寝不足だと「がんリスク」も上がる? 眠さや肌荒れだけではすまない睡眠不足の怖さ【脳科学者が解説】
2023年09月25日 20時45分All About

睡眠不足は、ただ眠たくてパフォーマンスが落ちるだけではありません。感染症やその他の重大な病気のリスクも上がるなど、健康にもさまざまな悪影響が及びます。睡眠時間を削ることで何が起こるのか、そこから睡眠の重要性について考えてみましょう。
皆さんは、毎日よく眠れていますか?
筆者は、仕事が忙しくて、なかなか睡眠時間がとれていません。だいたい夜の1時か2時くらいまではパソコンに向かって作業をしていて、朝は普通に6時くらいには起きなければなりませんから、一日の睡眠時間は4~5時間というところでしょうか。
実は今まさにこの記事の執筆も夜中にやっています。一日でいいから、たまにはもっと早く床について、朝までぐっすり、死んだように爆睡したいなあなんて思うこともあります。これではよくないと分かっていても、ついつい睡眠不足を感じる毎日を過ごしてしまっています。
ところで、私たちはなぜ毎日眠るのでしょうか。必要なことだからこそ、毎日規則正しく眠たくなり「睡眠」をとっているにちがいありません。睡眠不足が原因で起こることから、睡眠の重要性について考えてみましょう。
■睡眠時間を削ると寿命に関わることも
睡眠時間と寿命には関連があります。「睡眠中の代謝率の低い動物ほど、寿命が長い」という法則がありますが、これは、睡眠によって無駄なエネルギーを消費せずに済むからだと考えられます。
エネルギーを消費せずに済む、というのは、単に「疲れずに済む」という意味ではありません。私たちの免疫力の源である白血球が十分にはたらくためには、エネルギーが欠かせないのです。ネズミをずっと断眠状態にする実験では、2週間足らずで全個体が死亡してしまったと報告されています。
ひどい睡眠不足は命にかかわることもあるのです。白血球が十分にはたらかず、免疫機能が低下したことにより、重度の全身性の感染症になったためと考えられています。
■睡眠不足だと風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
ネズミの実験からもわかる通り、睡眠不足になると、免疫力が低下して感染症にもかかりやすくなります。これは、重大な病気だけでなく、よくある風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症も同じです。
■睡眠不足は肌荒れの原因になる
また、睡眠不足は健康面だけでなく美容面にも影響します。寝不足の日は「お肌の調子が悪い」と感じることがあると思いますが、これも肌トラブルを修復する免疫が十分にはたらかないためです。
■睡眠不足だと、がん・糖尿病リスクも上がる
また、睡眠不足の状態が長期に及ぶと、がんや糖尿病などのリスクが上がることも分かっています。しっかり睡眠をとることで、免疫力を高め、病気にかかりにくいように整えることも大事です。
睡眠はエネルギーを節約し、体力を回復・向上させ、大切な免疫機能を維持するために重要ですが、これら以外にも睡眠のメリットはたくさんあります。一方で、睡眠の生理的意義については、古くから多くの研究者が解明しようと取り組んできましたが、実はまだ完全には解明されていないのです。
心身の健康を守るためには毎日の睡眠が重要であることを認識し、忙しくても最低限の睡眠はしっかり確保するようにしてください。
▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))
筆者は、仕事が忙しくて、なかなか睡眠時間がとれていません。だいたい夜の1時か2時くらいまではパソコンに向かって作業をしていて、朝は普通に6時くらいには起きなければなりませんから、一日の睡眠時間は4~5時間というところでしょうか。
実は今まさにこの記事の執筆も夜中にやっています。一日でいいから、たまにはもっと早く床について、朝までぐっすり、死んだように爆睡したいなあなんて思うこともあります。これではよくないと分かっていても、ついつい睡眠不足を感じる毎日を過ごしてしまっています。
ところで、私たちはなぜ毎日眠るのでしょうか。必要なことだからこそ、毎日規則正しく眠たくなり「睡眠」をとっているにちがいありません。睡眠不足が原因で起こることから、睡眠の重要性について考えてみましょう。
■睡眠時間を削ると寿命に関わることも
睡眠時間と寿命には関連があります。「睡眠中の代謝率の低い動物ほど、寿命が長い」という法則がありますが、これは、睡眠によって無駄なエネルギーを消費せずに済むからだと考えられます。
エネルギーを消費せずに済む、というのは、単に「疲れずに済む」という意味ではありません。私たちの免疫力の源である白血球が十分にはたらくためには、エネルギーが欠かせないのです。ネズミをずっと断眠状態にする実験では、2週間足らずで全個体が死亡してしまったと報告されています。
ひどい睡眠不足は命にかかわることもあるのです。白血球が十分にはたらかず、免疫機能が低下したことにより、重度の全身性の感染症になったためと考えられています。
■睡眠不足だと風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
ネズミの実験からもわかる通り、睡眠不足になると、免疫力が低下して感染症にもかかりやすくなります。これは、重大な病気だけでなく、よくある風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症も同じです。
■睡眠不足は肌荒れの原因になる
また、睡眠不足は健康面だけでなく美容面にも影響します。寝不足の日は「お肌の調子が悪い」と感じることがあると思いますが、これも肌トラブルを修復する免疫が十分にはたらかないためです。
■睡眠不足だと、がん・糖尿病リスクも上がる
また、睡眠不足の状態が長期に及ぶと、がんや糖尿病などのリスクが上がることも分かっています。しっかり睡眠をとることで、免疫力を高め、病気にかかりにくいように整えることも大事です。
睡眠はエネルギーを節約し、体力を回復・向上させ、大切な免疫機能を維持するために重要ですが、これら以外にも睡眠のメリットはたくさんあります。一方で、睡眠の生理的意義については、古くから多くの研究者が解明しようと取り組んできましたが、実はまだ完全には解明されていないのです。
心身の健康を守るためには毎日の睡眠が重要であることを認識し、忙しくても最低限の睡眠はしっかり確保するようにしてください。
▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))
そりゃそうでしょうと言うことしか書かれていない。正にオールアバウト。