コロナが影響? 家計が保有する「現預金」が過去最高

コロナが影響? 家計が保有する「現預金」が過去最高

日本銀行が四半期ごとに公表する「資金循環統計」によれば、家計が保有する現預金は伸び率、金額とも過去最高を更新。家計が保有する金融資産の詳細を見ていくことにしましょう。


■個人の金融資産残高は四半期ぶりに増加
日本銀行が2020年9月18日に発表した資金循環統計によると、2020年6月末時点の家計の金融資産は1年前の2019年6月末と比較して1.8%増えました。金額に直すと1883兆円となり、現行ベースでさかのぼることが可能な2005年3月末以降で第2位の保有額となりました。

過去最高額は2019年12月末の1893兆円です。速報値ベースでは初の1900兆円超えとなったのですが、確報値では1900兆円に届きませんでした。今回公表された2020年6月末の1883兆円は速報値の数字となるので、確報値に修正されると大概金額が減少することから、過去2位の金額ではなく第3位になるかもしれません。ちなみに過去2位は2018年9月末の1875兆円でした。

家計の金融資産額が増えた要因は、新型コロナウイルスの感染拡大による外出の自粛などにより消費が手控えられた一方、1人一律10万円の特別定額給付が支払われたこと。保有割合こそ1年前より減少している株式等や投資信託ですが、2〜3月にかけて急落した世界の株価が回復基調にあったことなどがあげられます。


■現金・預金は1年前と比較して4%増加
それでは家計が保有する代表的な資産クラスの状況を見ていくことにしましょう。

現金・預金は、2018年12月末に統計を取り始めてから初めて1000兆円の大台に乗せましたが、今回で3四半期連続して1000兆円を超えています。2020年6月末は1031兆円と1年前から4%増えています。4%の伸び率は過去最大で、現金が4.7%増の97.2兆円、預金は4%増の933.3兆円でした。

定期預金金利などは金利が引き下げられたにもかかわらず、高齢者を中心に自宅で現金を保有する「タンス預金」が増えていると考えられ、現金の伸び率は預金の伸び率を上回っています。

現金・預金を大幅に増やしているのは家計だけではなく、金融機関を除く民間企業も大幅に増やしています。その金額は308兆円となり、伸び率は1年前と比較して16.3%もの高い伸びで、残高、伸び率ともに過去最高を更新しています。新型コロナの感染拡大により、家計も企業も手元資金を厚くして備えているのがわかります。

株価は2020年3月末と比較すると回復基調にありますが、株式等は1年前と比較して4.3%減少の173兆円になっています。2020年3月末は1年前と比較して15.6%の大幅減でしたから、減少幅はかなり小さくなりました。6月末より9月末の方が世界的に株価は回復基調にあることから、次回の資金循環統計では株式等は増加に転じているかもしれません。

投資信託も株式等と同じく残高を1年前より減少させています。減少率は2.7%で。その残高は68兆円でした。やはり3月末が12%の大幅な減少だったことから、株式等と同様に減少幅はかなり小さくなっています。

保険・年金・定型保証は、2020年3月末に久しぶりにその残高が1年前と比較して減少となったのですが、今回は0.1%の増加に転じています。その残高は528兆円と家計の金融資産全体の28.1%を占めています。このうち、保険は1年前と比較して0.2%増えて375兆円となっています。

2020年6月末の家計の金融資産残高は、3月末と比較すると55兆円も保有額を増やしました(速報値ベース)。大幅に増加した背景は、特別定額給付金と世界的な株価の回復と考えられます。

しかしながら、新型コロナの影響が家計、中でも収入に影響を与えるのはこれからが本番と考えられます。残業は戻りつつありますが、冬のボーナスは夏より厳しく、解雇や雇い止めは年末に向けてさらに厳しくなる可能性があるからです。

家計の金融資産額が1900兆円に乗るのは、新型コロナのワクチンなどが開発された後までかかってしまうかもしれません。家計には厳しい局面が続くでしょう。
(文:深野 康彦(マネーガイド))

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