イオン、赤字拡大で深刻な事態…ユニクロにもニトリにも見劣り、「ビジネスモデル」の限界

イオン、赤字拡大で深刻な事態…ユニクロにもニトリにも見劣り、「ビジネスモデル」の限界

イオンの店舗(「Wikipedia」より)

 イオンは10月5日、2017年2月期第2四半期(3〜8月期)の最終損益が53億円の赤字と発表しました。前年同期は21億円の赤字だったので、赤字幅が大きく拡大しました。売上高は前年同期比0.9%増の4兆1118億円、営業利益は同0.1%増の723億円です。

 総合スーパー(GMS)事業が深刻です。営業損益が183億円の赤字(前年同期は87億円の赤字)です。ほかの事業のほとんどが黒字だったため、GMSが足を引っ張ったかたちとなりました。

 イオンのGMSの筆頭はイオンリテールです。イオンリテールの8月中間決算の営業損益は、86億円の赤字となっています。GMS事業の赤字の半分近くをイオンリテールが垂れ流しています。

 しかしGMSは構造的な問題を抱えています。イオンリテールは3つの部門を中心として構成されています。「衣料」「食品」「住居余暇」の3つです。これらの分野の専門店のトップと比較すると、利益率が低いことがわかります。その原因は、衣料、住居・余暇、食品では若干違いがあります。まず、衣料、住居では売上高総利益率で大きな差があります。

 イオンリテールの8月中間期の衣料部門の売上高は1729億円、売上総利益は656億円です。売上総利益率は37.9%で、例年とほとんど変わらない水準です。一方、ファーストリテイリングが展開するユニクロの売上総利益率は50%程度です。

 住居余暇部門の売上高は2053億円、売上総利益は567億円です。売上総利益率は27.6%で、こちらも例年とほとんど変わらない水準です。一方、住居関連品を専門的に扱うニトリの売上総利益率は50〜55%程度です。

 ところで食品部門の売上高は5329億円、売上総利益は1360億円です。売上総利益率は25.5%で、やはり例年とほとんど変わらない水準です。対して、食品スーパー大手のライフの売上総利益率は27%程度です。ちなみに、ほかの食品スーパーの標準値は25%程度ですので、食品部門の売上総利益率は健闘しているといえます。

 ここで、売上高販管費率に目を転じてみましょう。イオンリテールの8月中間期の売上高販管費率は35.8%で、例年とほとんど変わりません。ユニクロは35〜40%程度、ニトリは35%程度です。イオンリテールとユニクロ、ニトリは同程度と考えていいでしょう。一方、ライフは28%程度と低い水準にあります。

 イオンリテールは、売上総利益率でみるとユニクロやニトリに大きく劣り、売上高販管費率はライフに大きく劣ります。理由はともかく「衣料」「食品」「住居余暇」の各分野で、GMSは専門店には勝てないことがわかります。

●GMSは中途半端で機能不全状態

 ユニクロは衣料品、ニトリは住居関連品、ライフは食品に特化することでスケールメリットを生かすことができます。大量に製品を製造する、大量に製品を仕入れることで原価を低下させることができます。物流コストや人件費、宣伝広告費などの販管費も抑えることができます。

 商品力で比べた場合、イオンリテールはユニクロやニトリなどの専門店に見劣りしてしまいます。ユニクロやニトリの製品は「高品質で低価格」というブランドイメージが定着しています。一方、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」でも衣料品や住居関連品を扱っていますが総花的で、個別分野のブランドイメージは強いとはいえません。

 食品に関しては、日本では地域に根ざした食品スーパーが強く、全国展開のイオンリテールは劣勢に立たざるをえません。ライフは首都圏と近畿圏に集中して出店しています。ライフに限らず、食品スーパーの多くが地域を限定して出店しています。

 イオンリテールの食品部門の売上総利益率は健闘していますが、売上高販管費率が高く営業利益を出せていません。販管費は食品部門だけの数値ではありませんが、食品部門の非効率性は容易に想像できます。

 たとえば、チラシを配布するにしても、地域を限定したほうが効率は高くなります。旬の食材をアピールする場合も、地域が限定されていたほうが訴求しやすくなります。極論ですが、北海道と沖縄では旬の食材は異なります。また、地域が限定されていたほうが鮮度を保った状態で消費者に食品を提供することができます。

 GMSにとっての脅威は専門店だけではありません。利便性ではコンビニエンスストアに劣ります。個性的な製品・サービスが揃う場としてはショッピングモールに劣ります。GMSという業態は、今の時代では中途半端といわざるをえません。

 GMSは機能不全に陥っているといえます。新規出店を抑制し、不採算店舗は統廃合していかなければなりません。分野や地域を絞っていくことも不可欠です。つまり、抜本的な改革が必要なのです。イオンの中間決算は、そのことを物語っているといえるでしょう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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