ステロイドの塗り薬、種類・効果・副作用は?

ステロイドの塗り薬、種類・効果・副作用は?

ステロイド外用薬の強度別の種類、各製品名、副作用、顔への使用、乳幼児や妊娠中、授乳中の使用可否など、上手なステロイド使用法の基本を詳しく解説します。


■ステロイド塗り薬(外用薬)の効果と副作用
「ステロイド」と聞くと副作用を思い浮かべて不安になる方が多いようですが、ステロイドは上手に使うと炎症を抑える力の強い、効果の優れた薬です。

皮膚科で湿疹、かぶれ、虫刺されに処方するのはステロイドの塗り薬ですが、皆さんがイメージされる怖い副作用が起こりうるのは、いずれもステロイドの飲み薬を長期間飲み続けた場合のものであり、塗り薬の場合に心配する必要はありません。塗り薬を皮膚表面に塗っても体に吸収されるのはごく微量であり、全身の副作用が起こることはまず考えにくいからです。

ステロイドの塗り薬を長期間使うことで起きる副作用で代表的なのは

・皮膚が薄くなる
・皮膚表面の血管が開いて赤みが出てくる

という2つでしょう。いずれも、3ヶ月以上という長期間、顔などの特に皮膚が薄い部分に毎日塗ると出やすい副作用です。ただし、これだけの長期間ステロイドを毎日塗り続ける必要が出てくることは稀です。1〜2週間、集中的に毎日ステロイドを塗り、一度治った後は塗るのをやめ、症状が再び出たときだけステロイドを塗る、といった使い方では、通常副作用は出現しません。そのため、普通の使い方ではステロイドの塗り薬で副作用は心配しなくて大丈夫です。


■ステロイド塗り薬で色素沈着? 「跡が残る」は誤認
「ステロイドを使うと跡が残りませんか?」と質問を受けることも多いですが、これも稀です。湿疹や虫刺されの後に茶色の色が残ることがあるのは、赤く炎症を起こした後にメラニンが残る「炎症後色素沈着」という状態であり、ステロイドの副作用が原因ではありません。


■ステロイド飲み薬(内服薬)の効果と副作用
また、皮膚科では重症のじんましんや虫さされ、薬による発疹(薬疹)に対して、短期間ステロイドの飲み薬を使うことがあります。しかしこの場合も数日〜3週間程度の短期であれば胃に多少負担がかかる程度で、大きな副作用を心配する必要はありません。

皮膚科の領域であれば膠原病、水疱症といった自分に対する特殊な免疫ができてしまい皮膚が傷害される「自己免疫性疾患」の場合には、ステロイドを半年以上といった長期間内服することがありますが、これらは特殊なケースになります。


■ステロイドの塗り薬の種類…実質4段階の強度で分類
ステロイドは

・炎症を抑える強さ
・溶かしてある素材の種類(基材と呼びます)の2つで分類されます。

日本の分類では強度は5段階に分けられていますが、一番弱いランクの薬はほとんど使われていないので、実質4段階です。自分の処方された薬がどれにあたるのかわかりやすいように、以下に代表的な商品名を記載しましょう。

・非常に強い:デルモベート、ジフラール、ダイアコート
・強い:アンテベート、マイザー、フルメタ、パンデル、トプシム、ネリゾナ
・中くらい:リンデロン、ボアラ、メサデルム
・弱い:リドメックス、アルメタ、キンダベート、ロコイド

大人の場合、体の湿疹には通常は上から2番目のランクのアンテベート、フルメタ、マイザーなどを使うことが多いですが、幼児の場合はリンデロンなど1ランク下の強さの薬、2歳以下の赤ちゃんの場合はアルメタ、ロコイドなどさらに弱めの薬を使うことが多いです。症状により薬の強度を変えるので、大人で症状が強い場合には一番強いデルモベートを使ったり、症状が弱ければランクを落としたりと、実際の症状を見ながら判断します。

処方される形としては、チューブに入っているものの他、塗りやすいようにワセリンやヒルドイドなどの保湿剤と混ぜて、「軟膏壺」とよばれる小型のジャーのようなものに入れて処方されることもあります(薬の形態については、以下で詳しく解説します)。

■ジェネリックのステロイド塗り薬
また、最近はジェネリックの塗り薬も増えており、上記に名前がない薬も多く処方されていますので、どれに対応するか調べる必要があります。デルトピカはデルモベートの、モメタゾンはフルメタの、スピラゾンはリドメックスの、それぞれジェネリック医薬品にあたります。政府の主導により、最近は飲み薬同様に塗り薬でもジェネリックの処方が増えています。効果は先発品よりもわずかに強くなったり弱くなったりすることがあると報告されていますが、通常の使い方では差はほとんどないと考えてよいでしょう。


■ステロイドの形態は軟膏・クリーム・ローションの3種類
ステロイドの塗り薬は、それぞれの名前の塗り薬に対して、通常は

・軟膏
・クリーム
・ローション

の3種類の形態(基材)が用意されています。

■ステロイド軟膏
軟膏はステロイドの成分を密閉して皮膚からの吸収を上げる作用があるため、同じ成分でも効果が最も高くなります。日本の分類では軟膏とクリームの強さを分けていませんが、アメリカの分類では7段階であり、同じ名前と成分でも、軟膏はクリームやローションよりも1ランク上に分類されます。

軟膏は保湿作用が強いので、がさがさやごわごわが強い時に特に強い効果を発揮します。ベトベトするので、頭、わきといった毛が生える部分には使いづらいかもしれません。

■クリーム状のステロイド塗り薬
クリームは塗った後にすぐ吸収されてベトベトが残らないので、使い心地がよいです。手や腕など外に露出する部位にも塗りやすいでしょう。

■ローション状のステロイド塗り薬
一言でローションと言っても、透明な液体でさらさらなもの、乳液のようにしっとりした白色のもの、と見た目は異なります。ローションは毛が生えた場所でも塗りやすいので、頭皮にできたがさがさや赤みにもよく使われます。


■湿疹・アトピー・虫刺されにも効果的なステロイド塗り薬
ステロイドの塗り薬を一番よく使う病気は、赤くなったりガサガサして痒みが出たりする「湿疹」です。湿疹が体の広い範囲にあり、長期間続いている「アトピー性皮膚炎」に対しても、標準治療としてステロイドが使用されます。その他にも、かぶれ、虫さされなど多くの痒みや赤い炎症を伴う皮膚の病気でステロイドの塗り薬が使われます。

これらの病気にはステロイドの塗り薬が非常に有効ですので、怖がらずにしっかりとした強さのものを十分な治療期間使うことが大切です。


■湿疹等の再発予防にも決められた期間の使用が大切
また、一番強いステロイドのデルモベートであっても、大人の体で2〜3週間使い続ける分には副作用は出現しません。少し良くなったからと塗るのを止めてしまうと、すぐに再発してしまうケースが多いので、恐がらずに十分な期間使って下さい。

一度完全に正常な、つるつるの皮膚の状態にまで戻してあげれば、状態がすぐに悪くなることを防げます。


■乳児湿疹へのステロイド使用の安全性・使い分けと注意点
子どもの場合、大人と比較して皮膚が薄いため、ステロイドの吸収もよく、弱めの薬で十分な効果が出ます。

生後3〜4ヶ月でよくみられる乳児湿疹は自然に治ることもありますが、症状が強いときにはアルメタ、ロコイド、キンダベートと行った弱めのステロイドを塗ることで症状を早めに抑えることができます。湿疹の赤みが広がる前に治療した方が拡大を防げますし、患部が広がると結局自然には治まらず、より強度の強いステロイドを量的にも多く使うことになってしまいかねません。副作用を怖がるよりも大事なことは、初期の段階で湿疹症状を抑えることです。

赤ちゃんの時期の湿疹を適切に治療して良い皮膚の状態を保つことで、将来湿疹が持続したりアトピー性皮膚炎に進行するリスクを減らすことができると推測されています。ステロイドの副作用を怖がるよりも、将来の湿疹やアトピー性皮膚炎のリスクを減らすことははるかに重要なことです。


■ステロイドを顔に塗る場合は? 子どもや乳児の使用も
顔は皮膚が薄く、ステロイドの吸収がよい部位です。そのため、弱くても効きやすく、弱めのランクのステロイドを使います。具体的に言うと、リドメックス、アルメタ、ロコイドといった弱いランクに属する塗り薬を用います。子どもや乳児の顔でも、このランクの薬ですと短期間ならば安心して使えます。乳児ではさらにワセリンと混ぜて濃度を下げて使うこともあります。


■ステロイドの塗り薬は妊娠中・授乳中も安全に使用可能
冒頭でも触れましたが、ステロイドの塗り薬の体への吸収は微量なので、妊娠中、授乳中も、どのランクのものでも問題なく使用できます。ステロイドの塗り薬で効果的に治療できる湿疹などが出てしまった場合は、副作用ばかりを心配して悪化させることがないよう、積極的に使って治すことが大事です。
(文:野田 真史)

関連記事(外部サイト)