混合診療とは?メリットとデメリットを解説

混合診療とは?メリットとデメリットを解説

混合診療とは?メリットとデメリットを解説


■日本では原則禁止の混合診療とは?
混合診療とは、1つの病気やケガの治療において、健康保険が使える「保険診療」と健康保険が使えない「自由診療」を両方受けることです。日本では現在、原則混合診療は禁止されています。自由診療を選ぶと、健康保険が使える検査・診療・注射・入院等についても、初診日にさかのぼって「全額自己負担」となるのが原則です。

「混合診療が拡大すると、経済的な格差で受けられる医療に格差が生まれ、日本の国民皆保険制度が崩れるのでは?」「質が保障されない医療が横行するのでは?」と心配する声があり、日本では混合診療が原則禁止、例外的に一部解禁しています。混合診療がより拡大されれば、自由診療を選んでも、健康保険が使える検査・診療・注射・入院等については医療費の一部負担金(1〜3割)を支払い、自由診療の医療費のみを全額自己負担できる治療が増えます。


■混合診療が例外的に認められているケースも
日本では原則禁止の混合診療ですが、例外があります。「保険外併用療養費」といって、健康保険が使えない自由診療を受ける場合でも、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」、平成28年4月より始まった「患者申出制度による療養」なら保険診療と併用が認められています。

【評価療養】
・先進医療(高度医療を含む)
(参考 先進医療を実施する医療機関の一覧)
・医薬品及び医療機器の治験に係る診療
・薬事法承認後で保険収載前の医薬品及び医療機器の使用
・適応外の医薬品及び医療機器の使用

【患者申出療養】
(参考 患者申出療養実施医療機関)

【選定療養】
・差額ベッド
・歯科の金合金等や金属床総義歯
・予約・時間外診療
・大病院の初診・再診
・小児う触の指導管理
・180日以上の入院
・制限回数を超える医療行為

保険外併用診療費だと、総額100万円の診療でも、保険適用部分は一部負担(1〜3割)で済む。健康保険適用外の先進医療部分のみ全額自己負担すればよい(図は厚生労働省HPより)


■混合診療拡大のメリット
前述したように、保険外併用療養費には「厚生労働大臣が定めた」という条件がつきます。「患者申出制度」として、保険外併用療養費の対象とする案(混合診療の拡大)が、平成26年6月の政府の規制改革会議で決定し、平成28年4月より制度化されています。

「患者申出制度」がより普及すれば、一部は健康保険が使えるので高度先進医療も選びやすくなり、患者の治療の選択肢は増えるでしょう。病院では「日本で認められていないけれど、海外で認められている」治療等を行いやすくなり、医療機関側も混合診療禁止違反で保険病院指定を取り消されるリスクが大幅に減る、という面もあります。


■混合診療拡大のデメリット
混合診療拡大には、心配な面もあります。患者と医師はいつも同等の立場で治療に合意するでしょうか?医師に言われれば、高額な医療費を払う人もいるでしょう。症状が重いほど、本人も周囲も選択に迷いそうです。もし悪い結果になれば、選択を後悔する人もいるでしょう。選択肢が多いことが、時にはデメリットになる可能性もあります。

現状の保険外併用療養費の「評価療養」と同じで、「患者申出制度」による療養は将来の健康保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集めることを目的としています。効果的で安全な高度先進医療とわかり、健康保険が適用され、「評価療養」となる先進医療が増えることを願っています。健康保険適用にならない先進治療ばかりが増えても、治療費を患者が全額負担することになり、患者にデメリットだからです。


■民間の医療保険はますます吟味する必要が
現在米国が加入離脱か復帰するのかわからず止まっているTPPですが、TPPが妥結され、混合診療も拡大されれば、国内外の保険会社が医療分野へもっと参入するでしょう。保険会社の給付金は支払いが迅速な反面、保険料や契約内容に応じてサービスが異なる面で、公的医療保険とは異なります。「他社の保険契約なら、この治療を受けられた?」等と後悔しないよう、健康なうちに医療保険を比較検討し、選ぶ必要性が高まるでしょう。


■今後どうなる?混合診療
厚生労働省では「医療は安全な健康保険診療が基本」と混合診療拡大には慎重で、医療の質の低下を心配していました。日本医師会でも「高度先進医療で、安全で普遍なものは全て健康保険適用するべき」、難病団体でも「高額な患者負担を前提とした自由診療が激増するのでは?」と、混合診療の拡大に慎重だったのですが、政府に押し切られる形で、「保険外併用療養費」の中に「患者申出制度」ができました。

慎重な意見も受けたため、「患者申出制度」を取り入れても医療の質が下がらないために、以前の保険外併用療養費と同じく、厚労省の専門家会議のチェックを義務づけ、「患者申出制度」を行う機関も一部の大病院になりました。患者の申出を尊重した、質のいい先進医療が早く健康保険適用となるように願っています。
(文:拝野 洋子)

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