が多くなります。
結論としては、家計収支の状況を確認して、夫婦同時期に受け取ることにこだわる必要はあるのかを考えてみましょう。夫の年金だけで生活ができるようであれば、夫婦で年金を同時にもらわなくても、家計はやりくりできるのです。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行う。現在は年金事務所にて、年金相談員も担当している。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))
今回は、年金のもらい方についての相談です。
■Q:夫と年齢差があり、夫婦そろって老齢年金をもらえる期間が短いので、私は繰上げ受給したほうがいいでしょうか?
「主人69歳年金受給者、私は58歳無職です。主人の年金には、加給年金が加算されています。私には、働いていた期間があり、65歳からの年金受給予定額は月約12万円です。主人と年齢差があります。
もしものときは、遺族年金の受給になりますが、私の老齢年金は繰上げ受給したほうが、よいでしょうか? 繰上げるなら何歳から受給するのがよろしいでしょうか。私たちは、男性の平均寿命を考えると、夫婦ともに年金受給できる年数が5年ほどしかないのです」(くろりんさん)
■A:繰上げ受給の損得は、妻の寿命によって異なります。家計の状況も考慮し、繰上げするかを判断しましょう
相談者は老齢年金の繰上げ受給を検討しているということですね。もし夫婦で同時期に年金を受け取る期間を長くしたいのなら、妻が60歳で繰上げ受給するのがいいでしょう。相談者の場合は、老齢年金を繰上げ受給しても、相談者が65歳になるまでは夫は加給年金を受給できます。
ただし、繰上げ受給をしても、思い通りに年金がもらえないこともあります。
仮に、妻が60歳で老齢基礎年金・老齢厚生年金を繰上げ受給(月0.4%・5年で24%減額)して、半年後に夫が亡くなってしまった場合を想定してみます。
妻が65歳になる前に遺族厚生年金を受給するようになった場合、繰上げ受給している老齢基礎年金か遺族厚生年金かどちらかを選択することになります。遺族厚生年金は、夫の年金記録が反映されるため、老齢基礎年金よりも遺族厚生年金を選んだほうが、年金額が多くなる場合が多いでしょう。ところが、遺族厚生年金を選択した場合は、老齢基礎年金は65歳まで支給停止となってしまうのです。
さらに妻は65歳以降、自分の老齢基礎年金と、老齢厚生年金・遺族厚生年金(自分の老齢厚生年金との差額分)を受給できるのですが、老齢基礎年金は60歳で繰上げした場合の24%減額が一生涯、続いてしまいます。
人の寿命は予測できないため、年金は繰上げ受給をすると得か損かというのはわからないのです。
仮に妻が88歳(女性の平均寿命・厚生労働省『令和3年簡易生命表の概況』より)まで生きた場合、年金を60歳で繰上げ受給すると、65歳から受給開始するよりも総受給額は少なくなってしまいます。一方で70歳で亡くなった場合は、年金を60歳で繰上げ受給したほうが、65歳から受け取りを開始するよりも総受給額が多くなります。
結論としては、家計収支の状況を確認して、夫婦同時期に受け取ることにこだわる必要はあるのかを考えてみましょう。夫の年金だけで生活ができるようであれば、夫婦で年金を同時にもらわなくても、家計はやりくりできるのです。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行う。現在は年金事務所にて、年金相談員も担当している。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))
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