35歳、なかなか妊娠しない…これって不妊症?

35歳、なかなか妊娠しない…これって不妊症?

なんとなく妊娠を先延ばしにしていて、そろそろ……と思っても、なかなか妊娠しないことに「不妊症?」と焦る方も少なくありません。


■すぐに妊娠しないと「不妊症」?
私はバースコーディネーターとして妊娠前から産後までのさまざまな女性を支援していますが、妊娠前の女性がクラスに来る目的はそれこそ多様です。自分の体のケアに興味を持った女性、「そろそろ赤ちゃんを」と意識し始めた新婚さん、赤ちゃんが欲しいと思ってから数年待っている授かり待ち期の女性……。

避妊をやめても授からない場合、すぐに「私って不妊症?」と思い始める人はとても多いのですが、それは性急です。

では、どのくらい妊娠しなければ「不妊症」と言われるのでしょう? 一般的には、結婚して避妊をせずに1年経っても妊娠しない場合、不妊症と診断されます。しかし、現代のハードワークな日々やタバコなどの悪影響、親になることを先延ばしにしたい心理など、心身をとりまく条件に様々な背景があります。この「1年間」という数字は、厳密には正しい尺度ではないかもしれません。

そもそも、パート―ナーとの関係が結婚前であったり、結婚していても仕事がハードであるなど、避妊をする理由も多種多様。そして赤ちゃんが来ても大丈夫!と思い始めて、避妊期間を解く。さぁ、避妊する必要がもうなくなったから、いつでも赤ちゃんいらっしゃい! あれ!? 避妊を解いたのに妊娠しないなぁ……。

私たちは学校で「学生時代に妊娠してはならない!」と避妊教育を受けてきました。もちろん、心も体も一人前の大人として成長してから赤ちゃんを授かるもの。興味本位での性行為による妊娠は、本人も生まれ来る赤ちゃんにとって不安定なものです。「妊娠しないために=避妊を行う」という図式が脳の配線に組み込まれているためか、「避妊をやめる=健康であれば妊娠する」という思い込みがあります。


■自然受精率は40%以下、自然妊娠率は意外と低い
「避妊しない=排卵日にセックスをすれば妊娠する!」という思い込みで、必要以上に自分を「病気ではないか」と苦しめている方が増えているようにお見受けします。講演会先の質疑応答では、「不妊歴2カ月ですが」とおっしゃる方もいました。避妊を解いて2カ月間、排卵日前後にセックスをしたけれど授からなかったということでしょうが、そんなにロボットみたいにはいかないものです。

たとえ健康な精子と卵子が出会ったとしても、すべてが受精するわけではありません。生殖医学の文献などを見ると、自然受精率は40%以下とあります。2カ月前に避妊をやめただけで、「不妊症」と思い込むのは早合点。自然妊娠率は想像以上にとても低いものです。


■いつか妊娠したいと思う人は
高齢出産予備軍で、妊娠したいけれど今ではないという女性も、今から避妊をやめてもすぐには授からないこともあるという事実を知っておく方が、将来赤ちゃんと出会う可能性はずっと高くなります。妊娠を先送りにしたい理由は様々だと思いますが、自然妊娠率が案外低いことを知っているのといないのでは、人生設計が大違いです。

お仕事などの外的要因で先送りにされている人もいます。その場合、どのくらい待てば仕事が軽くなるのでしょうか? おそらくほとんどの人は、ビジネスでは次のステージ、次のステージへと成長が待っています。次々に追加、更新されていくものが仕事。ペースダウンはなかなか難しい決断となるでしょう。

業種や業態によっても様々でしょうが、気分だけで「仕事はやるだけやったから、そろそろ産み時」という機会は、一般のビジネスの場ではなかなか自然に訪れるものではありません。10年後の自分がどんなワーキングマザーになっていたいかを意識して、仕事のペースダウンを調整してみるとよいと思います。


■高齢出産の方の妊娠準備
高齢出産の年齢で妊娠を望んでいて、なかなか授からない人、「私って不妊症?」と思われる方は一度クリニックにかかってみるのも方法の一つです。これから結婚という方や、遠くない未来に結婚の予定のある方は「ブライダルチェック」もあります。

この「ブライダルチェック」は施設にもよりますが、問診・内診、血液検査や尿検査などを通して体の状態や性感染症の有無などを調べるもの。妊娠を意識されていたら、自身の体の状態を確認し、妊娠に向けてセルフケアできることを増やしておけるといいですね。抗精子抗体がないかどうか見てみることも一つ。抗精子抗体というのは女性の体の中に射精されても、細菌などと同じく異物と反応してしまい、精子を全滅させようとする免疫のことを言います。

検査を受けた時に不妊治療を勧められることもあるでしょう。精子と卵子はまだ科学では作れるものではありません。不妊治療は、ご自身とパートナーの「いのちのはじまり」が出会うサポートです。しかし、検査とともに不妊治療を勧められたら、必ず受けるものでしょうか?


■不妊治療、受ける? 受けない?
なかなか授からないなぁと思っている方も、ただ単に体の状態を確認するために検査を受けた方も、不妊治療を勧められた場合、どのように受け止めればいいのでしょうか。

ある調査によれば、不妊の原因は、女性側に40%、男性側に40%、不明が20%だと言われています。男女どちらかの体に原因がある確率は、実は男女半々なのですね。そして驚きなのが「不明20%」。生殖技術が進化しても、依然として原因がつかめないものが2割もあるんです。検査において、体の状態で一つでも弱い部分があれば、医者としては万全を尽くすための善意で治療を勧める施設が多いでしょう。検査に行った時点で、不妊相談→不妊治療通院という流れになってきています。

治療を受ける、受けないは各自の判断。接する医療者が自分にとって信頼がおけるかそうでないかも、自分で判断するもの。誰かに判断してもらうものではないし、みんなが同じ答えにたどり着くのではありません。お産も同じように、どこを探しても同じものは存在せず、完成品パッケージのようなシステムは存在しません。

不妊治療に通うのは主に女性で、男性にとってはなかなか足を踏み入れにくい環境であるようです。男性の精子をクリニックに持っていくにしても、女性が一人で持っていくということが多いようです。二人の家族計画であるので、本来は二人で取り組むことができるのが望ましいですね。

不妊治療は、精子と卵子が出会うことができるようサポートするものですが、生活ストレスが増えすぎたり、治療で二人が性生活を楽しめなくなるようなときは、お休みする勇気を持つことも大事。妊娠は、ただ二人の精子と卵子が出会うだけでなく、お互いに気持ちや暮らしが重なり合ってするものですから。
(文:大葉 ナナコ)

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