「人間関係に疲れやすい人」の特徴は? 友だちや職場がしんどいときにすべきこと【公認心理師が解説】

「人間関係に疲れやすい人」の特徴 一定の人間関係に安住しない姿勢も必要

記事まとめ

  • 人間関係に疲れやすい人は、他人に過剰に気を遣い我慢することが多いという
  • 相手の気持ちを悪い方向に推測したり、言葉の裏を探ることが多かったりするとも
  • 一定の人間関係に安住せず、多様な人々と付き合うことなどがポイントだという

「人間関係に疲れやすい人」の特徴は? 友だちや職場がしんどいときにすべきこと【公認心理師が解説】

「人間関係に疲れやすい人」の特徴は? 友だちや職場がしんどいときにすべきこと【公認心理師が解説】

人間関係に疲れていませんか? 人間関係には、ストレスがつきものです。仲間や友だち、職場の人間関係に疲れたり、しんどいと感じたりしたら、人との付き合い方、距離の取り方を一度見直してみましょう。


■楽しくもありストレスにもなる「人間関係」に疲れたら……
身近な人との付き合いを楽しみ、良好な人間関係が築けていれば、人生は明るく楽しいものに感じられます。しかし、人間関係はよい刺激や安心感をもたらす一方で、気遣いや誤解に伴うネガティブな感情も生じやすいものです。

そうしたストレスを抱えながら、惰性で付き合いを続けていると、疲労が蓄積してしまいます。また気をつけないと、相手に依存されたり、プライバシーを侵害されたり、都合よく利用されたり、誤解されて悪口を言われたりと、さまざまなトラブルに見舞われてしまうこともあります。


■人間関係がしんどい……疲れやすい人の特徴
人間関係に疲れやすい人には、いくつかの特徴があります。たとえば、次のようなことに心当たりはありませんか?

・周りに気を遣い、自発的な発言や行動を我慢することが多い
・「あの人からこう思われているのではないか?」と悪い方向に推測することが多い
・言葉の裏を探ることが多く、また、相手の気持ちをその時々の感情で判断することが多い
・特定の人に対するストレスを、陰口や悪口によって解消している

このように、他人に過剰に気を遣ったり、相手の気持ちを悪い方向に推測したり、自分の思いを素直に伝えられなかったりする人は、人間関係にストレスを感じやすくなります。


■人間関係への疲れやすさは、「対人関係力」とも関連
ところで、上のようなパターンに心当たりのある方は、旧知の友人や家族など、いつも同じ相手との交流ばかりを続けていないでしょうか?

今現在では安心できる間柄でも、その関係性は年齢を重ねると共に変化していきます。したがって、一定の関係だけに執着していると、「いずれその関係を失うのではないか」という不安が募ってしまうでしょう。また、新たな出会いを重ねて積極的に人間関係を築いていかないと、対人関係力はどんどん低下してしまいます。

したがって、「人間関係への疲れやすさ」を根本的に解決するためには、一定の人間関係に安住せず、色々な人と交流しながら「対人関係力」を鍛えていく姿勢が必要です。具体的なポイントを4つお伝えします。


■「人間関係への疲れやすさ」を解決する4つのポイント
人間関係で疲れやすい人は、以下の4つのポイントを意識してみましょう。

・適度な距離を保ちながら、多様な人々と付き合う
・何らかの「世話役」を引き受けてみる
・人間関係から距離を置く理由を常に用意しておく
・気が向いたときに、自分から人を誘ってみる


■1. 適度な距離を保ちながら、多様な人々と付き合う
旧知の人との関係は、たしかに安心できるものです。しかし、親しくなるほどお互いへの甘えが生じやすくなり、遠慮をなくしがちになります。そのため、つい相手を傷つける言葉を言ってしまったり、軽い気持ちで相手との約束を破ってしまったり、気軽にお互いのプライバシーに踏みこむようなことが起こってしまいます。

このように、限られた人との間だけで濃厚な付き合いを続けていると、その関係の中で葛藤や摩擦が起こりやすくなります。その結果、お互いへの不愉快な気持ちが募り、急に信頼関係が崩れてしまうことがあるのです。

したがって、一定の人と深く付き合うことだけにこだわらず、多様な人々とほどよい距離感と緊張感を保ちながら交流していくことが大切です。


■2. 何らかの「世話役」を引き受けてみる
対人関係力を高めるには、何らかの「世話役」を務めてみるとよいでしょう。身近なところでは、懇親会の幹事や地域活動の役員、PTA役員などが取り組みやすい役割なのではないでしょうか。こうした世話役を経験すると、さまざまな人間像に触れることができ、対人関係力が鍛えられます。

ただし、一人の人が世話役を続けると、周りの人が受け身的・傍観的な態度になりやすく、メンバーの活動参画意識を阻害してしまうこともあります。したがって同じ世話役を何回も連続して引き受けず、「2回続けたら、次の人にバトンを渡そう。そのときにはサポート役に回ればいい」というように、次の代に継承する意識を持つことをおすすめします。


■3. 人間関係から距離を置く理由を常に用意しておく
楽しくもあり、息苦しくもあるのが人間関係です。一定の付き合いにストレスを感じてきたら、少し距離を置いてみましょう。

そのためには、相手を傷つけない「言い訳」や「逃げ場」を用意しておくのも大切なことです。「当面、休日も仕事で忙しくなりそう」「今、子ども関係の用事で手がかかる時期」「週末に○○のスクールに通い始めた」など、角が立たない理由をいくつか考えておくとよいでしょう。

そのためにも、趣味や娯楽、勉強などの活動のフィールド(サードプレイス)を複数持っておくのがおすすめです。


■4. 気が向いたときに、自分から人を誘ってみる
誘われるのを待つだけでは、対人関係力は鍛えられません。自分からも積極的に「誘う」ようにしましょう。その際には、いつも同じメンバーで集まるのではなく、「違うメンツで2~3人」「今回は5人以上で集合」など、さまざまなメンバー構成で交流する機会を持ってみましょう。

最初は億劫でも、慣れれば「待つより誘う方が楽」と感じるようになるでしょう。自分から人を誘うと、交際範囲は自然と広がります。

ぜひこれらのポイントをヒントにしながら、「人間関係に疲れやすい自分」から少しずつ卒業していくことを目指してみませんか?

▼大美賀 直子プロフィール公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
(文:大美賀 直子(公認心理師))

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