井川遥の活躍でおもしろくなった『貴族探偵』…武井咲と生瀬勝久はいらなかった!?

井川遥の活躍でおもしろくなった『貴族探偵』…武井咲と生瀬勝久はいらなかった!?

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 嵐の相葉雅紀が主演する月9ドラマ『貴族探偵』の第7話が5月29日に放送され、平均視聴率は前回から0.3ポイント増の7.8%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。

 麻耶雄嵩氏の小説を原作とした今作は、自らは推理をせず、使用人に謎解きを任せる「貴族探偵」(相葉雅紀)の活躍を描くドラマ。今回はほぼ全編、1年前に事故で亡くなったとされる愛香(武井咲)の師匠・喜多見切子(井川遥)が関わった最後の事件を回想する内容だった。

 切子と貴族探偵はかつて、会社社長の都倉(小木茂光)が亡くなった事件で顔を合わせていた。警察は自殺と判断するが、信じられない切子は現場を独自に検証し、真相にたどり着く。だが、切子は推理を途中まで披露しながらも真犯人を名指しせず、切子とは別に事件を調べていた貴族探偵の使用人・山本(松重豊)が真犯人を言い当てた。切子は、自らに疑いの目が向くとしても、会社と家族を守ろうとする都倉の妻・光恵(広末涼子)の姿を都倉の子どもたちに見せるため、わざと光恵が犯人だと思われるように振る舞っていたのだった。

 事件解決後、切子は貴族探偵に「この名前に見覚えあるかしら?」とメモ書きを手渡す。貴族探偵は切子が去ってから全身黒ずくめの秘書・鈴木(仲間由紀恵)を呼び、「確実に殺せ」と命じ、メモを燃やした。炎に包まれていくメモには「政宗是正」の文字が書かれていた――という展開だった。

 まず、連続ドラマだということを抜きにして、1話完結のミステリーとしてしっかりとおもしろかったと言っておきたい。糸でカギを部屋に戻すという古典的な密室トリックにひねりを加えることで、真犯人をわかりにくくすると同時に真犯人の手がかりにもなっているという練られたトリックが完成した。

 今回の実質的な主役となった切子も、視聴者の興味をグッと引きつけたのではないか。現場を見せてもらうため、当時はまだ所轄の警官だった鼻形(生瀬勝久)に「ダメ?」とおねだりするシーンなどは、井川ならではの本領発揮といったところか。並の女優がやるとあざといだけなのだが、色気があふれているのにいやらしくなく、まったく自然な振る舞いに見える。話し方や仕草もエレガントで、安心して見ていられる。こう言ってはなんだが、台詞回しがキャンキャンうるさい武井とツッコミがウザい生瀬がいないだけで、こんなにも見やすく落ち着いた推理ドラマになるのか。今回があまりにも良かったため、最初からこれを見たかったと思ってしまった。

 ちなみに今回の演出は、本格ミステリー色が強かった第3話を担当したK氏。同氏が演出した回からは、コメディー色を薄めてミステリー路線に寄せていきたいという意図が見て取れる。演出担当によってこれだけ路線が変わるのがいいことだとは言えないが。

 今回の内容にツッコミがないわけではない。相葉の演技も悪くないレベルにはなっているが、難しい言い回しになると急に読んでいるようにぎこちなくなるのもそのひとつ。演技でいえば、自動車保険のCMでおなじみの唐田えりかもロボットのような棒読みで視聴者の集中力をそいだ。また、自殺があったと聞いて「おもしろそうだから調べに来た」と遺族の前で語る貴族探偵が、「少しは人の気持ちというものを察したまえ」と偉そうに説教するのもおかしいといえばおかしい。

 だが、第7話の放送により、実力派の俳優をそろえた良質なミステリーをつくれる力がこのチームにあることは明らかになった。それだけに、ここに至るまでにトンチンカンなトリックや、くだらない演出で視聴者離れを起こしてしまったのが実にもったいない。とはいえ、今回の好評が次回の視聴率アップにつながる可能性は大いにある。今回と同様の本格ミステリー路線を維持できれば、終盤での盛り返しも期待できそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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