地方公務員の退職金、平均でいくら?

地方公務員の退職金、平均でいくら?

収入が安定しており、就職先として人気もある公務員の退職金(退職手当)の平均額などを総務省「給与・定員等の調査結果等(平成31年)」のデータをもとに解説します。


■地方公務員の退職金はいくら?
公務員の8割が地方公務員です。収入が安定しており、就職先として人気もある公務員の退職金(退職手当)の平均額などを総務省「給与・定員等の調査結果等(平成31年)」のデータをもとに解説します。


■公務員の約8割は地方公務員
本題に入る前に、地方公務員の人数などの全体像をイメージしてみましょう。平成30年度の公務員数は約333万人。うち約82%にあたる約274万人が、都道府県・指定都市・市区町村(一部事務組合等を含む)の自治体に属する地方公務員です。

総務省「給与・定員等の調査結果等」によると、平成31年4月1日現在の職員数と構成比は次のとおりです。

・都道府県:約139万人(約51%)
・指定都市(※):約34万人(約13%)
・市区町村他:約101万人(約36%)

※指定都市とは人口が50万人以上の「区」を持つ政令で指定された市で、都道府県とほぼ同じレベルの権限を持ちます。

また、部門別の職員数と構成比は以下のとおりです。

・一般行政:約92.3万人(約33.7%)
・教育部門:約101.5万人(約37.0%)
・警察部門:約29.0万人(約10.6%)
・消防部門:約16.2万人(約5.9%)
・公営企業等会計部門:約35.1万人(約12.8%)

職種には、事務職(行政事務、学校事務、警察事務、消防事務)や資格・免許職(福祉、保育士、保健師、栄養士)、警察官、消防官、技能職(土木や農林水産など)などがあります。


■地方公務員の給与水準をはかる「ラスパイレス指数」
ラスパイレス指数とは、全地方公共団体の一般行政職の給料月額を同一の基準で比較するため、国の職員数(構成)を用いて、学歴や経験年数の差による影響を補正し、国の行政職俸給表(一)適用職員の俸給月額を100として計算した指数(総務省「給与・定員等の調査結果等(平成26年)」)のことです。

ざっくり言えば、ラスパイレス指数が100を超えていれば国家公務員より給与が高く、100を切っていれば国家公務員より低いということです。


■ラスパイレス指数は指定都市>都道府県、特別区>市>町村
平成31年4月1日現在の地方公共団体の一般行政職のラスパイレス指数は、平均が99.1で都道府県は99.8、指定都市が99.9、特別区99.8、市が98.9、町村が96.3でした。

都道府県と指定都市、特別区は国家公務員とほぼ同水準の給与となっています。因みに平成30年4月1日のラスパイレス指数は平均が99.2でした。詳細は、指定都市(103.0)>都道府県、特別区(100.1)>市(99.1)>町村(96.4)です。

●地方公共団体のラスパイレス指数(平均/最高/最低)
・都道府県:99.8/静岡県:102.3/鳥取県:95.3
・指定都市:99.9/静岡市:102.6/大阪市:96.5
・市区町村:98.5/京都府大山崎町:103.9/大分県姫島村:81.1

地方公共団体は、普通地方公共団体と特別地方公共団体に大別されます。それぞれ次のようなものが属し、給与体系や諸手当制度なども異なります。

・普通地方公共団体:都道府県、指定都市、市町村
・特別地方公共団体:特別区、地方公共団体の組合、財産区、地方開発事業団


■退職金の平均支給額は都道府県より市区町村のほうが高い
都道府県・指定都市・市区町村の公務員のうち、平成30年4月1日〜平成31年3月31日に退職した人の退職手当の平均支給額を、総務省「給与・定員等の調査結果等(平成31年)」をもとに見てみましょう。

以下に職種別の平均支給額を挙げました。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

●都道府県(47団体)
・全職種:約1127万円(秋田県:約1973万円)
・一般職員:約1262万円(三重県:約1890万円)
・一般職員のうち一般行政職:約1463万円(三重県:約2087万円)
・教育公務員:約1107万円(大分県:約2138万円)
・警察職:約1717万円(香川県:約2094万円)

●指定都市(20団体)
・全職種:約1327万円(福岡市:約1910万円)
・一般職員:約1326万円(広島市:約1851万円)
・一般職員のうち一般行政職:約1728万円(熊本市:約2036万円)
・教育公務員:約1575万円(熊本市:約2084万円)

●市区町村
・全職種(1589団体):約1390万円(東京都瑞穂町:約2686万円)
・一般職員(1577団体):約1402万円(東京都瑞穂町:約2686万円)
・一般職員のうち一般行政職(1436団体):約1602万円(東京都瑞穂町:約2686万円)
・教育公務員(136団体):約1015万円(東京都江戸川区:2399万円)

ラスパイレス指数では「指定都市>都道府県>市区町村」でしたが、退職手当の平均支給額は「市区町村>指定都市>都道府県」になっています。市区町村の一般行政職は、トップこそ約2686万円ですが、2番〜9番は2200万円台、10番〜35番は2100万円台、36番から84番までは2000万円台です。


■60歳定年退職者の退職金は平均2100万円前後
では、60歳で定年退職した人だと、退職手当の平均支給額はどれくらいでしょうか。こちらも職種別に見てみましょう。( )内は最高額を支給した地方公共団体名と金額です。

●都道府県(47団体)
・全職種:約2214万円(静岡県:約2298万円)
・一般職員:約2160万円(静岡県:約2314万円)
・一般職員のうち一般行政職:約2181万円(静岡県:約2353万円)
・教育公務員:約2241万円(三重県:約2324万円)
・警察職:約2192万円(東京都:約2276万円)

●指定都市(20団体)
・全職種:約2161万円(福岡市:約2240万円)
・一般職員:約2105万円(北九州市:約2211万円)
・一般職員のうち一般行政職:約2214万円(静岡市:約2410万円)
・教育公務員:約2235万円(名古屋市:約2371万円)

●市区町村・全職種(1270団体):約2022万円(石川県志賀町:約3366万円)
・一般職員(1255団体):約2021万円(石川県志賀町:約3366万円)
・一般職員のうち一般行政職(1040団体):約2158万円(京都府日向市:約2757万円)
・教育公務員(44団体):約2114万円(東京都江戸川区:約2399万円)

ご覧のように、60歳定年退職者(全職種)が受け取った退職手当の平均支給額は、都道府県は約2214万円、指定都市は約2161万円、市区町村は約2022万円です。

一般行政職で見てみると、都道府県が約2181万円、指定都市は約2214万円、市区町村は約2158万円で、指定都市>都道府県>市区町村の順です。


■定年退職金は国家公務員より都道府県と指定都市が高い
「国家公務員の退職金、平均でいくら?」によると、常勤職員のうち60歳以上の定年退職手当は平均2068.0万円、行政職俸給表(一)の定年退職手当は平均2152.3万円です。

一方、地方公務員の一般行政職の定年退職者の平均退職手当は、都道府県が約2181万円、指定都市は約2214万円、市区町村は約2158万円。つまり国家公務員に対して、都道府県は28万円超え、指定都市は62万円超え、市区町村はほぼ同額です。順位は、指定都市>都道府県>国家公務員>市区町村の順になりました。指定都市が都道府県や国家公務員より高いのはなぜなのでしょうか。

※地方公務員の退職手当の詳細は総務省の「平成31年 地方公務員給与実態調査結果の状況」を参照してください。
(文:大沼 恵美子(マネーガイド))

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