人は見た目が〇〇〇...

僕が代表を務める「見た目のアンチエイジング研究会」の講習会が1週間後に迫った。

日本抗加齢医学会の分科講習会として第1回を開催したのが2008年。この10年ほどは年1回のペースで開催して13回目を迎える。今回は特別講演の講師として、「人は見た目が9割」というベストセラー著者でもある演出家で宝塚大学教授の竹内一郎さんに、演出家の視点から見た「仕草、表情、声」の重要性という講演をお願いしている。どんな話になるか楽しみだ。

この「人は見た目が9割」という本が10数年前に出たときは、正直なところ煽り過ぎの題名ではないかという第一印象だった。だが、実は内容は特に過激でもなく興味深いエピソードや考察が多い。無意識のうちに「本は題名が9割」という頭で読み始めた僕の期待は良い意味で裏切られた。その後、世の中の「煽りの文化」はさらに進んだのか、数年前には「人は見た目が100パーセント」という漫画・テレビドラマが人気を呼んだらしい。「9割」でさえインパクトの足りない時代になってしまったのだろうか。

「人は見た目が9割」と聞くと抵抗を感じる人もいると思うが、「人の第一印象は見た目が9割」と言い換えるとその抵抗が少し和らぐのではないだろうか。

第一印象としての見た目

たとえば他人に対して自分が持つ第一印象の場合、その印象を得る機会の状況や時間、印象を得る対象などによって判断材料としての情報の質や量がかなり変わる。もし第一印象を得る機会が電話など音声だけであればそもそも見た目は「0割」だが、見た目の判断材料が写真だけの場合、映像だけの場合、通りすがりの姿や動作だけの場合、他人同士の会話を耳にした場合、あるいは自分が相手と多少の会話をした場合など、そのバリエーションに応じて見た目から得る情報や印象が大きく左右される。

特に会話や動作を伴う状況では、その背後にある親切な心遣いや、逆に無関心・悪意が見え隠れした場合など、見た目以外の要素が無意識のうちに見た目による印象、それも第一印象さえも塗り替えてしまうことがある。つまり、見た目そのものの要素とは別に、「見た目を左右する要素」が実は重要な役割を果たしているのかもしれない。

話があらぬ方向に飛ぶようだが、これは自動車の見た目にも当てはまることではないだろうか。

車は見た目が何割?

車の場合の「見た目」というと筆頭に挙がる要素はやはり車体のスタイルやデザインだろう。車体の形状だけでなく色や塗装の質感も見た目や第一印象に影響する。そして外観だけでなく内装も重要な見た目の要素だ。外観の場合と同様、内装もその形状だけでなく色や素材の質感が見た目を左右する。

それだけだろうか?

外観や内装の手入れ状態も見た目の要素として忘れてはいけない。どんなに洗練されたデザインの車でも泥まみれだったら印象は落ちる。その泥を洗い落すと大きな傷や凹みが目立つようなら台無しだ。その意味では外装や内装の耐久性も重要だ。

そして見た目そのものではないが、車好きにとってはエンジンや走行性能・操作性、さらにはその耐久性や信頼性も重要だ。これは人間に置き換えると頭脳から運動器や内臓まで、脳・精神や身体の各機能・能力全般と基礎的な体力・健康だろうか。医学的な要素だけでなく人柄・性格や人格も含まれるはずだ。これが実は、いざ実際に試乗したり所有すると、時には見た目の第一印象さえも塗り替えてしまう。

さらに付け加えると、通常の自家用車や商用車なら燃費も気になる。これを人に例えると食費や金遣い全般だろう。

このように考えてみると、車の場合でも「見た目を左右する要素」が重要な役割を果たしている気がする。

VW BEETLE!

さて、僕自身を車に例えるなら往年のスポーツカーやレーシングカー...と言いたいところだが、僕は昔から運動が苦手で「スポーツ」と名の付くものには多少なりともアレルギーがある。モータースポーツも然り。

そんな男を例えるのにふさわしい車はフォルクスワーゲンのビートル、別称「カブトムシ」かもしれない。僕が生まれた7年後に当時のナチス・ドイツで誕生し、昨年、メキシコ工場で生産終了で約80年の歴史に幕を閉じた、名実ともの大衆車で名車だ。

愛車を船便で運ぶことができなかったため途中で買い替えてはいるが、このVWビートル、実は日米通算10余年の外科レジデント生活で僕の足となり支えてくれた車だ。

[執筆/編集長 塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

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