社会人が知っておきたいストレス対策 Aging Style×GOOD DESIGNトークレポート(7/上)

社会人が知っておきたいストレス対策 Aging Style×GOOD DESIGNトークレポート(7/上)

杏林大学名誉教授の古賀良彦氏

就職、転勤、移動などで新しい生活がスタートし、やっと少し落ち着く5月から6月は、それまでにたまったストレスが原因で心身のバランスを崩す人が多くなる時期でもある。

ストレスをためない工夫や、社会の中で自分のあり方をデザインするにはどうしたらいいか。Aging Styleとグッドデザイン賞によるコラボレーショントークイベント「Aging Style ×GOOD DESIGNトーク」が5月19日に開かれ、「社会と自分―自分のあり方をデザインする」などをテーマに医師や専門家らが講演した。

ストレスをためない「3R」

講演したのは、杏林大学名誉教授の古賀良彦教授と、電通デジタル執行役員・並河進氏。

古賀教授は、小さなストレスでも日々たまっていくとよくないと言い、ストレスを翌日以降に持ち込まないための「3R」紹介した。

「3Rとは、Rest(休養)、Relaxation(寛ぎ)、Re-creation(楽しみ)。どれも自分の生活の中でできることです」(古賀教授)

質の良い睡眠をとり、しっかり体を休める。寛ぎや楽しみには、アロマなどの香り、リラックス効果が期待できる食品、簡単に取り組めて楽しめる塗り絵なども役立つ。その中でも「香り」の研究を紹介した。

いい香りを嗅ぐと本当に寛げるのか。古賀教授はレモンやラベンダー、コーヒーなどのいい香りを嗅いだときの脳波を調査した。その結果、ラベンダーの香りが脳内のリラックス度を示すアルファ波を多く出すことがわかった。

では、コーヒーの香りはどうか。調べてみると、ガテマラの香りはアルファ波が多く、マンデリンは少な目で、コーヒー豆の種類によっても違うことがわかったという。

「楽しむことは、脳の血流がよくなり活性化につながると考えられます。脳の血流量はラベンダーよりもレモンの方が優位でした。また、ピーチの香りは、脳の知的な働きをつかさどる前頭前野の血流量をアップさせることも分かりました」(古賀教授)

自分をつくり変える

並河氏はこれまで自身が取り組んできた仕事の中から「社会と自分―自分のあり方をデザインする」というテーマに合った事例を紹介。

まずは、東日本大震災後に石巻などで行った「自分の新しい肩書を考え、名刺をつくるワークショップ」を例にあげた。例えば、福祉の仕事をしている女性は、以前カーレースに関わっていた。そこでピットインをする時のように手早く確実な介助ができる「音速の福祉ウーマン」といった名刺を作った。

「震災後、復興現地の方々と交流しているうちに、以前の職業とは違う形でさまざまなことを始めている人が多くらっしゃいました。自分のことを見つめ直し、自分にしかない肩書きを見直すことで、社会の中での役割や今までとは違う自分への気づきや発見の活動になるのではと企画しました」(並河氏)

また、並河氏は日々のストレスのひとつとして、例えば「お金を持っているかどうか」など自分を世の中にある「基準」に照らし合わせていることがあると考え、お金の基準から自由になろうというコンセプトで、お金では売らないオンラインショップ「WITHOUT MONEY SALE」を立ち上げ、運営している。

商品を買うために愛、知恵、時間のどれかを選択する。「愛」ならその商品に対する愛を原稿用紙3枚にまとめる。「知恵」は、商品を盛り上げるアイデアを3つ考える。「時間」は商品づくりを2時間手伝うなど、自分たちで基準をつくろうという試みだ。

ほかにも失恋した後輩クリエーターのアイデアから生まれた、元恋人との思い出の品を何でも箱に入れて、中古ブランド品を取り扱う業者に査定し買い取ってもらうという「失恋BOX」プロジェクトも手がけた。1回送るごとに100円が途上国の恋人たちを守る支援に使われる。身の回りにあるネガティブをポジティブにする取り組みを紹介した。

講演後のトークセッションで、古賀教授はストレス回避にはネガティブをポジティブに変える「認知行動療法」のようなアクションを起こすことも必要だとした。

「人の情緒をどう支えるかが重要。認知が情緒や行動を常にコントロールできるとは限らない。情緒をコントロールするために順序だてて考えたり、形や枠組みをつくってあげたりすることでネガティブな情緒をポジティブな方向へ理屈づけてあげることも大切です」(古賀教授)

デザインはいろんな視点で考えられる、認知や自分の状態を形にするのもデザイン、リラックスを香りでデザインするというものあるとする並河氏に対し、古賀教授は、デザインは形のあるものだけでなく、形のないものも考えていくことで、新しいアプローチが生まれてくるかもしれないと述べた。

医師・専門家が監修「Aging Style」

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