「妻が冷たい」と愚痴る50代男性、既婚者合コンで初対面女性に“ごもっともな指摘”をされる
2023年09月17日 22時05分All About

夫婦仲がずっと悪かったわけでもなく、義母が亡くなったときに嘆く妻へ寄り添いもした。しかし、2年前に出向がきまり、納得がいかなかった夫はつい愚痴をこぼし始めた。途端に妻の態度が冷たいものに変わっていった。
50代になって、仕事上も人間関係も悩みが尽きない夫。ついつい妻に愚痴のひとつも言いたくなるところ。だが一方の妻は、子育ても一段落し、エネルギッシュに日々を楽しんでいる。50代で、夫婦の「元気度」には違いが出てくるようだ。
■50代になってから妻は変わった
「うち、夫婦仲はそれほど悪くなかったんですよ。子どもたちが大きくなってからは、週末に妻と映画を観に行くこともあった。ただ、50代に入ってから妻は変わったような気がします」
肩を落としてそう話してくれたのは、シュウイチさん(54歳)だ。30歳のときに結婚。同い年の妻との間に、現在、22歳と20歳の子がいる。
共働きを望んだ妻だが、2人目を産んだあと体調を崩し、退職せざるを得なかった。上の子が小学校に入ってから再就職し、以来、協力しあって家庭を維持してきた。
「僕は30代から40代にかけて本当に仕事が忙しかった。出張も多かったですしね。そんなときは妻の母親に助けてもらいました。義母の応援と助けがあったからやってこられた」
■妻に寄り添ってきたつもりだった
だから5年前、義母が倒れたときは彼も毎日のように病院に見舞いに行った。元気になってようやく退院できるとなったのに突然容態が変わり、義母は帰らぬ人となった。
「そのときの妻の嘆き方は半端じゃなかった。毎日早く帰って妻に寄り添いました。べったり一緒にいる母娘ではなかったけど愛情は深かった」
ただ、時間とともに妻は少しずつ元気になっていった。週末はふたりでデートするようになったのも、このころからだ。妻との絆が強くなったと彼は思っていた。
■「うんざりだわ」とはねつけられて
2年ほど前、彼をとりまく仕事の環境が一気に変わった。出向を打診され、断ると勤務先の上層部から圧力がかかった。
「これまで必死に働いてきて、会社にはそれなりに貢献してきたはず。なのにどうして出向なんだと憤りが止まりませんでした。きみにグループ会社の質を高めてほしいときれいごとを言っていたけど、ていのいいお払い箱です。給料が上がっていくと、だいたいそうやって追い払われるのを見てきました。自分もそうなるとは思っていなかった」
コロナ禍で会社の業績が悪化したとも言われた。だがシュウイチさんはコロナ禍でも実績を上げてきたはずだった。納得がいかなかった。
「そのころからですね、妻にときどき愚痴を言うようになったのは。自分では愚痴をこぼしている自覚はなく、納得いかない気持ちを話して共感してもらいたかっただけ。でも妻は、『会社としてもしかたがないということはあるんじゃない?』と共感してくれなかった。グループ会社だってクビになるよりマシよとも言っていました。
僕の仕事の状況も知らないくせにと思わず言ったら『だったら愚痴らないでよ。毎日愚痴ったって、何も変わらないんだから』と。いくらなんでも冷たくないですか?」
妻には妻の意図があったのではないだろうか。だがシュウイチさんは首を横に振った。自分の社内での立場など、妻にとっては興味も関心もないのだろうと彼は言う。
「でも思うんですよ、愚痴だというならそれでもいいけど、少しくらい聞いてくれてもいいんじゃないかと。長年連れ添った夫婦なんですから。でもそれ以降も、僕が何か言うと『わかったわかった』と受け流される。『私だって更年期でイライラしてるんだから、よけいなことを言わないでよ』と怒られることもありました」
■妻がダメならと、既婚者合コンに行ってみた
妻に話せなくなった彼は、今年に入ってから既婚者合コンに参加するようになった。不倫相手を探したいわけではない。寄り添って話を聞いてくれる女性を見つけたいだけだった。
だが数回、参加したものの親しくなった女性はいない。
「僕は結婚後、妻以外の女性とふたりきりで飲んだことさえないんです。どうしたら女性が心を許してくれるかも覚えていない。合コンの最中、ある女性から『なんとなくあなたには負のオーラがある。それじゃ女性は近づいてこないわよ』と言われました。考えてみれば妻でさえ聞いてくれないんだから、赤の他人が聞いてくれるはずもない」
現在彼は、会社の指示通りグループ会社に出向している。やりがいのある仕事ではないが、生活のためにやむを得ないと我慢を続けている。一方の妻は、仕事帰りに同僚と食事をしたり、子どもたちと出かけたり、学生時代の友人と旅行すらしているようだ。
「更年期でつらいのよと言いながら、精力的に仕事をし、遊んでもいる。あれほど元気なら、少しは僕を気にかけてくれてもいいのにとつい思ってしまうんですよ。夫婦なんだから、夫がめげているときは大事にしてくれてもいいのに……」
彼はつらそうに言うが、妻にとっては確かに「うっとうしい」だろうと想像がつく。建設的な話ならともかく、日々、愚痴を垂れ流されたら、いくら家族でも聞いているほうが疲弊していく。毎日同じことを言っているわけではないと彼は言うが、いずれにしてもネガティブな発言しかしていないなら同じことだ。
特に抑うつ状態にあるわけではない。おそらく彼はただ、妻からの関心を得たいのだろう。もう一度、仲睦まじかったころに戻りたいのだ。それを妻がわかってくれれば、事態は案外、変わっていくかもしれない。
▼亀山 早苗プロフィール明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))
■50代になってから妻は変わった
「うち、夫婦仲はそれほど悪くなかったんですよ。子どもたちが大きくなってからは、週末に妻と映画を観に行くこともあった。ただ、50代に入ってから妻は変わったような気がします」
肩を落としてそう話してくれたのは、シュウイチさん(54歳)だ。30歳のときに結婚。同い年の妻との間に、現在、22歳と20歳の子がいる。
共働きを望んだ妻だが、2人目を産んだあと体調を崩し、退職せざるを得なかった。上の子が小学校に入ってから再就職し、以来、協力しあって家庭を維持してきた。
「僕は30代から40代にかけて本当に仕事が忙しかった。出張も多かったですしね。そんなときは妻の母親に助けてもらいました。義母の応援と助けがあったからやってこられた」
■妻に寄り添ってきたつもりだった
だから5年前、義母が倒れたときは彼も毎日のように病院に見舞いに行った。元気になってようやく退院できるとなったのに突然容態が変わり、義母は帰らぬ人となった。
「そのときの妻の嘆き方は半端じゃなかった。毎日早く帰って妻に寄り添いました。べったり一緒にいる母娘ではなかったけど愛情は深かった」
ただ、時間とともに妻は少しずつ元気になっていった。週末はふたりでデートするようになったのも、このころからだ。妻との絆が強くなったと彼は思っていた。
■「うんざりだわ」とはねつけられて
2年ほど前、彼をとりまく仕事の環境が一気に変わった。出向を打診され、断ると勤務先の上層部から圧力がかかった。
「これまで必死に働いてきて、会社にはそれなりに貢献してきたはず。なのにどうして出向なんだと憤りが止まりませんでした。きみにグループ会社の質を高めてほしいときれいごとを言っていたけど、ていのいいお払い箱です。給料が上がっていくと、だいたいそうやって追い払われるのを見てきました。自分もそうなるとは思っていなかった」
コロナ禍で会社の業績が悪化したとも言われた。だがシュウイチさんはコロナ禍でも実績を上げてきたはずだった。納得がいかなかった。
「そのころからですね、妻にときどき愚痴を言うようになったのは。自分では愚痴をこぼしている自覚はなく、納得いかない気持ちを話して共感してもらいたかっただけ。でも妻は、『会社としてもしかたがないということはあるんじゃない?』と共感してくれなかった。グループ会社だってクビになるよりマシよとも言っていました。
僕の仕事の状況も知らないくせにと思わず言ったら『だったら愚痴らないでよ。毎日愚痴ったって、何も変わらないんだから』と。いくらなんでも冷たくないですか?」
妻には妻の意図があったのではないだろうか。だがシュウイチさんは首を横に振った。自分の社内での立場など、妻にとっては興味も関心もないのだろうと彼は言う。
「でも思うんですよ、愚痴だというならそれでもいいけど、少しくらい聞いてくれてもいいんじゃないかと。長年連れ添った夫婦なんですから。でもそれ以降も、僕が何か言うと『わかったわかった』と受け流される。『私だって更年期でイライラしてるんだから、よけいなことを言わないでよ』と怒られることもありました」
■妻がダメならと、既婚者合コンに行ってみた
妻に話せなくなった彼は、今年に入ってから既婚者合コンに参加するようになった。不倫相手を探したいわけではない。寄り添って話を聞いてくれる女性を見つけたいだけだった。
だが数回、参加したものの親しくなった女性はいない。
「僕は結婚後、妻以外の女性とふたりきりで飲んだことさえないんです。どうしたら女性が心を許してくれるかも覚えていない。合コンの最中、ある女性から『なんとなくあなたには負のオーラがある。それじゃ女性は近づいてこないわよ』と言われました。考えてみれば妻でさえ聞いてくれないんだから、赤の他人が聞いてくれるはずもない」
現在彼は、会社の指示通りグループ会社に出向している。やりがいのある仕事ではないが、生活のためにやむを得ないと我慢を続けている。一方の妻は、仕事帰りに同僚と食事をしたり、子どもたちと出かけたり、学生時代の友人と旅行すらしているようだ。
「更年期でつらいのよと言いながら、精力的に仕事をし、遊んでもいる。あれほど元気なら、少しは僕を気にかけてくれてもいいのにとつい思ってしまうんですよ。夫婦なんだから、夫がめげているときは大事にしてくれてもいいのに……」
彼はつらそうに言うが、妻にとっては確かに「うっとうしい」だろうと想像がつく。建設的な話ならともかく、日々、愚痴を垂れ流されたら、いくら家族でも聞いているほうが疲弊していく。毎日同じことを言っているわけではないと彼は言うが、いずれにしてもネガティブな発言しかしていないなら同じことだ。
特に抑うつ状態にあるわけではない。おそらく彼はただ、妻からの関心を得たいのだろう。もう一度、仲睦まじかったころに戻りたいのだ。それを妻がわかってくれれば、事態は案外、変わっていくかもしれない。
▼亀山 早苗プロフィール明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))
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