「発達障害ではないですか?」の罠

「発達障害ではないですか?」の罠

幼稚園や保育園、学校などで担任の先生から発達障害を疑われたことがきっかけで子育てに自信を無くしてしまうという話をときどき耳にします。


■「発達障害ではないですか?」の罠
最近、ときどきママたちから「うちの子発達障害じゃないかしらと思って」「幼稚園で担任の先生にそう言われてしまって」などというお話を聞くようになりました。「子どもがよく判らないのです」といった悩みを持っている人もいます。自分たちの子どものころとはあまりに世の中が変わってしまい、戸惑いを感じているママが多いのだなと実感します。

そんなママに「本当にお子様をご覧になって、発達障害だと思われますか?」と聞くと、大概の方が「周りからそういわれてしまうので。確かに人と違った子どもですし」という返事がかえってくる。

担任の先生や、検診で「発達障害の疑いがあるから専門機関を受診してください」と言われてショックを受けたという話も聞きます。子育て中のママにしてみたら、その一言は一大事。脳裏に焼きついてしまって決して離れないでしょう。

「うちの子はよその子と違うんです。児童心理を勉強したりしました」と言ったママも実際にいます。この「人とは違った子ども」というのが曲者。子どもは成長過程で必ず「個性」というものが表面化してきます。個性ですから当然ですが人とは違ったもの。その表現方法がお子さまによっては人よりも若干強めに出る場合や、周囲から理解されづらい場合、問題視されてしまうようです。

例えば突飛なことをして仕方ないと評判になった男の子のケース。子ども本人に理由を聞くと「僕ね、実験が大好きなんだよね」とニコニコ答えたりする。彼にとって周囲から突飛に見えることは「実験」。自分の中の「なぜ? どうして?」を検証していたに過ぎなかったのです。これは発達障害といえるでしょうか?


■「好奇心を育てる」という意識
ことわざにある「かわいい子には旅をさせよ」。先人たちは「好奇心を育てる」ということをよくご存じだったようです。時代は変わって現代、すっかり情報化社会となり耳年増な子どもたちが増えているのも実情です。その分知識過多になった子どもたちは「経験したつもり」になりがち。けれど机上の空論は結局は机上の空論です。経験を伴わない情報はそれを知恵に変える力までは授けてくれません。

好奇心旺盛な個性を持った場合、この経験を本能的に取ろうとします。お子さまによってはそれが危険を伴うことであっても辞さない場合も出てくるでしょう。そのタイプが「経験することがなくても判っているから大丈夫」という集団の中に入った場合「非常識である」「問題がある」という風に見られてしまっても、それは仕方のないことかもしれません。

わたしが相談を受けるママたちに伝えていることは「良識は変わらないが、常識は変化します」ということ。常識というのはときと場合により多数決で決まるような側面を持っており、その集団なり環境を作っている人々が何を常識とするかで変わる場合が出てきます。

「水が合わない」「馬が合わない」などといった日本語もあります。問題視されていたお子さんの性格が転居や進級などで環境が変わったとたんプラスの評価に変わるといった例はあまり珍しいことではありません。それまで常識とされていたことがそうではなかったとこの段階で初めてママが気づき、それまでのお子さまへの態度を深く反省し後悔するといった事例もあります。

地域性や両親が育ってきた環境、周囲の考え方などいろいろな条件が重なって、楽しいはずの子育てが大きな悩みの種になってしまっているケースも増えてきているなと感じます。


■「同じ感性のママ友作り」の重要性
では、自分の常識がおかしいのか、それとも環境が合わないだけなのか見極めるのはどうしたらいいか。その第一ステップとしては「同じ感性のママ友作り」をおすすめします。

まず周囲をよく観察しましょう。環境に問題がない場合、きっと身近に1人や2人は似た感性を持ったママがいるのではないかと思うのです。「すごくよく観察しましたがいません」という人は、ご自分の生活圏以外に範囲を広げて交友関係を作っていくことをおすすめします。

それこそが水が合わない環境に自分がいる証かもしれないのです。仕事上の転勤など、いわゆる家庭の事情で居住区が決まった場合にこのケースが起こりやすいものです。

自分の感性を押し殺して、子どもがおかしいわけでもないのにおかしなことにして親子ともに苦しんでも、いいことはありません。それよりもまず、本当の問題はなんであるかをしっかりと見つけ、そこに沿った解決方法を見出すことが次世代を育てるママたちの基礎知識であるといえるのではないでしょうか。

発達障害であるかどうか本当に心配しているひとは、市の療育相談などに行かれて専門家の判断を仰ぐことをおすすめします。ですが、専門家であっても判りにくい事例があることも事実です。親子ともに楽しく日々を過ごすためにできる最善がなにであるか。それを常に考えられる知恵を持つことこそが、次世代を育てるママに必要なスキルになりつつあるのかもしれませんね。
(文:青木 美惠子)

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