O型の人は要注意? O型“以外”の人と比べて1.18倍の高リスクとも報告される病気は…?

O型の人は要注意? O型“以外”の人と比べて1.18倍の高リスクとも報告される病気は…?

日本人の血液の30%を占めるO型。O型の人がかかりやすいと報告されている病気とそのリスクについて解説します。


■血液型によって異なる、なりやすい病気の傾向
日本人の血液の30%を占めるO型。血液型別の性格診断には医学的根拠がありませんが、実は血液型によって病気のリスクが異なるという研究報告があります。

今回は、O型の人がかかりやすいと報告されている病気とそのリスクについて解説します。


■O型の人がかかりやすい病気…胃潰瘍、コレラ菌、おたふくかぜなど
O型の人がかかりやすい病気として、下記のような研究があります。

まず挙げられるのは「胃潰瘍」。日本人女性を調査した結果、胃潰瘍のリスクが、O型以外の人と比較して、1.18倍あり、特に高齢の女性でリスクが高いと報告されています。

また、海外からは下記のような報告もあります。

例えば米国の報告では、皮膚がんの一種である扁平上皮がんでは1.16倍、基底細胞がんでは1.04倍、O型以外の人と比較して、統計上有意にリスクが高いとされています。

イランの報告では、O型の人が他の血液型の人よりピロリ菌の抗体を持っている(感染を起こしたことがある)とされています。ピロリ菌は、胃酸の中で生存できる菌で胃潰瘍の危険因子。食後の腹痛を起こす胃潰瘍のリスクもピロリ菌のリスクもO型の人は高いと言えます。ほかにも、O型の人は、コレラ菌、結核、ペスト、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の感染症になりやすいとされています。

コレラ菌は胃腸炎を起こします。結核菌は主に肺に感染し、空気感染します。ペスト菌は、ノミから感染することが多く、リンパ節が腫れる腺ペスト、血液にペスト菌が入り全身に広がる敗血症型ペスト、肺炎を起こす肺ペストがあります。肺ペストになると人から人へ感染し、危険なタイプになります。

流行性耳下腺炎は、ウイルス感染症で耳下腺などの唾液腺が腫れる感染症です。コレラ菌、結核、ペストは適切な抗菌薬で治療することができ、流行性耳下腺炎はワクチンで予防できます。


■外傷時の出血が止まりにくい? 血栓が産生されにくいO型
O型の人は、血液の凝固に関わるvon Willebrand 因子が約30%程度低下しているという報告もあります。そのため、O型の人は血液が凝固しにくく、血栓が産生されにくい状況にあります。

実際、救命救急センターに運ばれた重症患者での死亡率はO型で高いと報告されています。血栓が産生されにくく、外傷などで出血しやすいことが1つの原因と考えられています。

また、1996年にスコットランドで発生した病原性大腸菌O157による感染症大流行で、亡くなった人の87.8%がО型でした。急性白血病では、O型の比率が多いと報告されています。

以上より、外傷には注意が必要かもしれません。胃潰瘍の原因の1つはピロリ菌で、胃がんの危険因子でもあるので、ピロリ菌の検査を受けておくと良いかもしれません。


■そもそも血液型とは?「O型はおおらか」は本当か
血液型は赤血球の表面にあるA抗原とB抗原の有無によって決まっています。O型は、赤血球の表面に抗原がありませんので、O型と表現されます。

抗原がないため、赤血球は免疫細胞の攻撃を受けませんので、O型の赤血球を他の血液型の人に輸血することは可能です。逆にO型の血清には、抗A抗体、抗B抗体がありますので、血清を他の血液型の人には入れることができません。

血液型と性格との関連性については医学的根拠がありません。性格は、遺伝要因と環境によって形成されます。そのため、一般的な血液型への思い込みであったり、同じ血液型の両親の性格および生活環境の影響を受けることによって性格と血液型は関連あるように思われるかもしれません。

【参考文献】O型は要注意?血液型で異なる病気のリスク・気を付けるべきポイント
(https://allabout.co.jp/gm/gc/491389/)

▼清益 功浩プロフィール小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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