賃貸派か持家派かを決める最大の理由はあなたの中に

賃貸派か持家派かを決める最大の理由はあなたの中に

賃貸か持家かを決める最大の理由はあなたの中にある?


■賃貸派か持ち家派か、永遠の議論は続く
「家」をどうするかは常に議論のテーマです。先日もとある雑誌の「賃貸派vs持ち家派」の特集にコメントを求められました。一般的にはファイナンシャルプランナーは持ち家派が多く、私はどちらかといえば賃貸派なので、ときどきそういう取材がやってきます。

持ち家派の基本的な主張は、
「終の棲家の確保につながる」
「資産(土地)を持つことができる」
「家賃を同時期払い続けるならローンに費やしたほうがよい」
「今は超低金利である」
といったものです(持ち家派がよく主張するものに「家族の象徴としてのマイホーム」「リフォームが自由にできる」がありますがマネープラン的には情緒的なので除外します)

賃貸派の基本的な主張は、
「住み替えができない(隣人トラブル等があったとき移動の自由がないこと、子どもが増えたとき広い部屋にはできないこと、ローンを組むときは広い部屋で買うがローンを返済し終わったころは夫婦ふたりの狭い部屋でも十分でギャップがあること、など)」
「持ち家には固定資産税という負担がある」
「災害時のリスクがある(自分で立て替える)」
「ローンの返済能力が今後数十年も確保できるとは限らない」
「日本の人口が減少するのだから今後家の値段は下がると思われること」
などがあげられます。

賃貸派の意見にも、持ち家派の意見にも、どちらにも合理性があります。ただし、逆転の発想、視点の変換を求めるマネーハック的には「いや、その前に考えておくことあるでしょう」というポイントがあります。

それは、地価でも発展性のある町かどうか、でもありません。自分の中にある条件です。


■前提に置いておきたいのは「自分の中の条件」
自分自身に問いかければ、実は賃貸派か持ち家派かの論点の多くには、結論が出てしまうことが多々あります。たとえば以下の3つの質問に自問自答してみてください。

1.会社の支援と転勤の有無
会社の諸手当に「家賃手当」はあっても「ローン手当」がないとしたら、これは賃貸を先延ばしし、そのあいだに貯金をする合理性があります。数千円ではなく数万円以上になる場合は、頭金を貯めて納得のいくまで物件選びをする手もあります。

社員寮のような仕組みがあって、安く部屋を借りられる場合も同様です。ただしこうした手当や社員寮は一般的に年齢制限を設けるので、そこを超えると家計のバランスが崩れます。そこはローン設定の最終ラインかもしれません。

また、転勤の多い場合も持ち家を急がない理由のひとつになります。あえてマイホームを買ってもそこに何年も住めないことになり得るからです(人事部ってそういう嫌がらせをしますよね)。

2.親の持ち家状況と兄弟構成
もっとも大事な要素は「親の持ち家」です。もし一人っ子同士の夫婦で、親がそれぞれ持ち家がある場合、無理にローンを組まなくてもそこを最後の家にすることができますので、家を買う必要が下がります。

しかし、親の持ち家が田舎で、あなたが首都圏暮らしをずっとしたいならリタイア後に使えないことになり、首都圏に持ち家が必要になります。

また、親が家を手放してそのお金で老人ホームに入所する可能性があれば、これも持ち家を必要とする理由になります。

兄弟構成も重要です。親の持ち家ひとつに対し、兄弟が3人いるなら、これは相続時に分割する必要があり、その家に住む人が金銭を支払う必要があります。また、その家に残らない兄弟は持ち家を確保する必要があります。冷静に考えれば当たり前の所与条件ですが、現実には最重要のキーワードです。

3.あなたの年齢
最後の条件は「年齢」です。今アラフォーの人はおそらく65歳定年の時代になることは間違いないでしょう。しかし、40歳から25年しか時間が残されていません。もしもローンを組むならば定年までに住宅ローンを返し終えることを前提とする必要があります(そうしないと退職金で返し終わらせることになり、老後の貴重な資金が消滅してしまう)。

毎月の返済額が現実的なものとして設定され、定年までに返済が完了するかどうか、は自分の年齢が自分に迫ってくる前提条件のひとつです。

(これを理解したうえで、夫婦ふたりが老後に過ごすこじんまりとした家の予算を、家賃を払いながら別途貯金し、定年後に一括払いで買うという方法もあります)


■一般論は捨て「個人論」として賃貸派か持ち家派かを決めよう
一般論としての賃貸派vs持ち家派の議論は、個人の事情の前にはもろいものです。ファイナンシャルプランナーに家計相談と住宅購入の相談をすれば、年収や貯金額の確認だけではなく、家庭の事情も聞かれると思いますが、それは興味本位で聞いているわけではありません。相談者自身の事情がもっとも判断を左右する項目だとFPは知っているからなのです。

少なくとも「うちは兄が親と同居しているから、そこに自分は老後に住めないのだ」「おそらく10年後には親の家をリフォームして三世帯住居にし、そこに住むだろう」というような「個人的な前提」を踏まえておかなければ、家を買うか生涯賃貸派を目指すかの検討は始まらないはずです。

雑誌やネットの対決記事を読むのは楽しいかもしれません。しかし、賃貸派か持ち家派かの議論は、「個人論」として整理しておくことが大切です。

(文:山崎 俊輔)

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