「子どもの見た目」ばかり話題にしてない? 根深い悩みになる可能性も…

「子どもの見た目」ばかり話題にしてない? 根深い悩みになる可能性も…

見た目に対する遠慮のない批評はたとえほめ言葉であっても注意が必要です。子どもとの関係性を含め、見た目への批評が与える影響について考えてみましょう。


■見た目を評価されることが多い子どもが抱える思いとは?
「あら、かわいい!」「お目目がパッチリね」というように、小さな子どもは、しばしば見た目を言葉にされながら育ちます。また、身内は「お父さんに似て目が細い」「団子っ鼻ね」というように、わが子の容姿に対して思ったことをずばずば口にしてしまうことがあります。

そうした言葉を、子どもはよく覚えているものです。子どもの「見た目」についての発言は、後々まで子どもの自己肯定感や価値観に影響を与えてしまうことがあるので、どのような点に気を付けるべきかを考えることが大切です。コンプレックスになるような批評はもちろん、ほめ言葉も同様です。以下で詳しく解説します。


■根深い悩みになる見た目コンプレックス……有能感や自尊心をくじく原因にも
頻繁に見た目について大人が批評するのを聞いていると、子どもは「見た目は自分(人)の価値を左右する重要な要素なのだ」と受け止め、見た目に多くの意識を向けるようになります。すると見た目をほめられない子や、家庭内の冗談であれ、けなされることが多い子は、自分に自信を失ってしまうことにもつながります。

子どもを見た目で評価することは、害にしかなりません。努力ではどうにもならないことを批評されてもなすすべがなく、無力感や劣等感ばかりが募ってしまうからです。

大人になってもその思いがしこりのように心の中に残ると、見た目のコンプレックスだけでなく、有能感や自尊心をくじく原因にもなってしまいます。


■子どもの見た目ばかりほめると、偏った価値観を与えることも
「ほめるだけなら、問題ないのでは?」と考える方も多いかもしれません。しかし、「かわいい」「将来美人になる」など、見た目ばかりをほめられて育った場合、「自分の一番の価値は容姿」と受け止めやすくなります。すると、「心のあり方や思考や行動などには、見た目ほどの価値はない」と感じやすくなります。

こうした価値観で成長すると、いずれ自分の容姿が崩れていくことがとても怖くなります。そして、自分より美しい子が現れたり、体形が変わったりしたときに、たまらないほどの焦燥感や無価値観を覚えてしまいます。特に、女の子はそもそも容姿に関心を持ちやすいため、このように感じる傾向が強くなると考えられます。

では、見た目は絶対にほめてはいけないのでしょうか? そうではありません。かわいいと感じる気持ちは「感動」です。感動は伝えたくなり、わかちあいたくなるのが自然です。自分に対する感動の気持ちを伝えてもらえば、人は誰でもうれしくなります。日常の中に、そうした小さな感動のやりとりがあることは、とても素敵なことです。

大切なのは、「見た目のことばかりを口にしすぎないこと」です。見た目のことばかりほめたりけなしたりしていると、子どもも見た目にばかり関心を向けるようになります。すると、人間の価値を見た目で判断したり、容姿の批評によって自信や自尊心が左右されたりしてしまうことがあります。そうならないよう、大人は発言に注意することが大切なのです。


■見た目ではなく「ありのままのその子」に優しい目を向けられているか
人は本来、「ありのままの自分」が認められ、「ありのままの自分」を好きになってもらいたいという願いを持っています。アイデンティティが確立していない子どもたちは、なおのことそう思っているのです。

ですから、まずは「ありのままのその子」に優しい目を向けましょう。ご飯をほおばっているとき、膝の上で甘えているとき、熱を出してうなされているとき、ケンカして大泣きしているとき、子どもはどんなときでも、精一杯生きています。

そうしたありのままの姿に、優しい目を向けていく。すると、子どもは「自分のままでいていい」と安心し、「自分のままで好きになってもらえる」という自信を覚えるようになります。

子どもの見た目について口にしたくなったときには、日頃から「360度のありのままのその子」に優しい目を向けているかどうか、自分をぐるっと振り返ってみましょう。もし、そうでないなら、見た目について批評するのは、慎重になった方がいいかもしれません。たとえ、ほめる場合でもです。

子どもは、ほめ言葉にとても敏感です。見た目をほめられてうれしくなったら、もっとそう言ってもらいたくなりますし、そう言ってもらえないときや、他の子の方がもっとほめられているときには、さびしさや不安を感じてしまいます。こうして、容姿という表面的な部分に意識が集中していくと、その子本来の「自分らしさ」が育ちにくくなってしまいます。

子どもは、大人の言葉の影響を受けて育ちます。見た目は変えられない、そして、自分の本当の姿は自分自身では見られないだけに、見た目について度々口に出すのは控えていきたいものです。

▼大美賀 直子プロフィール公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
(文:大美賀 直子(公認心理師))

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