肥満もリフレッシュもストレス次第!?

肥満もリフレッシュもストレス次第!?

甘い炭水化物を欲するのはストレスのサイン!?

8月終盤、夏休みも終わった人も大半だろう。「休み明けは活力十分!頑張ろう!」そう思ったのもつかの間、もう、疲れが気になる人も多いのではないか。
でも自分を責めてはいけないようだ。そんな気持ちはどうやら少数派ではないと最新の調査が示している。もし「リフレッシュスイッチ」というモノがあるならそれはあっという間にOFFになるというのだ。その原因はやはりストレス。
一方、ストレスによって「食べすぎスイッチ」はONになるという研究も見逃せない。

休暇と仕事のストレスの残念な関係

「リフレッシュ効果はあっという間に消える」そんな調査を発表したのは米国心理学会(APA)。「仕事と幸福感に関する調査2018(Work and Well Being Survey)」(6月27日発表)によれば、休暇をとってもリフレッシュ効果は仕事に戻って数日以内に消え去ってしまうと感じている労働者は6割以上。内訳は、「数日以内」が40%、「復帰後すぐに」という人も24%いた。
この調査は、APAが調査会社のHarris Poll社に委託し、2月15日〜3月1日の半月間、米国在住のフルタイムやパートタイムなどで働く成人1,512人を対象にオンラインでの調査を実施したもの。

休み明け仕事に戻った直後については多くの人が、「前向きな気分になれた(68%)」「活力に回復した(66%)」「やる気が向上した(57%)」「ストレスが軽減した(57%)」といった気持ちの変化に加えて、「生産性が向上した(58%)」「仕事の質が向上した(55%)」というポジティブな回答をしているにもかかわらず、リフレッシュ効果は長続きしないのだ。

「仕事のストレスから回復し、燃え尽きを防ぐためにも休暇を取る必要がある。しかし、たまの休暇で仕事のストレスが相殺される訳ではない。ストレスの要因を突き止めて対処し、普段からストレスの管理を行っていないと、せっかく休暇を取ってもその効果はすぐに消え去ってしまうだろう」

こう語るのはAPAのDavid Ballard氏。

さらに見逃せないのは、一部の人達が「休暇中も緊張やストレスを感じていた(21%)」「予定よりも多くの時間を仕事に割いた(28%)」「仕事に戻るのが憂うつだと感じた(42%)」などと回答したこと。休暇中も仕事が原因でリフレッシュスイッチを入れられず、リラックスできていないことが浮き彫りとなっている。

そして、慢性的なストレスを放置すると、別のスイッチが押されてしまうこともわかってきた。

ストレスで「食べ過ぎスイッチ」ON

英国リーズ大学の研究チームが、ストレスが血糖値に与える影響を研究したところ、健康な人の場合、すぐに正常に戻る血糖値が、意図的にストレスを与えられた後では、ストレスのない日の実に6倍の3時間もかかったという。

これは危険を察知した時の体のメカニズムが原因だ。ストレスを感じると、攻撃されていると受け止め、「戦闘または逃避モード」になる。血中にブドウ糖を放出し、筋肉にエネルギーを与えて戦ったり逃げたりする準備をするために血糖値が高い状態になる。しかし、現代社会で多いのは、身体的危険というより精神的ストレス。実際にはエネルギーを使われないため、今度はすい臓からインスリンが大量に出て、再び血糖値を下げる。その結果、空腹を引き起こすのだ。ストレスを受けると、甘い炭水化物が無性に欲しくなるのはまさしくこの仕組み。「食べ過ぎスイッチ」がONになった状態だ。

一方、「睡眠不足にすると摂取カロリーが増える」という別の研究も最近次々と発表されている。
つまり、慢性的なストレスによって睡眠や血糖値が不安定になり、睡眠や血糖値が乱れると、空腹感が募って食べてしまう。それがさらなる睡眠障害やストレス悪化につながり、血糖値もますます不安定になるという悪循環だ。ストレスが慢性化すれば肥満を招き、場合によっては2型糖尿病の発症にいたる可能性もあるのだ。

では、実際のストレス対策はどうあるべきか。まず思い浮かぶのは職場環境改善だ。
冒頭の米国APAの「仕事と幸福感に関する調査2018」によれば、ストレスの原因には「給料が安い(49%)」「成長や昇進の機会がない(46%)」「仕事量が多い(42%)」という回答。しかし「会社が十分なメンタルヘルス対策を講じている」とした回答者は半数にとどまっていた。
一方、休暇を奨励する会社の従業員は、そうでない会社の従業員に比べて、仕事に戻った時点で「やる気が向上した(71%対45%)」「生産性が向上した(73%対47%)」と回答する割合が高い結果。ただし、自分の会社が従業員に休暇を取ることを奨励していると回答した人の割合は半分に満たない41%にとどまっていた。
翻って日本では、「働き方改革関連法案」についても6月29日に可決・成立するまでに、高度プロフェッショナル制度が長時間労働の温床になるのではとの議論が盛んになされたばかり。
職場環境改善を待つより、すぐにでも自分でストレス対策を立て方がよさそうだ。まずはぐっすり眠ること。そして、日中は、昼休みや休憩をこまめに取り、リラックスタイムに仕事は持ち込まないなど、堂々とまめにリフレッシュスイッチを押し続けるしかない。

2018 Work and Well-Being Survey(AMERICAN PSYCHOLOGICAL ASSOCIATION)

Introducing the Maastricht Acute Stress Test (MAST): a quick and non-invasive approach to elicit robust autonomic and glucocorticoid stress responses.
PMID: 22608857 DOI: 10.1016/j.psyneuen.2012.04.012

The effects of partial sleep deprivation on energy balance: a systematic review and meta-analysis.
PMID: 27804960 DOI: 10.1038/ejcn.2016.201

Acute sleep restriction increases dietary intake in preschool‐age children
PMID: 27641365 PMCID: PMC5226917 DOI: 10.1111/jsr.12450

医師・専門家が監修「Aging Style」

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