危険!ママが食べ過ぎて子供が肥満になる!?

子供の一生を左右する妊婦の肥満 肥満妊婦の子は成人後の死亡リスクが約1.4倍とも

記事まとめ

  • 2013年、BMJに肥満妊婦の子は成人後の死亡リスクが約1.4倍という論文が掲載された
  • 論文によると、肥満妊婦の子は狭心症、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高いそう
  • 肥満妊婦の子は肥満になりやすいことなども過去の研究から分かっている

危険!ママが食べ過ぎて子供が肥満になる!?

危険!ママが食べ過ぎて子供が肥満になる!?

妊婦の肥満は子供がメタボになる危険が高くなったり、若くして亡くなるリスクが高くなるので注意が必要です。妊娠中に太り過ぎないために大切なポイントをご紹介します。


■妊娠中の過食……子供の一生を左右する妊婦肥満
妊娠が分かると「2人分食べなくちゃ」とどか食いの公式許可を得たかのように食べる女性がいます。妊娠中に今までダイエットで我慢してきた分を取り返すかのごとく食べてしまい、出産後も体重が戻らない……。そんな女性も少なくありません。

確かに、妊娠中は胎児自身の体重や羊水が増えるため体重は増加します。とは言うものの、妊娠中の太りすぎは子供の健康によくありません。妊娠中の肥満は、子供の一生に影響すると言っても過言ではありません。


■太りすぎの妊婦から生まれた子供は、若年死亡リスクが上がる?
2013年8月、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に「肥満妊婦の子は成人後の死亡リスクが約1.4倍(英語)」というセンセーショナルな論文が掲載されました。

これによると、生まれた子が55歳以下で死亡する確率は、初回の妊婦健診でBMI正常(18.5〜24.5)だった妊婦の子に比べて、過体重(BMI25〜29.9)の妊婦の子が1.19倍、肥満(BMI30以上)の妊婦の子は1.4倍に上がると書かれています。

さらにこの論文によると、生まれた子は狭心症、心筋梗塞、脳卒中、その他の脳血管疾患、その他の心血管疾患、末梢動脈疾患などの心血管病で入院するリスクも高いとされています。

この論文の結果以外にも、出生時の体重が少ないとその後の心血管死亡リスクが高くなること、肥満妊婦の子は肥満になりやすいこと、母親が妊娠前に太っていると子供が思春期になった時に高血圧や脂質異常症になりやすいことなどが、過去の研究から分かっています。


■妊娠中の体重増加と危険なダイエット
妊娠中は胎児自身の体重や羊水などで体重が増えます。ふつう体型の女性(BMI18〜24)の場合、生理的体重増加は10〜12kgといわれています。ふつう体型以外の女性が妊娠した場合、やせ型体型(BMI18未満)では9〜12kg、肥満体型(BMI25以上)では5kg以内の体重増加を目標とします。

妊娠前に肥満体型だった女性や妊娠中の体重増加が多すぎる場合、糖尿病や妊娠高血圧症候群、いわゆる妊娠中毒症になりやすくなります。

逆に妊娠前にやせ型体型だった女性から生まれた子は2500g以下の低出生体重児が生まれやすくなり、このような子は将来メタボになりやすいと言われています。特に妊娠初期にダイエットをしていた場合、胎児も一緒にダイエットしている状態となり、胎児は飢餓状態にさらされます。

そのため、肥満遺伝子がオンとなり、生まれてから太ってしまい、メタボになりやすくなるのです。これが、妊娠中のダイエットが禁忌とされる理由です。

妊娠を希望する女性は、妊娠前から適正体重(BMI19〜25)を維持するよう健康管理を行うことが必要です。妊娠前からふつう体型を維持することは簡単なことではないかもしれませんが、子供の将来の健康につながると思ってがんばりましょう。


■妊娠中の食事の注意点
妊娠中は生まれてくる子供の身体の土台を作る時期です。この時期に子供の成長のために妊婦に必要な食事の注意点を挙げてみます(厚生労働省)。

・妊娠前から、健康なからだづくりを
・「主食(ごはん、パン、麺など)」を中心にエネルギーをしっかりとる
・不足しがちなビタミン・ミネラルを「副菜(野菜)」でしっかりとる
・からだづくりの基礎となる「主菜(肉、魚など)」は適量を
・牛乳・乳製品などの多用な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に
・母乳育児も、バランスのよい食生活のなかで
・たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
・妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
・お母さんと赤ちゃんの健やかな毎日は、からだと心にゆとりのある生活から生まれます

注意点が多く大変ですが、これもすべて生まれてくる子供のためと思えばがんばれますよね。


■妊婦は葉酸を……神経管閉鎖障害の予防に。サプリ利用の注意点
神経管閉鎖障害を知っていますか? 脳や脊髄の形成が上手くいかず、下肢の運動障害や膀胱、直腸機能障害を起こしてしまう二分脊椎症(にぶんせきついしょう)や無事に生まれたとしても生後数時間で死んでしまう無脳症などの重度の障害を起こす障害です。

脳や脊髄の形成は受胎後約28日。すなわち母となる本人すら妊娠に気づいていないであろう時期に形成されます。神経管閉鎖障害は死産を含む生まれてくる子の1万人に6人くらいの割合で見られるといわれています。

本当に怖い神経管閉鎖障害ですが、葉酸を摂ることである程度予防できることが分かっています。葉酸はビタミンB群の仲間で、書いて字のごとく「葉」に多く含まれています。お茶の葉、ほうれん草、ブロッコリーなどに多く含まれています。他にもレバーやうなぎの肝などに多く含まれています。

しかし、どんなに気をつけても不足しがちな栄養素であることから、アメリカでは1998年から主食であるパンには葉酸を混ぜ込んで販売することが義務付けられています。その結果、神経管閉鎖障害の発生率が下がったとの報告もあります。これを受けて日本でもいわゆるサプリメント以外にも葉酸を添加したミルクや米に混ぜて炊くサプリメント等も発売されています。

ただし、サプリメントを使って摂る場合、過剰摂取となることが考えられます。過剰摂取を続けた場合、悪性貧血に気がつかない、神経障害などの健康障害が報告されています。サプリメントを用いる場合には、用法・用量を守って使用するようにして下さい。複数のサプリメントを用いる場合は1日の摂取量は食品からの摂取も含めて12〜29歳で900μg、30〜69歳で1000μgを超えないように注意しましょう。


■妊娠中の食事と生まれた子供の嗜好の関係は?
離乳期の赤ちゃんを持つお母さんたちの声で「妊娠中に食べていたものを子供が好んで食べる」というものがあります。昔からよく言われていることではありますが、実は医学的な根拠はありません。ただし、子供の嗜好は遺伝的な原因と環境的な原因が複雑に絡み合って作られていきます。「お母さん自身が妊娠中に好んで食べていた」という思い出も加わってこのような声を生むのかもしれませんね。
(文:平井 千里(管理栄養士))

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