骨・筋肉も血管もアンチエイジング【第4回日本抗加齢医学会メディアセミナー】

骨・筋肉も血管もアンチエイジング【第4回日本抗加齢医学会メディアセミナー】

2018年度 日本抗加齢医学会 第4回メディアセミナー

去る2月18日、東京都内で「2018年度 日本抗加齢医学会 第4回メディアセミナー」が開催された。

約8,500名の会員(2018年10月現在)を擁する一般社団法人日本抗加齢医学会。アンチエイジング医学・医療に関する知識を広く一般に普及・啓発するためには、メディア関係者の理解を深めることも重要との考えから、毎年数回、メディア向けセミナーを開催している。今回は、この1月に開催された第3回(http://www.agingstyle.com/2019/01/26002739.html)に引き続き、広報委員長の太田博明氏(山王メディカルセンター女性医療センター長)の司会進行により、泌尿器、内分泌、運動器、脳心血管の4分野の研究会がレクチャーを行った。

まず、泌尿器抗加齢医学研究会からは、事務局長を務める井手久満氏(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授)が「男性のための理想的なライフスタイル」と題して講演。井出氏は、男性ホルモンの1つ「テストステロン」にスポットライトを当て、高収入、女性にもてる、スポーツ万能、性機能が強い、健康寿命が長い、といった「できる男」の特徴を例に、「できる男」はテストステロン値が高いという研究について解説した。また、近年、増えているといわれる「草食系男子」は、総じてテストステロン値が低く、面白いことに男性は、恋愛前は高かったテストステロン値が恋愛をすると下がり、結婚して父親になるとさらに下がり、子供ができて添い寝をするようになることでもさらに下がるという興味深い研究も紹介。そのほか、テストステロン値が減少する大きな要因の一つは肥満であるということもデータとともに解説した。

「メラトニン研究の最新情報」と題して講演したのは、抗加齢内分泌研究会の代表、服部淳彦氏(東京医科歯科大学教養部生物学分野教授)。生体調節作用による不眠症改善効果から「睡眠促進ホルモン」とも呼ばれるメラトニンの抗酸化作用に焦点を当てた。メラトニンの抗酸化作用には、@メラトニンがさまざまなフリーラジカルを直接消去する、A消去後に強力な抗酸化作用を持つメラトニン代謝産物が産生される、Bメラトニンが他の抗酸化酵素の産生も促進する、という3重の効果があり、それにより強力な抗酸化作用を発揮すると説明。また、アルツハイマー病モデルの遺伝子改変(Tg)マウスを用いたメラトニンの長期投与試験では、脳内で凝集し沈着することによりアルツハイマー型認知症の原因になると言われる脳内タンパク質、アミロイドβの蓄積も抑制し、マウスの寿命を伸ばしたという試験を紹介した。

「知っておきたい運動器にかかわる抗加齢の王道ポイント」と題して講演したのは、運動器抗加齢医学研究会の石橋英明氏(NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事、医療法人社団愛友会伊奈病院整形外科部長)。石橋氏は、日本の医療費の中で、筋骨格および結合織関連疾患が占める割合は7.7%で2兆3326億円、骨折は4.3%で1兆3128億円となり、運動器疾患に関わる医療費の合計3兆6千億円は、がんの4兆2千億円に匹敵するレベルにあると説明。特に、運動習慣の有無によっては高齢者になってからの運動機能年齢に10歳もの開きが出るため、習慣的な運動は非常に重要とした。また、タンパク質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの4つを骨と筋肉に重要な栄養素として挙げ、これらの適切な摂取によりフレイル(健常状態から機能障害への移行過程における虚弱状態)や、ロコモティブシンドローム(骨・関節・筋肉の支障により運動障害が発生する運動器症候群)の予防を図ることも重要と説いた。

最後に登壇したのは「血管からみるアンチエイジング」と題して講演した、脳心血管抗加齢研究会代表の森下竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座教授)。森下氏は、日本人の4人に1人が動脈硬化性疾患で死亡している現状に着目し、特に食後の高脂血症対策が重要と述べた。中性脂肪値がピークを迎える食後6時間後は次の食事のタイミングと重なり、ともすれば中性脂肪値の高い状態が1日中続いてしまうことが血管由来の疾患の大きな要因の1つとなっていると説明。また、U型糖尿病患者の小腸では、輸送蛋白とも呼ばれるコレステロールトランスポーターである「NPC1L1」の発現が促進され血中酸化コレステロール量が上昇するとして、日常の食生活おいては酸化コレステロールを含む食品に注意が必要であると述べた。森下氏は食後の高血糖が引き起こす問題にも触れ、食後に血糖値が高くなりインスリンが大量分泌されるとアミロイドβが蓄積され、アルツハイマー型認知症リスクを高めてしまうというメカニズムについて解説した。

体の部位に応じた縦割りの研究や治療が一般的な医学・医療において、老化や抗加齢という軸で横断的な取り組みを行うアンチエイジング医学。興味深いトピックスは、後日詳しく報告したい。(取材/文 継田治生)

医師・専門家が監修「Aging Style」

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