「アイケア機能」と「血流改善機能」をあわせ持つ"カシス"の可能性【第3回日本抗加齢協会フォーラムB】

「アイケア機能」と「血流改善機能」をあわせ持つ"カシス"の可能性【第3回日本抗加齢協会フォーラムB】

カシスの和名はクロスグリ、英名はブラックカラント

日本抗加齢協会フォーラムでは「食の機能性」に注目した様々なプログラムが組まれることも特徴のひとつ。今回の第3回日本抗加齢協会フォーラムでは、12月15日に行われた「食によるライフイノベーション」と題したセッションにて、注目の食品素材として "カシス"が取り上げられた。

カシスは、同じベリー類のブルーベリー同様、目に対する機能は確認されているが、他にも疲れや関節炎、肝臓等への効果も伝承的に知られてきた。今まではブルーベリーなどに比べてその機能性の研究の量が圧倒的に少なかったのだが、近年、改めてその機能性の高さが見直され、多くの研究が行われるようになってきている。

カシスはユキノシタ科スグリ属の果実で1mから2mの低木。欧米では中世から栽培・育種が行われており、ジャムやジュースなどとしても人気が高い。ビタミンとミネラルを豊富に含むが、ベリー類の他の素材に比べて、ポリフェーノールやアントシアニンを多く含む。特にブルーベリーには含まれていない「デルフィニジン-3-ルチノシド」、「シアニジン-3-ルチノシド」という2つの特徴的なアントシアニンを多く含み、この2つでカシスが含有する全アントシアニンの80%以上を占める。

「カシスアントシアニンによるアンチエイジングの可能性」と題して講演した新潟薬科大学 応用生命科学部の松本均氏はこのカシスに含まれる特徴的なアントシアニン「デルフィニジン-3-ルチノシド」が一酸化窒素を発生させて筋肉を弛緩させる研究結果を発表。これにより、血流を改善させて緑内障や軸性近視の予防効果が期待できるという。さらに、肥満、糖尿病などの生活習慣予防効果、神経細胞保護効果によるアルツハイマー型認知症の予防など、様々なアンチエイジング効果が期待できるとした。

森下仁丹株式会社 ヘルスケア事業本部 ヘルスケア開発部の川上宏智氏は「カシスアントシアニンの保健機能食品への期待」と題して講演でカシスを使った臨床試験の数々を紹介。カシスアントシアニンを含むドリンクを飲んだグループと含まれないドリンクを飲んだグループに分けてパソコンを2時間使用してもらい、首、頭、腕、目、肩、腰の5か所の自覚疲労をチェックした試験では、カシスドリンクを飲んだグループが、含まないドリンクを飲んだグループよりも疲労度の平均値が低くなって自覚疲労が軽減され、特に目と腰では統計的にも優位に差が認められた。また、ヒヨコを使った試験では近視抑制効果の可能性が示唆されたが、この効果はカシスアントシアニンに特異的に認められ、ビルベリーアントシアニンでは効果がなかったとのことだ。

一方で、近年のカシスの機能性研究で注目されるのは、松本氏も紹介した「血流改善効果」。日常から冷え性の自覚症状をもつ健常女性4名を2グループに分け、カシスカプセル(アントシアニン50mg)とプラセボのカプセルを飲んでもらい、1時間後に10℃の冷水に右手を1分間浸けて、体温が安静時レベルに戻るまでサーモグラフィーにて画像撮影し血流量を測定した試験を行った。その結果、プラセボを飲んだグループでは、15分たっても安静時に戻らないのに対し、カシスカプセルを飲んだグループでは10分後には安静時に戻り始めた。さらに、目の下のくまの改善効果等、カシスの血流改善効果はいくつかの実験により証明されている。

川上氏は、ニュージーランド産カシスは北米産ブルーベリーに比べて、活性酸素吸収能力(ORAC:oxygen radical absorbance capacity)が約2倍、血漿鉄還元能力はFRAP法(fluorescence recovery after photobleaching: 蛍光退色後回復測定)では約4倍であることも分析試験結果で示した。また、ニュージーランド産カシスの原料生産や市場動向に関しての情報も、日本カシス協会監事で株式会社セントラル・ケミカルの冨澤寛氏と株式会社ジャフマックの本橋和浩氏からの報告があった。

全世界のカシス生産量は約20万トン。そのうち10万トンがポーランドで、3万トンがロシアで生産されている。それに対して、ニュージーランドの生産量は6千トンと決して多くはないが、きれいな空気やクリーンな水、肥沃な土壌、寒暖の大きさなど、アントシアニン含有の高い良質なカシスが生産できる気象条件が整っているという。ニュージーランド産カシスは、品種改良や厳密な生産管理も相まって人気が高く、特にアメリカでは抗酸化力、血流改善、動脈硬化、脳機能など幅広い訴求によって人気商品の一つとなっているとのことだ。さらに、ジャフマック社ではニュージーランド産カシスを搾汁するだけでなく、醗酵させることによって旨味と甘味を出した商品展開をしているとのこと。

高齢化が進む日本において、アイケア機能と血流改善機能の双方を兼ね備えたカシスの需要は、今後増大しそうだ。(取材/文 継田治生)

医師・専門家が監修「Aging Style」

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