冷たいものを触ると痛いと感じる理由 意外な原因は活性酸素だった

冷たいものを触ると痛いと感じる理由 意外な原因は活性酸素だった

当たり前に思える現象にも実は謎が多い(画像は京都大学プレスリリースより)

「冷たいものを触ると痛いと感じる」現象は、痛みのセンサーとなるたんぱく質が、活性酸素に対して敏感になることで起きる――誰もが経験のある現象に、科学的な答えとなる研究結果を、京都大学の中川貴之医学部附属病院准教授、金子周司薬学研究科教授、三宅崇仁同博士課程学生らの研究グループが発表した。

人間が温かさや冷たさを認識する機能「温度覚」の仕組みは、近年の研究で明らかになりつつあるが、氷水などに手を入れ続けたときなどに感じる、痛みにも似た感覚をどうして感じるかは、未だにはっきりとはわかっていなかった。

研究グループは過去に、抗がん剤のひとつである「オキサリプラチン」を投与されたがん患者が、冷たい物に触れたりすると突然痛みにも似たしびれを起こすという変わった副作用を示すことに注目。

マウス実験によって、ワサビなどの刺激物に対する痛みセンサーである「transient receptor potential ankyrin 1(TRPA1)」と呼ばれるたんぱく質が関係していることを突き止めていた。

しかし、その後の研究で、マウスのTRPA1は冷刺激に反応するが、人では反応しないとする報告も出され、TRPA1が本当に「冷たく痛い」感覚を担っているかどうか、世界中の温度覚研究者の議論の的となっていた。

今回、研究チームはオキサリプラチンを投与されたがん患者を対象に、複数の条件下で検討を重ね、以前よりもさらに詳しく解析を実施。

その結果、オキサリプラチンによって「プロリン水酸化酵素」という酵素の働きを抑制されると、TRPA1が非常に敏感な状態となり、冷刺激によってわずかに発生する活性酸素が刺激物となり、「冷たさ」を間接的に「痛み」に変換していることがわかった。

さらに、プロリン水酸化酵素は、酸素濃度が低くなることでも抑制されることも確認。冷え性や、手足の血流低下を伴う糖尿病や末梢閉塞動脈疾患の痛みやしびれにも関連している可能性があり、治療薬開発も期待できるとしている。

発表は2016年9月15日、英科学雑誌「Nature」が運営する オープンアクセスの学術誌「Nature Communications」に掲載された。

参考論文
Cold sensitivity of TRPA1 is unveiled by the prolyl hydroxylation blockade-induced sensitization to ROS.
DOI: 10.1038/ncomms12840 PMID:27628562

(Aging Style)

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