便でわかる! 日本人に多い「S状結腸がん」の初期症状に要注意【医師が解説】

便でわかる! 日本人に多い「S状結腸がん」の初期症状に要注意【医師が解説】

日本でも増加している大腸がん。直腸がんに次いで日本人に多いS状結腸がんでは、便秘、下痢、便が細いなどの初期症状に注意が必要。原因、症状、検査法について解説します。


■S状結腸がんの初期症状でもある便通異常
毎日のお通じは快調ですか? 個人差はありますが、通常の食生活を送っていれば、1〜2日に1回、黄褐色でバナナ状の便が排泄され、排泄後はすっきりするのが健康的な体の仕組みです。

その一方、便通異常も多くの方が経験しているでしょう。一番多いのが便秘。次にストレス性や食あたりでの下痢。それから痔のため便に少し血液が付いてしまうという人もいます。

近年増えつつある大腸がんも、便通異常は特徴的な症状の一つ。特に便通異常が症状として出やすいのが「S状結腸がん(S字結腸がん)」です。S状結腸というのは聞き慣れない言葉かもしれませんが、大腸の中では直腸と並んでがんができやすい部位なのです。S状結腸がんについて解説しましょう。


■S状結腸がんとは……直腸がんに次いで日本人に多い大腸がん
S状結腸は、上行・横行・下行結腸に続く部位で、その名の通りアルファベットのS字のように屈曲・蛇行している臓器です。私たちが食べたものは、胃・十二指腸・空腸・回腸を通って、どろどろの状態(便汁(べんじゅう)とも呼ばれます)で上行結腸に流れ込みます。この後、水分が腸管で吸収されて少しずつ固形化していきます。

下行結腸に入ると便としての形ができはじめ、S状結腸ではかなり便らしくなり、その後ろの直腸に溜まってくると便意を催すようになります。

大腸にがんができると腸管の内腔が狭くなりますが、上行結腸や横行結腸などでは便汁の状態のため、なかなか症状が出づらいことが多いです。一方、S状結腸の位置までくると便はかなり固形化しているため症状が出やすくなります。この部分にできるのがS状結腸がん。他の大腸がんと同様、やや男性に多く、50〜70歳代に多く見られます。

早期発見・早期治療で治癒率が格段にアップするのも特徴。その反面、直腸とともに肛門に近い部位であり、出血の症状が痔に類似しているため「痔の出血だろう」という自己判断で見過ごされやすいことが多いのが特徴です。


■S状結腸がんの代表的な症状・初期症状…… 血便・細い便など
S状結腸がんの注意すべき症状は以下の通り。

■繰り返す「下痢」と「便秘」
もともと便秘気味という場合は別として、下痢と便秘を繰り返すようなケース。

■「血便」
便の表面に血液が付着していたり、便の中に血の塊が混じっていたりするようなケース

■細い便しか出なくなる「便柱狭小」
細い便しか出ていないようなケース。がんによる腸の内腔の狭小化に伴って見られる。

もちろん、これらの症状が出たからといって心配しすぎることはありません。下痢や便秘のほとんどは心配ないものですし、血便は痔や憩室炎といった良性疾患の可能性もあります。便柱狭小も毎回見られるのでなければ食事や体調の影響によるケースがほとんどです。

ただ、少しでも気になったときには、まず、お近くの医療機関を受診し、便の潜血反応のチェックを受けることをお勧めします。いわゆる検便検査で便を取るだけの簡単な検査なので、あまり怖がらずに、まずは医師にご相談ください。

▼狭間 研至プロフィール大阪大学医学部卒。日本外科学会 認定登録医。大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院などで外科・呼吸器外科診療に従事した後、現在は地域医療の現場で医師として診療を行う。ファルメディコ株式会社 代表取締役社長。医療法人嘉健会思温病院理事長。外科医、地域医療、薬局運営の豊富な経験から、医療と患者さんの橋渡しとなる分かりやすい医学情報発信を行っている。
(文:狭間 研至(医師))

関連記事(外部サイト)