閉経したら何が変わる? 心と体にどんな不調が?「閉経後」に大切な心のケア【公認心理師が解説】

閉経したら何が変わる? 心と体にどんな不調が?「閉経後」に大切な心のケア【公認心理師が解説】

平均して50歳前後に迎えるとされる閉経。自分を労りながら、これからの人生を楽しむための心の持ち方について解説します。


■更年期の後半戦・閉経後の女性が抱える悩みとは
おおよそ45〜55歳頃に迎えるとされる更年期。月経の消失と共に、心身にはさまざまな不調が生じやすくなります。閉経の平均年齢は50歳頃といわれており、閉経を境に更年期は「後半戦」に入ります。

「閉経」と聞くと「大変そう……」と感じる人が多いかもしれませんが、閉経後の女性のカウンセリングを行うと、ポジティブな声もよく聞かれます。「月経から解放されて、本当に楽になれた」「煩わしい月経がなくなり、これからは安心してどこにでも行けそうだ」などという声が多いと感じます。

その反面、身体面ではさまざまなトラブルに悩まされているという声も聞かれます。「皮膚や粘膜の乾燥がひどくなった」「しわやしみが日ごとに増えているように感じる」「手荒れが治りにくい」「全身が乾燥して保湿剤が欠かせない」「ドライアイで目薬が手放せない」「性交痛を感じやすくなった」「太りやすくなった」「運動をしてもやせにくい」といった声も増えていきます。

上記のような悩みは、閉経後に女性ホルモンの分泌がなくなるために起こります。そのため、美肌づくりやダイエットに励んでも劇的な効果が現われにくくなり、消耗感を感じてしまうこともあります。そして、「どうせもう若くないのだから」というあきらめの気持ちが生じたり、鏡に映る自分の姿を見るたびに自信を失うなどして、後ろ向きな思考になってしまうこともあります。


■閉経後に起こりがちな心のトラブル・心の病気
上記のみならず、女性ホルモンの低下によって関節の痛みや骨粗しょう症、乳がんや子宮体がん、卵巣がん、生活習慣病も生じやすくなります。こうして体の不調や病気の治療にエネルギーを奪わることで、心も不安定になりやすくなります。すると、うつ病を始めとする心の病にもつながることがあります。

また、閉経直後の50代前半ごろには、家庭では子どもの受験や就職、自立の問題にも対応しなければなりません。パートナーも加齢によって無理が利かなくなり、仕事においては定年を迎えることも。

こうした中で、学費や家のローンの負担、老後の資金づくり、老親への資金援助など、経済面での不安が重なって心労が多くなることもあります。それまで専業主婦だった妻が仕事をはじめ、慣れない労働で疲弊してしまうこともあります。

このように、閉経後にあたる50代前半の時期は、心身共に負担がかかりやすく、メンタルヘルスには注意したい時期なのです。


■閉経後に大切なメンタル管理のコツ
だからこそ、閉経後は自分を労ること、無理をしないことを心がけていきましょう。家事も仕事も完璧主義にならないこと。疲れたら休む、夜は早く寝る、という心がけがとても大切です。休養が必要な年齢であるため、無理して活動を増やさないこと。本当にやりたいことを厳選して、時間をかけながらじっくり取り組んでみるとよいと思います。

閉経後の今だからこそ、成熟した女性としての大らかな美しさ、周囲に対する理解力、思いやりの心、物事への深い洞察力などを発揮することができます。ぜひ、この年代ならではの豊かな感性を楽しみ、味わっていきましょう。その意識が自分を肯定し、自分らしく生きることに繋がり、精神の安定とストレスに振り回されない心をもたらします。


■閉経は新しい人生の始まり! 自分を大切にし、人生を楽しむ気持ちを
閉経によって月経と別れを告げることで、女性は名実ともに「生まれ変わり」ます。閉経は女性らしさを喪失することではなく、月経に振り回されない自分らしい人生を謳歌する年代の到来とも言えます。自分の体を大切にし、心の声に耳を傾け、体の声と対話をしながら、先の人生も焦らずに進んでいきましょう。

自分を労る人は他人を労ることができ、自他の心の奥にある声をやさしく受け止めることができます。これは、若い頃にはなかなか得られなかった、成熟した心の感覚ではないでしょうか。ぜひ、生まれ変わった新しい自分を楽しんでいきましょう。

▼大美賀 直子プロフィール公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
(文:大美賀 直子(公認心理師))

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