3位転落のローソン、生き残りかけた地方「局地戦」で業界再編か…商社三つ巴の代理戦争

コンビニ業界3位転落のローソン、中堅コンビニを巻き込んでセブンとファミマを追走か

記事まとめ

  • ローソンはセブン、ファミマの2強を追走するため、局地戦を勝ち抜くことが重要という
  • 広島県が地盤のポプラ、神奈川県発祥のスリーエフと、ローソンは資本提携している
  • ローソンとポプラ共同店舗を増やしスリーエフ一部をローソン・スリーエフに切り替える

3位転落のローソン、生き残りかけた地方「局地戦」で業界再編か…商社三つ巴の代理戦争

3位転落のローソン、生き残りかけた地方「局地戦」で業界再編か…商社三つ巴の代理戦争

ローソンの店舗(撮影=編集部)

 9月29日付当サイト記事『三菱商事のイオン支配シナリオ、現実味高まる…ローソンとの経営統合説くすぶる』において指摘したように、イオンとの経営統合が三菱商事・ローソン連合の最終ターゲットだったとしても、一朝一夕で実現するわけではない。その前に、ローソンがやるべきことがある。

 それは、コンビニエンスストア業界での局地戦を勝ち抜くことだ。ローソンは、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートの2強を追走するため、中堅コンビニを巻き込んだ再編を仕掛ける。三菱商事はローソンに30人の役職員を派遣しているが、さらにM&A(合併・買収)の専門家を送り込むとの情報もある。

●ポプラとは共同店舗を展開、スリーエフにも出資している

 広島県が地盤のポプラ、神奈川県発祥のスリーエフと、ローソンは資本提携している。ポプラ、スリーエフの合計店舗数は1000店強ある。ローソンは両社と共同で店舗を運営するところまで踏み込んでいる。

 ローソンとポプラは共同店舗を年内に54店出店する計画だ。ポプラは11月から店の看板を順次、ローソン・ポプラに切り替える。これまで鳥取県で実験的に2店舗を運営してきたが、1日当たりの売上高が転換前より5割増えた。

 ローソンが9月1日付で設立した完全子会社のローソン山陰がローソン・ポプラのフランチャイズ事業を手掛ける。ローソン山陰は、島根県と鳥取県にあるローソンの店舗も引き取る。ローソン山陰の店舗数は12月末で約290店となり、同地域のコンビニ市場でのシェアは従来の5割から6割にアップする。

 ローソンとポプラは2014年に資本業務提携し、ローソンがポプラ株式を49万株(5.0%)保有している。ポプラの株価は9月9日に564円の年初来高値をつけた。プロ野球、広島東洋カープの25年ぶりの優勝で、本社が広島にあるポプラでは“カープ特需”との声が高まった。

 スリーエフとは4月に資本業務提携した。この提携に基づく新ブランド、ローソン・スリーエフの1号店が9月9日、千葉県白井市にオープンした。スリーエフの店舗を通常のローソンに改装し、店内で焼く焼き鳥などスリーエフの人気商品を加えたのが特徴だ。1号店開店に際しローソンの竹増貞信社長は、「お互いの力を合わせ、より活気ある店にしていきたい」と強調した。スリーエフの山口浩志社長も「ブランド(ローソン・スリーエフ)を輝かせるのが使命」と述べた。

 両社は11月末までに千葉、埼玉の両県で、スリーエフの140店のうち90店をローソン・スリーエフに切り替える。

 独立系の中堅コンビニチェーンに目を転じると、デイリーヤマザキ(約1500店)、セイコーマート(セコマ、約1180店)、セーブオン(約500店)などがある。また、セコマは北海道で圧倒的な強さを誇っている。ちなみに、デイリーヤマザキは山崎製パンの子会社だ。

 NEWDAYSはJR東日本の子会社、JR東日本リテールネットが運営している。JR東日本はNEWDAYSを単独で運営していく方針だが、セコマやデイリーヤマザキはローソンを含む上位3グループの覇権争いと無縁ではいられないと分析する流通アナリストもいる。

●総合商社の代理戦争

 従来は直接経営に口を出さなかった三菱商事だが、前述したようにローソンに役員を多く送り込み、これらの戦略をリードしていく。これからローソンは間違いなく三菱商事色が急激に強まる。

 一方でローソンのライバルたちもバックには総合商社がある。ユニー・ファミリーマートは、出資比率33.4%の伊藤忠商事が筆頭株主だ。三井物産はセブン&アイホールディングスに1.8%出資しており、出資比率を上げる方向だ。

 小売業界には「近い将来、コンビニは3強ではなく2強に集約される」(大手流通の創業者)との見方がある。つまり、ローソン、セブン、ファミマのうち、一角が消える可能性を示唆している。

 伊藤忠はこれまで、旧財閥系の三菱、三井に対してコンビニ戦争を積極的に仕掛けてきたが、三菱商事が今回、巻き返しに出たという構図だ。

 首都圏でディスカウントストア(DS)約90店舗を展開するオーケーが、大阪・兵庫を営業地盤とする中堅スーパー、関西スーパーマーケットの株式を買い占めている。現在、8.04%まで株を集めており、伊藤忠食品(4.9%を保有)を抜いて第2位の株主に躍り出た。

「オーケーの裏に三菱商事がいる」と、関西の小売企業の役員は見ている。三菱商事は系列の三菱食品と合わせるとオーケーに10%弱出資しており、今年6月オーケーの社長に就任した二宮涼太郎氏は三菱商事の出身だ。ほかにも経営陣には三菱商事出身者が複数入っている。

 伊藤忠は子会社の伊藤忠食品を通じてオーケーに5.5%、関西スーパーにも4.9%出資している。三菱商事と伊藤忠のガチンコ勝負になるかもしれない関西スーパーの動きから目を離せない。

 イトーヨーカ堂のような衣料品から出発した総合スーパー(GMS)は時流から外れ、苦戦を強いられているが、三菱商事vs.伊藤忠は食品スーパー分野で火花を散らす。三菱商事はライフコーポレーション(19.5%出資)+関西スーパーマーケットで、伊藤忠系のユニー・ファミリーマートHD傘下のGMSに対抗する。アピタ、ピアゴなどのGMSを展開するユニーは、競争力のある名古屋圏に集約して、ほかは切り捨てることになるとみられている。ライフコーポレーションは三菱商事の持ち分法適用会社であり、食品スーパーの大手として、近畿と首都圏に集中展開している。

●三菱商事は出資する食品メーカーを総動員

 ローソンの子会社化を機に、三菱商事は食品メーカーや納入業者との連携を見直す。金融事業の強化や電力プランの取り次ぎなど、コンビニとしての機能・競争力を高める。

 日清製粉グループ本社(三菱商事が2.7%出資)や三菱食品(同60.9%出資)などの業績にも、三菱商事の方針はプラスに働くとの思惑が株式市場にはある。

 2012年から千葉、東京でローソンのフランチャイズ店の運営を始めているシー・ヴイ・エス・ベイエリア(CVSベイ)にも恩恵が及ぶとの見方もあるが、実際には業績への影響は軽微だろう。

 ローソンの株価は2月3日の高値(1万280円)をピークに、8月31日には7080円まで32%も下落した。三菱商事のTOBによる子会社化が決まり、9月15日の株価は前日比520円高の7930円まで上昇したが、週明け9月20日の終値は7830円(70円安)。もう一段、株価を上げるためにはTOB後の具体的なプランが欲しいところだ。
(文=編集部)

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