「宿便どっさり」なんてありえない嘘? しつこい便秘を改善する正しい方法【医師が解説】

「宿便どっさり」なんてありえない嘘? しつこい便秘を改善する正しい方法【医師が解説】

そもそも便秘とはどういう状態なのか、宿便を出すは正しくはどういうことなのか、分かりやすく解説します。


■便秘の定義とは? 「何日から便秘」という目安はなし
「便秘がひどくてお腹が張る」「ぽっこりお腹を何とかしたい!」「便秘が続くとお肌が荒れちゃう」「宿便を出せればきれいになれる?」などなど、便秘にまつわるお悩みは尽きないもの……。

便秘の定義ですが、実は、2〜3日に1回しかお通じがなくても、本人が苦痛でなければ「便秘」ではないのです。でも、毎日お通じがあっても、どうも便が残っている感じやお腹が張っている感じがしてすっきりしなかったら、それは便秘と考えます。

いわば、本当に大雑把にいってしまえば、「すっきりしない感じ」=「便秘」なのですね。

便秘でお腹が張るのは、便が長い間腸にとどまると腸内の悪玉菌が増殖してガスが発生するから、また、肌荒れや頭痛は、医学的にはよくわかっていませんが、一説に、便秘に伴って自律神経の働きが乱れて起こるのではないかといわれています。例えば肌荒れは、自律神経の乱れからくる、皮膚の血行不良が一因ともいわれています。


■便秘が起こる原因は? 便秘の種類は「器質性便秘」「機能性便秘」の2つ
便秘は主にがん、腸閉塞などの、はっきり悪いものがあることが明らかで、それによって食べ物の通り道が障害される「器質性便秘」と、それ以外の、はっきりした原因がないのに起こる「機能性便秘」に分かれます。

前者の場合は、もちろんその病気を治療しないことには治りません。でも、大抵は後者の「機能性便秘」なのです。

機能性便秘をとても大雑把にいうと「弛緩性便秘」と「痙攣性便秘」に分類されます。

「弛緩性便秘」はその名の通り、腸の緊張が緩んでいて、蠕動運動が弱く、腸の中で便がなかなか送られないことが原因。高齢者、体力が低下した方、内臓下垂の方に多く見られます。そしてこのタイプの方は大体「直腸性便秘」といって、便意を我慢していることによって直腸の神経が鈍くなっている状態でもあることが多いのです。

「痙攣性便秘」は逆に腸の緊張が強すぎて起こります。過敏性腸症候群という病気の一種で、ストレス→自律神経に影響→腸が痙攣→腸がくびれて便が通過できない、ということから便秘が起こります。お腹が痛くなったり、ウサギのようなころころした便が出たり、便秘と下痢を繰り返したりするのが特徴です。

ちなみにここまでのお話はかなり慢性的な便秘をイメージしていますが、その他、ストレス(腸の動きは自律神経に支配されているため)、ダイエット(便の材料不足)、水分摂取量が少ない(便が硬くなる)、旅行、食事内容などでも便秘は起こります。


■「宿便」は嘘! 宿便がありえないといえる理由
よく「宿便を出す」という話を聞きますよね。「宿便」は一般的な辞書では「便秘のため、長い間腸の中にたまっていた大便」(引用:大辞林)と定義されていますが、おそらく医学用語ではないと思います。そして、ただ単に「便秘のため腸にたまっている便」という意味では「宿便」は存在するといえるかもしれません。

しかし、現在一般的にいわれる「宿便」という言葉は、多分「水道管の壁にこびりついたヘドロのようなもの」というイメージで使われているのではないかと思います。まれに「腸にはひだがあるのでその中に便が残ってしまう」といった説明を見かけますが、これは医学的には嘘といわざるを得ません。

というのも、腸はいつもさざなみのようにざわざわ動いているからです。ですから同じところがずっと谷ということはなく、谷になったり山になったりします。しかも、腸の壁の細胞は数日で生まれ変わって、古いものははがれて便として排出されます。ちなみに日本人の便は7〜8割が水分、残りの1〜2割くらいが腸内細菌の死骸、1割強が食べ物の残りかす、あとは脂肪やその他のものという構成なのです。

というわけで、腸の中のヘドロという意味での宿便はありえないことで、便はたまりようがないのです。それでは正しい便秘の解消法として、生活習慣と食習慣のポイントを考えてみましょう。


■便秘を解消する生活習慣のポイント
便秘解消法の基本としてよくいわれることですが、まずは排便習慣をつけること。

朝、起き抜けに冷たい水を飲むと胃・直腸反射という反射が起こって、便が出やすくなります。まあ、簡単にいうと、「起きて!」と腸を刺激してあげようということです。水ではなく炭酸飲料も炭酸ガスが胃を刺激するので効果的。同じ意味で朝食をとる習慣をつけることも大事です。

また、トイレに行きたくなったら我慢しないのは必須。ただしだらだらいきむと痔の原因になったりするので5分くらいを目安にしましょう。

筋力が少ないと便秘になるので、適度な運動も大事。特に座り仕事の方、積極的に歩くようにしましょう。また、お腹をマッサージするのも腸を刺激するのでオススメです。女性はホルモンや筋力の関係で便秘になりやすいので、特に気をつけたいものです。


■便秘を解消する食べ物・食生活のポイント
食物繊維をとったほうがいいのはもう聞き飽きているかもしれませんが、やっぱり重要です。

その他、便秘に効果のある食べ物と栄養素をあげてみますね。

・食物繊維(かさを増やし、腸の運動を高める)

・果物(果糖、クエン酸、リンゴ酸、ペクチンなどの成分が効果的、とくにプルーン)

・ビタミンE(はっきりわかっていないが血流改善効果、自律神経を整える効果がある)

・ビタミンB1 、パントテン酸(腸の運動を改善)

・植物油(便のすべりがよくなる)

・アルコール、炭酸飲料(腸を刺激)

・オリゴ糖、ラクツロース(大腸でビフィズス菌などの善玉菌のえさになって腸の運動を改善)

・ヨーグルト(善玉菌を増やし腸の動きを改善)

ちなみに今回の改善法はおもに弛緩性便秘の方に対するものです。痙攣性便秘の場合は、ちょっとまた別の話になります。

ちょっとしたストレスや生活習慣ですぐ悪化するのが便秘。できるだけ規則正しい生活習慣を心がけて、便秘にさよならできるといいですね。

▼山田 恵子プロフィール東京大学医学部卒業。整形外科専門医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、認定産業医。東京大学医学部医療情報経済学客員研究員、ハーバード大学研究所客員研究員等を経て、現在、東京大学医学部附属病院整形外科。勤務医として診療にあたりながら、女性の健康をサポートする情報を幅広く発信している。
(文:山田 恵子(医師))

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