減塩・夏バテ対策に! 江戸時代のスーパー調味料「煎り酒」がすごい

減塩・夏バテ対策に! 江戸時代のスーパー調味料「煎り酒」がすごい

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■江戸時代、食卓に欠かせない調味料だった「煎り酒」
「煎り酒」をご存知でしょうか。醤油が高価だった時代に、自宅で手作りされていた調味料です。材料は日本酒・鰹節・梅干の3つ。日本酒に鰹節と梅干を入れ、煮詰めて作ります。

醤油が安定して供給されるようになり安価になったことで、今では日本酒を使う煎り酒のほうが逆に高価になってしまいました。そのため、現代では忘れ去られた調味料のひとつとなっています。

しかしこの煎り酒、名前に「酒」と入っていますが、煮詰めるためアルコール分は入っていません。さらに、醤油の代わりとして使えるのに食塩含量が少ないため、減塩になると再び注目を集めています。


■「煎り酒」は夏バテに効く
夏バテは夏の暑さに対応しようとして、体内のエネルギーが上手く作り出せない状態。減塩で注目を浴びている煎り酒は、ここでも活躍できます。実は夏バテ対策の食材としてもぴったりなのです。

体内でエネルギーを作り出すメカニズムを考えてみましょう。糖分(炭水化物)・たんぱく質(アミノ酸)・脂質の3つは、それぞれ代謝を受け「クエン酸回路(TCAサイクル)」と呼ばれる代謝システムに流れ込み、エネルギーを作ります。この名の通り、クエン酸は重要な役割を担っています。

ここで、煎り酒の原材料を改めて確認してみると、日本酒には若干の糖分、鰹節にアミノ酸、梅干にクエン酸が含まれています。そのため、夏の疲労回復にも一役買ってくれることが期待できるのです。


■減塩なのに、美味しい
煎り酒は醤油の代わりに、江戸時代まで身近な調味料として使われてきました。しかし、食塩を含む原材料は梅干のみで、食塩含量は醤油のほぼ半分くらい。食塩含量の少ない調味料です。醤油の代わりとして使えるのに、減塩対策になります。

そのさっぱりとした美味しさを生む理由は、ダシが効いているから。鰹節をふんだんに使い、ダシを効かせることで「うま味」を引き立たせるのです。

「うま味」というと「美味しさ」と混同してしまうことも多いようですが、その意味は異なっています。「美味しさ」は味そのものだけでなく匂いや食感(テクスチャー)、その場の雰囲気や体調など、食べる時の状況のあらゆる条件が重なることで決まります。

一方、「うま味」は甘味・塩味・苦味・酸味と並んで「5つの基本味」のひとつ。甘味や塩味等、他の基本味は比較的言葉にして言い表しやすいのですが、「うま味」は一言で説明することが難しく、つい「美味しい」と説明してしまいがちであることから、混乱してしまうのかもしれません。

日本人は昔からそんな「うま味」をこよなく愛してきました。その「うま味」を濃くすると醤油や味噌の使用量を減らしても料理の味が濃く感じられるので、食塩摂取量を減らすことができます。これは煎り酒を使う場合のみならず、普段の調理の際にも応用できます。ぜひ「うま味」成分である「出汁」を上手に使ってください。

また、「煎り酒」にはほどよい酸味もありますので、さわやかな味わいがあります。これも食塩が少なくても美味しく感じる理由です。現代でも使われている調味料で酸味を持つものには、食酢(穀物酢、リンゴ酢、黒酢など)、レモン汁などがあります。これらも食塩を含まないので上手に使うと減塩効果があります。


■「煎り酒」のつくり方
煎り酒は自宅で作ることが一般的。日本酒に梅干をつぶしていれ、煮立ったところへ鰹節を入れて半分くらいの量になるまで煮詰めます。冷めたらこれを濾します。日本酒はさほどよいものを使う必要はなく、梅干は昔風の塩辛いものを使うと美味しく仕上がります。

小一時間くらいでつくることができますが、そんな時間がもったいないという場合、市販もされているようですので探してみてください。

また、深い味わいを求める場合、昆布を浸して30分〜1晩寝かせた日本酒を使って作ることをオススメします。昆布と鰹節はどちらもうま味を持っていますが、昆布はグルタミン酸を多く含み、鰹節はイノシン酸を多く含んでいます。

うま味は単独で使うより、複数のうま味を組み合わせるとより深い味わいになります(「うま味の相乗効果」といいます)。特に、昆布のグルタミン酸はアミノ酸系、鰹節のイノシン酸は核酸系のうま味成分ですので、系統の違ううま味を重ねることで相乗効果が高くなります。

さらに、魚醤を入れる作り方もあります。魚醤を加える場合は濾した後に加えればよいでしょう。


■「煎り酒」の使い方
煎り酒は、和食であればほとんどの料理に合います。特に鯛などの白身魚の刺身に合わせると絶品です。とはいえ、鯛の刺身だけではもったいないので、まずはテーブル醤油の代わりとして刺身に使う、やっこ豆腐に使うなどしてみるとよいでしょう。卵かけご飯に使っても美味しいです。

さらに慣れてきたら、煮魚や焼魚、煮物、おひたし、ドレッシングなどにも応用していくと、レシピの幅が広がるのではないでしょうか。煮魚や焼魚の下味をつけるときに使うと、梅の酸味で魚の臭みもとれて一石二鳥です。

忘れかけた「和」の調味料を再利用して、暑い夏を乗り切りましょう。
(文:平井 千里)

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