医療機関の悪質ウェブサイトにNO!改善通知500件超え 医業停止、刑事罰の可能性も【抗加齢医学会レポートB】

医療機関の悪質ウェブサイトにNO!改善通知500件超え 医業停止、刑事罰の可能性も【抗加齢医学会レポートB】

第18回抗加齢医学会総会より

「○○%満足度」「有名人○○が通う」「再発がない○○の治療法」などなど、医療機関のウェブサイトを見て疑問を持ったことはないだろうか?
受診する医療機関を選ぶ際に、医療機関側から発信される情報は重要なものだ。
氾濫する誤った情報、過度な期待を持たせる表現を規制する改正医療法が施行されて2週間、これまで改善を求める通知を受けた医療機関は500を超えた。
これまでと何が違うのか。抗加齢医学会総会でも最新の議論と考察が行われた。

今までは事実上野放しだった医療機関のウェブサイト

医療機関にかかる際、必ず一度はチェックするであろう医療機関のHPの扱いが、6月1日から大きく変わった。わかりやすく言うなら「虚偽誇大広告禁止令」であることは、本サイト編集長が速報でお伝えした通りだが、施行直前の5月27日第18回日本抗加齢医学会総会でも緊急企画として大いに議論された。

医療機関の広告は、これまでも13項目のみ(※1)が許可され、それ以外は処分の対象となっていた。特に、医療として保証することのできない「絶対安全」などの虚偽、誇大表現、比較広告は禁止されていたが、実は、医療機関のHPは広告に含まれておらず規制の対象外だった。これは、広告が"求めていなくても目に入ってくるもの"とされているため、自らウェブサイトにアクセスする医療機関のHPについては"広告とは言えない"とみなされてきたため、内容に問題があってもそれを取り締まる方法がなかったのだ。

それが、改正医療法(※2)では、医療機関のHP上の表現を罰則付きの広告規制の対象に含めた上で、具体的に禁止する項目を明示している。

緊急企画で講演した齋藤健一郎弁護士によれば、平成16年以降、厚生労働省も法務省からの通知を受けて医療機関の処罰情報は把握しているという。長年対処に苦慮してきた、特に患者の弱みや期待に付け込むような悪質な医療機関を淘汰するために時間をかけて準備され始まった規制なのである。

既に医療機関のネットパトロールは始まっている 
そして、厳罰も

そして、この改正医療法施行に先立って、2017年8月から厚労省の委託事業として医療機関HPに対するネットパトロールが既に始まっている。医療機関のウェブサイトを監視し、違反を見つけた場合には、その医療機関に通知して改善を求めるものだ。改善が見られない場合には自治体に知らせ、追跡調査も行う。通知された医療機関がまず最初に受け取るのは注意喚起文書。今年3月時点で既に通知を受け取っている医療機関は500を超え(※3)、個別に対応を迫られている。
通知のもとになる情報源は、広く一般にまで求められている。厚生労働省はツイッター等で呼びかけており、誰でもネットパトロールのウェブサイトに通報可能だ。

今年、2018年6月1日から大きく変わった点は、罰則規定による処分もスタートしたことだ。これまでは罰則がなかったため指導しても改善の実効性が乏しいという指摘もあった。しかしこれからは、通知や指導といったいわば"イエローカード"に従わず、もし罰則を受ける対象になれば、医道審議会にかかり医業停止のリスクが発生する。資格停止処分や刑事罰に及ぶ可能性もある。

具体的に禁止されたのは、虚偽広告、誇大広告、比較優良広告に加え、患者の主観に基づく体験談、詳細な説明のないビフォーアフター(治療前後の)写真等などを掲載すること。(別表)
規制の目的は、誤った情報や過大な期待に基づいて治療へ誘導されることがないようにという、消費者(受診者等)の保護にある。これまでは広告とみなされていなかった医療機関のHPも、広告として厳格に規制され、場合によっては医療の現場から「退場」ということもあり得るのだ。一般市民の声によって問題がある医療機関の是正につながる仕組みが始まったのである。

いったいどこから情報を得ればいいのか。 
患者と現場の困惑にはどう対処?

緊急企画内で議論になったのは、「有益な情報までわかりやすく提供することができなくなり、患者にとっての不利益を生む可能性はないのか」という点。ただでさえ、先進的医療などや専門的な医療情報がわかりにくいのは事実。更には患者側の「情報読み取り」レベルによって格差すら生まれかねないという懸念もある。
実際、講演後の質疑においても医師側から「扱っている未承認品や商品名がHP内で表示できなくなると、医療の情報が正確に伝わらなくなるのでは?」といった困惑の声が上がっていた。
その点に関しては、4つの「広告可能事項の限定解除の要件」を満たしていることが必要なことが解説された。

@患者が自ら求めて情報を探すウェブサイトとこれに準ずるもの
A問い合わせ先を明記すること
B自由診療の場合、内容・費用を記載すること
C自由診療の場合、リスク、副作用について情報提供すること

また、診療科名、診療日、専門医資格などは広告可能事項として限定的に明示ができることは定められている。

根拠があって、虚偽でも誇大でも比較でもない客観的情報。本来当たり前のことなのだが、おそらくそれはパッと見でわかりやすいものではないのかもしれない。となると情報を得る側の「情報取得能力」や「精査・分析能力」が今まで以上に求められることになる。

施行から2週間、正確な情報を理解してもらえるのかと嘆く医療機関、一方でバレるかもとひやひやしながら抜け道を探す機関、色々あると思うが、その判断をするためにも、この法改正については普段から知っておいた方がいい。

(取材/文 さえき文香 監修/DAA(アンチエイジング医師団))

※1:医療機関の広告可能事項
=病院又は診療所の名称、電話番号及び所在地、診療科名、診療日、診療時間等の13項目(医療法第6条の5第1項及び「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項(平成19年厚生労働省告示第108号)」(広告告示))

※2:医療法等の一部を改正する法律(第五十七号)
2017年6月14日公布、2018年6月1日施行
http://anshin.pref.tokushima.jp/med/experts/docs/2017061600016/files/2.pdf

※3:2018年3月31日時点(編集部追記)
一般からの医療広告関係の通報総数864件、
通報による審査対象事案569件(美容29%、歯科27%、癌24%、その他20%)
総審査件数603件、問題のあったウェブサイト160件、医療機関数 517機関
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000209654.pdf

第18回日本抗加齢医学会総会
総会緊急企画「改正医療法に伴う自由診療の諸問題」
※敬称略
演者:齋藤健一郎 弁護士
座長:大慈弥裕之 福岡大学医学部形成外科

医師・専門家が監修「Aging Style」

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