婦人科系だけじゃない! 実は女性がかかりやすい、ハイリスクな病気がある【産婦人科医が解説】

婦人科系だけじゃない! 実は女性がかかりやすい、ハイリスクな病気がある【産婦人科医が解説】

健康を維持するためには、病気のリスクを知り、自分の体を守ることが大切です。女性だからこそ気をつけたい意外な病気と、原因、予防法を解説します。


■肝硬変やアルコール依存症……アルコールによる病気は女性の方がハイリスク?
かつて日本の女性はあまりお酒を飲まなかったようですが、現代は日常的にお酒をたしなむ女性が増えています。仕事上の付き合いはもちろん、家庭でも飲酒が習慣になっている人も少なくないようですが、気をつけたいのは、アルコールは女性の体にさまざまな病気を引き起こしてしまう可能性があることです。

たとえば、急性アルコール中毒は女性のほうがハイリスクであることがわかっています。そもそも女性のアルコール代謝能力は、男性の4分の3程度。体内の水分量も男性より少なく、同じ体重、同じ飲酒量であっても、女性のほうが血中アルコール濃度は高くなります。このため、女性の方が少ない飲酒量でも酩酊しやすいのです。

また、肝硬変やアルコール依存症についても、女性の方がより早い段階で発症することがわかっています。女性の肝硬変患者の平均年齢は、男性より10歳以上も若く、アルコール依存症も、女性は短期間のうちに陥ってしまうケースが少なくありません。

さらに、女性のがんの罹患率第1位である乳がんは、飲酒量が増えるにしたがってリスクが直線的に上昇します。女性は体質的にアルコールに弱い傾向があり、男性と同じように飲んでいると、大きなリスクにつながってしまうのです。


■女性患者が圧倒的に多い膠原病
関節リウマチをはじめとする膠原病も、女性に多いことで知られています。膠原病とは、免疫系の過剰反応により炎症が引き起こされる、さまざまな疾患の総称です。免疫系は、本来であれば異物を認識して排除する役割を担っていますが、このはたらきが過剰になると、正常な組織にまで攻撃を加えてしまい炎症を引き起こします。

たとえば、炎症が関節に起きる関節リウマチでは、女性患者は男性の4倍。全身性エリテマトーデスは9倍、シェーグレン症候群に至っては14倍と、膠原病のほとんどは圧倒的に女性の方が多いのです。原因ははっきりしていませんが、月経のある年代で発症するケースが多いことから、女性ホルモンの影響が指摘されています。

女性ホルモンは、免疫反応を促すサイトカインなどの物質を活性化させやすいと考えられており、このことで免疫の過剰反応が起きるといわれています。

さらに、妊娠や出産も免疫機能に大きな影響を与えます。妊娠すると、女性の体は免疫機能が抑えられた状態になります。これは、男性の精子や胎児を異物とみなして排除してしまうことを防ぐため。出産を機に、この抑制状態は解除されますが、その反動で免疫のはたらきが一気に高まることで、免疫系の疾患が引き起こされるのではないかと考えられています。


■若い女性は膀胱炎・高齢女性は骨粗鬆症にも注意
高齢の女性に多い骨粗鬆症にも、女性ホルモンが関係しています。骨は新陳代謝を繰り返すことによって丈夫に保たれていますが、その営みを支えているのが、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンです。閉経してエストロゲンの分泌が大幅に減少すると、骨の新陳代謝のバランスが崩れて骨がもろくなり、骨粗鬆症になりやすくなるのです。

ただし骨が作られていくのは10代のうち。骨密度がピークを迎える18〜20歳までに十分な栄養が取れていなかったり、月経不順でエストロゲン不足の状態になっていたりすると、最大量の骨密度が低くなってしまい、将来の骨粗鬆症リスクを高めてしまうのです。10代のうちに無理なダイエットをしたり、3カ月以上の無月経になったりした場合は、骨粗鬆症に注意が必要です。

膀胱炎も女性に多いことで知られていますが、これは男性に比べて尿道が短いことや、膣や肛門とも近いために、尿道に雑菌が入りやすいことなどが関係しています。とくに20〜40代の女性は、性行為や月経、妊娠などでリスクが高くなりますので注意が必要です。

女性と男性とでは体のつくりが異なるのはもちろん、女性はホルモン分泌がダイナミックに変動するなど、男性にはない経験をします。こういったことが、女性の病気のリスクを押し上げています。逆にいえば、病気のリスクを知ることは、女性が自分の体を病気から守るために大切なことです。

すべての病気が予防できるわけではありませんが、たとえば飲酒の習慣を見直すなど、ふだんからできることは実践して、リスクを少しでも下げる生活を心がけましょう。

▼清水 なほみプロフィール女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性に美と健康を!」をコンセプトに現場診療にあたる。ネット・雑誌・書籍等の媒体を通し幅広く健康啓発を行っている。
(文:清水 なほみ(産婦人科医))

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