トクホ見直しも?機能性表示食品制度の問題点【第3回日本抗加齢協会フォーラムA】

トクホ見直しも?機能性表示食品制度の問題点【第3回日本抗加齢協会フォーラムA】

パネルディスカッションの模様

12月14日、第3回日本抗加齢協会フォーラムにて「今後の健康食品を考える」と題したセッションが行われ、2015年4月にスタートした機能性表示食品制度の問題点を中心に話し合いが行われた。

所轄の消費者庁からは食品表示企画課の赤崎暢彦課長、表示対策課食品表示対策室の木村勝彦室長の2名、さらに内閣府規制改革推進会議委員で大阪大学の森下竜一教授、健康食品産業協議会会長で味の素常務執行役員の木村毅氏、そして日本通信販売協会(JADMA)理事で株式会社ファンケル副会長の宮島和美氏と、機能性表示食品制度の制定に関わった産官学の有識者が一堂に会した形となった。

いま注目を集めているのは、アミノ酸のひとつであるロイシンと、ロイシンから合成され筋タンパクの合成を活性化させるというHMBを関与成分とした機能性表示「歩行能力の改善」が薬機法に抵触するのではないかという点。機能性表示食品制度は、最終的に消費者に商品を届ける販売者による届け出制となっているため、形式上はガイドラインに沿って、ヒト試験によるデータなどの書類がきちんと揃っており、問題がなければ届け出が受理されて、商品を販売することができる。しかし、届け出完了後に例えば、機能性表示の根拠とした関与成分に関する過去の科学的データ論文が根拠不十分と判断されたり、根拠論文と逆の論文が出されて、それによって機能性表示の根拠がなくなるなど、届け出内容に反するケースが発生した場合は、その時点で撤回をする必要がある。この時に大きな問題になるのは、既に発売している商品を回収しなければならないこと。企業の自己責任による事後規制制度はトクホと異なる機能性表示食品の特徴のひとつだが、こういった面では、事前規制よりも厳しいと言えるかもしれない。

「歩行能力の改善」という言葉が医薬品的な表現であると判断されるとなると、そもそも、届け出書類の確認の時点で、消費者庁が確認しなければならない事項(医薬品的な表現になっていないか)だったのかどうかが問題となる。この件に関して、消費者庁は現時点では明確な答えを出していない。また、薬機法に抵触する表現と判断された場合、すでに届け出が受理されている同じような機能性表示についても、過去にさかのぼって他の素材に波及する。ちなみに今回のケースも、HMBから派生した問題がロイシンにも波及した。さらに、過失の程度に関わらず、法律上は「届け出の撤回」しか方法がないことも問題視されている。

日本抗加齢協会では、ここ最近の動きを鑑みて、現在行っている届け出書類の事前チェックに「薬機法への抵触」の項目も増やすことを検討しているとのこと。ちなみに、現在行っているこの事前チェックにおいて、1回でOKとなったものはまだ1件もないそうだ。想像以上に機能性表示食品制度の届け出書類は煩雑であり、日本抗加齢協会のような専門家の二重チェックを受けた方が時間短縮や手間を省く意味でも有用かもしれない。

もうひとつ、機能性表示食品制度で大きな問題になっているのは「広告の規制」。景品表示法や健康増進法、薬機法等、機能性表示食品だけでなく健康食品全般の広告には多くの法律が関係してきており、それぞれの法律の所轄も違う。さらに、優良誤認や有利誤認等で法律に抵触するかどうかは、文言や図表、写真だけでなく全体を見て判断するという、企業側からすれば基準が曖昧な状態が続いており、先日行われた規制改革推進会議でも問題として取り上げられた。大きな論点は「予見性」で、企業側が遵守しようとしても判断基準がわからなければ守ることができないということ。一方の消費者庁側は「あくまでも誇張の程度が"著しく"社会一般の常識を超えて一般消費者に影響を与えるという部分を見ており、製造した企業はそこを一番わかっているはず」という姿勢を崩しておらず、議論は平行線のままだ。

消費者庁の赤崎課長は「トクホと機能性表示食品のそれぞれの存在理由に遡った検討を来年度にやりたいと思っている」と明言しているが、一般消費者にとっては、機能性表示食品とトクホはなかなか区別ができないもの。トクホにだけ認められている「疾病リスク軽減表示の拡大検討」も含め、この根幹の部分にもメスが入ることになりそうだ。(取材/文 継田治生)

医師・専門家が監修「Aging Style」

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