「いや、キミは強いから」と“週イチ出社”夫が日々愚痴を垂れ流す。出社は生きる「支え」だったのか?

「いや、キミは強いから」と“週イチ出社”夫が日々愚痴を垂れ流す。出社は生きる「支え」だったのか?

コロナ禍で「夫の愚痴が増えた」と言う女性は少なくない。気持ちはわかるけれど、子どもの世話をしつつ、仕事も家事もして、なおかつ夫の愚痴に付き合うのかと思うとやりきれない。

コロナ禍で誰もが閉塞的な気分になりがちだったこの2年弱。この間、「夫の愚痴が増えた」と言う女性は少なくない。


■気持ちはわかるけど
在宅で仕事をする期間が多くなり、夫が日々、イライラを募らせていたというのは、サエコさん(40歳)。3歳年上の夫との間に9歳と5歳の子がいる。

「私も一時期、在宅勤務だったので夫のいらつきや不安が空気感として伝わってきて、家庭内の雰囲気が悪くなりました。あるとき夫に『みんな同じように不自由になっているのに、あなたがイライラしていたら子どもたちだって不安定になる』と話したんです。

すると夫がいきなり、『今、会社の状況はこうで、うちの部署の○○というヤツが仕事を途中で放り出して辞めてしまって……』と愚痴を言い出した。愚痴って気持ちが落ち着くならと聞いたんです。『あなたは悪くないよ、大丈夫だよ』と夫がかけてほしいと思っている言葉をつぶやきながら。

そうしたら夫はかなり気持ちが落ち着いたみたい。そこまではよかったんですけどね」

夫はそれからほぼ毎日、愚痴るようになった。当時は子どもたちも学校と保育園が休みで家にいる状態。子どもの世話をしつつ、仕事も家事もして、なおかつ夫の愚痴を垂れ流されるのはきつかったと彼女は言う。

「家にいるのだから、夫も気分転換に昼食くらい作ってくれればいいのに、そういうことはしない。散歩だってひとりで行っちゃうし、たまには子どもたちを連れていってよと言っても『オレは散歩しながら、仕事のことを考えているから無理』と。

秋になって私は出社するようになったんですが、夫は週1程度の出社。上の子が学校から帰ってきても、夫はろくに話しかけもしなかったみたい。子どもも父親はそんなものだとわかっているんでしょうね、私が用意しておくおやつをもって、さっさと自室に行っていたようです」

家族の時間が増えたから、仲がよくなった家庭もあれば、逆に不仲が浮き彫りになった家庭もある。サエコさんの場合は、「夫の心の弱さ」が可視化されたようだ。


■いずれは離婚をと考え始めるほど
サエコさんの夫が勤める会社は、基本的に在宅勤務を打ち出すようになった。オフィスももっと狭いところに移転し、今後はさらに出社を減らしていくという。

「夫は転職を考えているようですが、在宅で仕事ができるのなら、生き方そのものを見直したほうがいいのではないかと私は思うんですよね。せっかく通勤時間も惰性の飲み会も減るのだから、その時間で家事をやるとか、何か趣味をもつとか、いろいろできるでしょう。

この機会に子どもとのふれあい方も考えてほしい。だけど夫は出社できないことにストレスを感じているようです。どうして出社にそれほどこだわるのかわからない」

会社に行くことが夫の生きる「支え」だったのだろうか。サエコさんは夫にそのあたりを聞いてみたのだが、明確な答えは返ってこなかった。

「会社に行かないと仕事をした気にならないのかもしれませんね。夫は私が聞いてくれると思って、今も愚痴を垂れ流します。さすがに私ももう疲れているので、『現状で、どちらが大変か考えてみてくれない?』と先日、キレてしまったんです。

そうしたら夫は『オレの話を聞いてくれるのはサエコしかいないのに……』って。じゃあ、そうやってあなたの愚痴のはけ口になっている私のストレスは、誰が軽減してくれるのと聞いたら、『いや、キミは強いから』と。冗談じゃありませんよね」

夫というものは、妻を「強い」と思っている傾向がある。確かに強くなければ子育てに家事に仕事にとフル回転はできない。だが、実はフル回転せざるを得ないから強くなってしまったというほうが合っているのではないだろうか。

「反比例するかのように夫はだんだん弱くなる。それでいて虚勢を張るから夫婦関係も怪しくなっていくんだと思う。少なくともうちはそうですね。こんなに夫が愚痴っぽくて、『よしよし、きみは大丈夫だよ、いい子だよ』と言ってもらいたいと思っているなんて、想像もしていなかった」

妻は呆れて愛想を尽かしかけているのだが、夫はそれには気づかない。「妻たるものは夫を慰め励ますもの」と決めてかかっているようだとサエコさんはため息をついた。

▼亀山 早苗プロフィールフリーライター。明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(恋愛ガイド))

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