布×布、不織布×ウレタン…近ごろ街で見かける「二重マスク」効果のほどは?【医師が解説】

布×布、不織布×ウレタン…近ごろ街で見かける「二重マスク」効果のほどは?【医師が解説】

布マスク、ウレタンマスクなど種類別の二重マスクの効果、逆効果になることもある注意点を解説します。


■二重マスクの効果……不織布マスクなら一枚で十分
最近見かけるマスクの重ねづけ。テレビでも二重マスクで対応する政治家の姿などが見られますので、それらの影響もあるのかもしれません。少しでも感染対策をしたい気持ちの表れだと思いますが、二重マスクには科学的に効果があるのでしょうか?

結論からですが、不織布マスクであれば二重マスクにする必要はなく、マスクのフィルター効果としては一枚で十分で、不織布マスクで顔とマスクとの隙間があるときに二重マスクも1つの方法になるということです。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が、「不織布マスクに布製マスクを重ねると効果がある」という実験結果を報告しましたが、これはあくまでも「マスクと顔との隙間を減らすための方法」の1つです。フィルターとしてのマスクの枚数を増やすことが推奨されているわけではありません。

感染予防効果の低いマスクをファッション目的で使用する場合、不織布マスクの上に布マスクやウレタンマスクをすることもあるかもしれませんが、いずれの場合も大切なのは正しくつけることです。


■マスクの種類別にみる重ねづけ効果・注意点とリスク
手元に不織布マスクがあればマスクを重ねづけするメリットはあまりありません。では不織布マスクがない場合や、ファッション目的のマスクをつけたい場合はどうでしょうか? 個別に見ていきましょう。

▼布マスクを二重にする場合布マスクを二重にする場合、一枚よりは効果があるかもしれません。ただし布にはそれなりの厚み、重みがありますので、つけ心地を考えると日常的な使用には適さないように思います。重ねづけをすることでマスクが正しく顔にフィットしなければ、すき間ができてしまい危険です。

▼布マスクにウレタンマスクをつける場合布マスクにウレタンマスクをつける場合は、フィルターの密度はほぼ変わらないので、感染予防効果を高めることは期待できません。

▼ウレタンマスクを二重にする場合ウレタンマスクは元々の通気性が良いため、二重程度では感染予防効果を大きくあげることは期待できません。

▼不織布マスクを二重にする場合ここまで読まれると、一枚でも効果が高い不織布マスクを二重にしようと考える方もいるでしょう。

不織布マスクを二重にすれば、確かにフィルター効果は密になりますが、マスクを通して空気の流れが悪くなると息苦しく感じるため、マスクの隙間から息を吸ってしまいます。隙間からフィルターを通さない空気を吸い込んでしまってはかえって危険です。フィルターを重ねるより、一枚を正しくフィットさせて使用する方が効果的です。

▼不織布マスクの上に布マスクやウレタンマスクを二重にする場合布マスク一枚、ウレタンマスク一枚よりも、不織布マスクを下につければ、フィルターの密度は上げることができます。しかしここでも大切なのはしっかりと顔にフィットさせられるかです。重ねづけをすることで、下につけている不織布マスクと顔の間にすき間ができてしまうようでは逆効果です。

布マスク、ウレタンマスクについても普段からのケアが重要で、洗っておかないと意味がなくなりますので、基本的にはマスクの適性を考え、正しく使用することです。


■不織布マスクより高い効果を求めるなら、重ねづけではなくN95マスク
繰り返しになりますが、感染予防が目的であれば、不織布マスク一枚の正しい着用で十分です。

外からは二重であることはわかりませんが、ファッション性の高さを求めて布マスク、ウレタンマスクの中にインナーマスクをしている方もいるかもしれません。

インナーマスクは経済的で、耳にかける紐も一本で済むので、耳への負担も減るといったメリットもあるかと思います。フィルター効果が高い製品で、息苦しくなく、正しく着用できるのであればよいでしょう。おしゃれな不織布マスクがあると一枚で済みますので、今後はそういった製品を探すのもよいかもしれません。

日常的な着用としてはおすすめできませんが、不織布マスク以上の予防効果を求めるのであれば、重ねづけするのではなく、N95マスクを一枚する方がよいでしょう。N95をしっかりと装着できていれば、感染予防としては十分です(それよりも上を目指してN95の上にさらにマスクを重ねづけしてもあまり意味がありません)。

実際、空気感染するといわれている結核、麻疹、水疱瘡も、N95のみでしっかりと感染予防できています。

マスクを正しく着用し、感染拡大防止に役立ててください。

▼清益 功浩プロフィール小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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