AYA世代がん経験者が語る がん啓発チャリティライブで伝えたいこととは

AYA世代がん経験者が語る がん啓発チャリティライブで伝えたいこととは

昨年開催されたがん啓発チャリティーライブRemember Girl's Power!!2017

がん経験者の中でも小児・AYA世代(15歳〜39歳)の情報はそれほど知られていないのではないだろうか。そんな現状を踏まえて、がんの治験・臨床試験情報を中心とした、エビデンスに基づくがんの医療情報を発信する「オンコロ」が行う取り組み、啓発チャリティライブ"Remember Girl's Power!!"について、開催直前の主催者にその思いを聞いた。

(話:鳥井 大吾氏 がん情報サイト「オンコロ」Web担当/軟部腫瘍体験者)

Q.小児・AYA世代がん経験者の抱える問題とは?

小児がんは0〜14歳でがんに罹患することです。AYA世代はなかなか耳慣れない言葉だと思います。AYAとはAdolescent and Young Adultの略で15歳〜30歳前後(注:欧米では15歳〜39歳などの定義もある)の思春期・若年成人のことを指します。

小児・AYAの時期にがんに罹患することは様々な特有の問題にぶつかります。一般的に小児は大人よりも抗がん剤が効きやすく約7割が治療によって助かると言われています。しかし一方で、幼少期にがん治療を行うことで、晩期合併症(治療の影響によって何年も経ってから合併症が出ること)や二次がん(初めのがん治療がきっかけで別のがんに罹患すること)の不安がついてまわります。

AYA世代は就学、就職、恋愛、結婚、出産といったライフイベントが集中しており、この時期にがん治療を受けることで大きな影響を及ぼします。これらの問題を一般の方々にも知ってもらい、支援していくための活動が"Remember Girl's Power!!"です。

このイベントは小児・AYA世代(15歳〜39歳)のがん体験者支援、疾患啓発、研究支援につなげることを目的とする女性アーティストによるチャリティライブ。 2016年、2017年に引き続き、3回目の今年は小児・AYA世代(15歳〜39歳)の啓発月間である9月1日に品川で開催します。

Q.啓発チャリティライブが求められる背景は?

このイベントを行うきっかけとなったのはアメリカで2008年に設立された、がん研究の支援を目的とする慈善プログラムStand Up To Cancer(SU2C)です。そこではビヨンセ、マライア・キャリーなど発信力のある沢山の女性アーティストもがん疾患啓発、研究支援のための寄付をよびかける活動(ライブ)を行っていました。そして、これまで180以上の臨床試験を支援しています。そこでSU2Cの取り組みを日本でも出来ないかと思い、2016年に始めました。

今年3回目を迎えるこのイベントの目的は、小児・AYA世代がんの体験者支援・疾患啓発・研究支援の3つです。

体験者支援とは文字通り、がん体験者の活動を支援すること。がんを経験すると問題意識を持ち行動する方が多くいらっしゃいます。しかしながら良い取り組みであっても資金が足りず継続してくことが難しい。その活動を支援していきます。

疾患啓発は、がんがどの様な病気かだけでなく、特に小児・AYA世代の時期にがんに罹患することで直面する医療以外の社会的な問題や、感情を知ってもらうことを目的としています。小児・AYA世代のがん体験者には人間関係、再発、進学、就職、仕事、恋愛、結婚、出産など様々な不安と問題が押し寄せます。これらの問題を抱えることをまず知ってもらうことが大切だと思います。

そして、研究支援の大きな目標は臨床試験の支援です。新薬の開発が進んでいるとはいえ、細かくがん種で分けるとほとんど新薬開発が進んでいない領域もあります。例えば、小児・AYA世代で代表的な骨肉腫は約30年新薬開発はありません。開発困難な理由は様々ありますが、その一つが研究資金です。

更に、国のがん対策の基本方針である「がん対策推進基本計画」の第3期が2018年3月9日に閣議決定しましたが、重点施策として新たにAYA世代が加わりました。がん罹患による離職者の割合が改善なされていないなどの現状があるからなのです。

Q.AYA世代のがん体験者としては?

実は、私自身もがん体験者(がんサバイバー)です。今から4年前、社会人2年目の25歳の時に肉腫と診断を受けました。左ふくらはぎの腫瘍が悪性だったのです。当時はまだ社会に出て2年目、告知を受け一気に将来のことが見えなくなりました。当然周りには同世代のがん患者は居らず、自分と周りの患者との間に一線引かれたような孤独を感じました。

治療は手術だけでしたが、20cm以上ふくらはぎを切り開き、腫瘍、筋肉や血管を摘出しました。術後は未だかつて経験したことのない激痛で、痛みが効いていない時はずっと悶えている状態。一時的に歩けなくなり衰えていく身体、そして運動機能が失われた左足、日常生活に戻れるのか不安になりました。

今考えてみると、これらの問題のいくつかは時間や周りの環境が解決してくれました。一線引かれた孤独は、がん経験を活かした仕事や患者会等の活動をしていくことで減っていきました。筋肉を摘出し運動機能が失われた左足も、鍛えることで他の筋肉が補ってくれています。
しかし、その一方で解決しない問題や新たな問題も出てきます。例えば、運動機能が失われた左足は、高齢化して筋肉が衰えた時にどうなってしまうのかといった不安や医療保険はどうしようかという悩みなどです。
他の経験者からはこんな悩みをもあがっています。

・半年以上休学して、学校の授業についていけなくなる
・就職の面接時に病気を打ち明けることができない
・治療の影響で体力が低下して、フルタイムで働くことができない
・見た目(手術の跡や抗がん剤の副作用)に影響が出て、恋愛に一歩踏み出せなくなった

がんになった時期や治療の内容によって、また、その人の年齢や置かれた状況によって、それぞれ様々な悩みや問題を抱えるのです。

Q.今一番必要なことは?

啓発はとても大切だと感じています。体験者としての啓発の意味は、まずがんに罹患することで感じる不安や直面する問題を知ってもらうことだと思っています。小児・AYA世代でがんに罹患する確率はかなり低いのですが(小児がんの年間罹患者数は約2,500人、AYA世代は約20,000人)実は身近にいることもある。その時にがん患者の気持ちを少しでも知っていることが、がんという病気を周りに伝えやすくなる環境作りに寄与すると思います。

私自身、がん治療を終えた後も1年以上、友人以外にがんに罹患したと言うことが出来ませんでした。それは「がん患者」と見られてしまうことが嫌だったからです。私の中で「がん患者=かわいそうな人」といったイメージがあったからです。こうしたイメージを持っている人は一定数いると思います。 だからこそ「がん体験者も他の同世代と変わらない!」これは伝えるべき大切なメッセージだと思っています。

Q.イベントには一般の参加者も多いのですか?

"Remember Girl's Power!!"は多くの一般の方が参加します。最初の年は、あまり"がん"という色を強くするとお客さんから少し離れてしまうのではないかと思っていました。しかし、昨年は広がりを持たせるためにも色を強め、多くの一般のお客さんとともに22名のがん体験者の方にもご参加いただきました。がん経験者も、そうでない一般の方も共にライブを楽しんだ後、国立がん研究センター中央病院 病院長の西田 俊朗先生にイベント終了後のご挨拶もいただきました。

その反響はすぐにツイッターでも確認できました。がんに関するツイートもちらほらあって、想いや意義はしっかり伝わったと体感できました。

オンコロ、もう何もいうことはありません。今までで1番暴れて叫んで跳んで最高だったことは間違いないです。

— otogi (@otogi_816) 2017年9月10日

オンコロ、本当に楽しかった。普段聞くことのないアーティストさんも沢山いたけど、みんなそれぞれの歌への思い、パワーを感じました。来年も是非開催していただきたいなあ。

— こばゆ@追い風 (@Sea_mn_pn) 2017年9月10日

オンコロ楽しかった 去年も行ったけど今年も楽しかった いろんな人の曲が聴けるの新鮮 少しの寄付だったけど病気や医療関係の役に立てれば嬉しいし、また来年もライブイベントやってほしい 絶対行く#オンコロ

— おぎ@虫歯治療中 (@pudding_ice) 2017年9月10日

「Remember Girls Power!!2017」で驚いたのは、募金活動や席、物販等の配置がこなれていた事。そして、ライブ演出が去年と比較ものにならないほどパワーアップしていた事。
オンコロさんの本気度が凄く伝わってきた。来年も本当に楽しみだ!

— 康@声優追っかけ垢 (@kou_LL_THP_VA) 2017年9月10日

"Remember Girl's Power!!"はライブメインのイベントです! アーティストの全力のパフォーマンスを楽しんでもらい、ちょっとした気づきを得て帰ってもらえる様なイベントにしていきます。がんの啓発イベントだからとかたくならず、是非このイベントを多くの方々に楽しんで頂きたいです。日本にほとんどないがんのチャリティライブに参加することで、新しい気づきを得ていただければと思っています。

オンコロ Presents チャリティライブ「Remember Girl’s Power!!2018」
開催日時:2018年9月1日(土)
開場/開演:16:00(PM4:00)〜/17:00(PM5:00)〜
場所:品川インターシティホール
チケット:プレミアムシート(限定グッズ付):¥5,800(税込)
     一般(全自由):3,800円(税込)
※1Drink代500円別
※がん体験者、小中学生は無料招待枠があります。
※一般チケットは7月28日より発売中
 
詳細は“Remember Girl’s Power!!”イベントページをご確認の上、ご連絡ください。

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