石原さとみ『校閲ガール』、放送事故レベルの現実乖離に批判殺到「校閲をナメるな」

石原さとみ主演ドラマ『校閲ガール』に校閲者から疑問の声「放送事故レベル」

記事まとめ

  • 石原さとみ主演ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』が好スタートを切った
  • 校閲という仕事に注目が集まったが、ドラマ内容に現実の校閲者から疑問の声が上がった
  • 「あまりに現実離れしすぎていて放送事故レベル」と50代校閲者は厳しい感想を漏らす

石原さとみ『校閲ガール』、放送事故レベルの現実乖離に批判殺到「校閲をナメるな」

石原さとみ『校閲ガール』、放送事故レベルの現実乖離に批判殺到「校閲をナメるな」

石原さとみ

 今クール(10〜12月期)の石原さとみ主演の連続テレビドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)第1話が10月5日に放送され、平均視聴率12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好スタートを切った。

 原作は『校閲ガール』シリーズ(宮木あや子著/KADOKAWA)で、女性ファッション誌編集者を目指す河野悦子(石原)がついに長年憧れていた大手出版社・景凡社に入社するも、期待に反して、原稿内容の誤りや疑問点を指摘するという“地味な仕事”を行う校閲部に配属されるところから物語は始まる。河野は希望する人気ファッション誌編集部への異動という目標を叶えるため、校閲部で奮闘するというストーリーだ。

 世間的にはあまり馴染みのない校閲という仕事を扱っている点が放送前から注目を集めていたが、同ドラマが描くその内容に、早くも現実の校閲者から疑問の声が上がっている。

 40代校閲者は語る。

「大手出版社でも経営が厳しい出版不況のなか、どこの出版社でもコスト削減のために真っ先にリストラの対象となっているのが校閲部です。出版社の新入社員は通常、雑誌や書籍の編集部、最近ではデジタルメディア関連の部署に配属されるのが通常で、いきなり未経験の若手が校閲部に配属されるなど、あり得ません。専門職採用のようなかたちで校閲経験者を採用することはあるかもしれませんが、校閲者として採用された人がのちにファッション誌の編集部に異動するという話は、聞いたことがありません」

 また、別の40代校閲者もこう違和感を示す。

「同ドラマでは、まったく未経験で漢字すらろくに読めない河野が、入社早々にいきなりバリバリと仕事をこなすばかりか、大御所作家の原稿まで担当していますが、校閲という仕事をナメているとしか思えません。この仕事は、一般の人では気が付かないような日本語の使い方の間違いや表現の不自然さ、差別表現の有無、さらには細かいファクトチェック(事実確認)までを行うスキルが求められ、とにかく経験がものをいいます。そんな極めて専門性の高い仕事において、編集経験すらない若手がいきなり活躍するなど、無理があります」

●事実確認のため現場を訪れるなど、あり得ない?

 さらに別の50代校閲者も、次のように厳しい感想を漏らす。

「同ドラマでは、河野が事実確認のために原稿内に出てくる場所を実際に訪れて聞き取り調査するシーンがありますが、あり得ません。校閲はとにかく毎日大量の原稿をこなさなければならず、いちいち事実確認のために外出していたら仕事が進みません。もし原稿内容に疑問点があれば、校閲としてはその旨の指摘を書き込んで終わり。修正するかしないかは編集者や作家の判断です。また、編集者が校閲部に怒鳴り込んできて悪態をつくなど“編集者vs.校閲者”という対立構造が強調されていたり、河野が超有名作家と食事に行くシーンなども出てきますが、あまりに現実離れしすぎていて、放送事故レベルにも思えます。そもそも校閲という仕事の本分は原稿の誤りを指摘するというもので、それ以上でも以下でもない、つまり活躍する余地などない裏方仕事です。このドラマのせいで校閲に対する間違ったイメージが広まってしまわないかが気になります」

 そんな校閲という仕事だが、近年ではある問題が進行しつつあるという。60代出版業界関係者は語る。

「ベテランと経験の浅い校閲者の仕事を比較すれば、その指摘の鋭さや“奥深さ”は一目瞭然なほど経験がものをいう仕事であり、出版物のクオリティ向上やトラブル回避の観点から、校閲という仕事は極めて重要な役割を担っています。しかし、出版不況を受け、どこの大手出版社でもリストラの煽りをうけて校閲部の人数は削減傾向にあり、最近では一般雑誌やファッション誌、さらには全国紙の地方面など一部紙面でも、専門の校閲者による校閲を入れないケースが増えています。こうした流れが、出版業界全体における校閲者の減少や若手育成の機会喪失を引き起こし、結果として出版物全体の質の低下を招くことが懸念されています」

 以上紹介した現場の校閲者たちの声を頭に置いて同ドラマを観ていけば、ひと味違った面白さを発見できるかもしれない。
(文=編集部)

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